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岳南江尾から3駅戻って岳南富士岡で下車すると、営業線の脇ではかつて貨物列車を牽いていた電気機関車が、猛暑などわれ関せずといった面持ちで佇んでいる。

貨物列車の運行が行われていた約15年前の初回訪問時にもこの駅で降り、ひと足先に引退して側線に留置されていたED291形機関車越しの富士山に見惚れたことを思い出す。
時が巡り、貨物輸送が終了して活躍の場を失った機関車や貨車などの終の住処として、「がくてつ機関車ひろば」が2021年に整備され、機会があれば訪れたいと思っていた。
一旦駅舎を出て機関車ひろばに回ると、元松本電気鉄道(現アルピコ交通)のED402と403が仲良く日なたぼっこしている。

引退から約10年が経過しているが、きれいな外観を保っており、無電圧化された架線にパンタグラフを上げている様は、現役時代を彷彿とさせる。
保存会の皆さんの熱意と活動の結果だそうで頭が下がる。駅舎にあるガチャガチャの売り上げは、機関車の保存活動にも役立てられるとのことで、300円を入れてハンドルを回すとED501をデザインした缶バッチが出てきた。

ひろばの雰囲気を味わってからホームに戻る途中、電車庫に憩う元京王電鉄5000系の9000形に目がいく。

親会社の富士急行を経て岳南入りした「中古の中古」だが、機器不良のため部品取り用となったモハ7002の代替として平日を中心に活躍しているようだ。
岳南富士岡でさまざまな車両を愛でたあと再度岳南江尾に向かい、最後のチャンスをと期待を託した富士山ビューは結局叶えることができず、今度は素直にパイプラインをくぐって吉原へ戻り、久しぶりの岳南電車トレックを終了した。

(おわり)