岳南江尾 | 酔いどれパパのブログ

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「お風呂」と「酒」と「路線バス」に関する駄文を書き連ねております。

(前ページからのつづき)


比奈から乗り込んだ岳南江尾行きの車内には熟年夫婦らしき男女が2組と、4人連れのファミリーが乗っていて、いずれも変わりゆく車窓の景色に目を移したり、スマホのレンズを向けたりで、岳南電車沿線民ではなさそうな雰囲気。


地元テレビ局の情報番組で紹介でもされたのか、皆さん買い物ついでに訪れたような軽装で岳南電車の小さな旅を楽しんでおり、居合わせたこちらも嬉しくなる。


惜しむらくは、進行方向左手の車窓いっぱいに広がるはずの霊峰富士が 雲に隠れていること。


岳南電車は、「全駅から富士山を望むことができる鉄道」をキャッチフレーズにしており、各駅には「富士山ビュースポット」が設定され、床面に記されたマークの位置に立つと、それぞれの駅から見る山の姿を楽しむことができる。

今日は朝から快晴にも関わらず、富士山の周囲だけ雲が切れず、山容の一部も拝することができぬのは日ごろの行いによるものか。

邪な私とそれ以外の善男善女を乗せたモハ7003は東海道新幹線の高架をくぐって終点の岳南江尾に到着。
3回目の訪問だが、駅舎の風情はこれまでと変わらずいい味を醸している。

前回来た時にはなかったバリアフリー対応の立派なトイレが設置されていたので、実見を兼ねて用足しを終えてから駅前に出ると、先ほど同じ電車に乗っていた方々が駅舎をバックに代わる代わる記念撮影をしている。

当然この駅にも富士山ビュースポットがあるので、マークに合わせて立ってみるが、霊峰は相変わらず雲の中。手前を横切る高架を東海道新幹線の白く長い車体が、邪な私をあざ笑うように高速で駆け抜けていく。

ホームに戻ると、先ほど乗ってきたモハ7003の向かいには8000形通称「赤がえる」が休んでいる。
こちらも元京王井の頭線3000系の中間車に運転台を取り付けた車両だが、2両編成で運転席もワンハンドルとなっているなど7000形とは仕様が微妙に異なる。

「赤がえる」は、かつて走っていた元東急電鉄の「かえる」こと5000系が岳南鉄道に輿入れした際にオレンジに塗られたことから付けられた愛称で、その5000系と入れ替わりに導入された8000形の岳南鉄道移籍20周年を記念して昨年11月に緑色から5000系のまとっていた赤がえるカラーに塗り替えられた。

そんな赤がえるに見送られ、来るときと同じメンバーが乗り込んだモハ7003で岳南江尾をあとにした。
(つづく)