今年22蔵目の酒蔵訪問は、静岡県は富士宮市にある「富士高砂酒造」さん。
富士宮はその名の通り富士山本宮浅間大社の鳥居前町で、富士高砂酒造さんは大社さまのすぐ西で文政年間から富士山の伏流水を使って酒を醸している。
甲府から乗り込んだ身延線の特急「ふじかわ」を富士宮で降り、駅前の案内所でマップをもらってから、まずは浅間大社を目指して北に向かう県道53号の緩い上り坂を進むが、まだ午前10時半にもかかわらず気温が30度はあろうかという暑さとなっており日陰が恋しい。
そう思っていると、西に向かう「マイロード本町」なるアーケードがあったので、そちらに針路変更。

浅間大社は駅の北西にあるので、街を楽しみながらジグザグに進もうかと考えていたが、屋根のあるマイロードで可能なところまで西に向かうことにする。

商店街に入るとすぐに昔ながらの酒屋さんが戸を開けており、店の前にはこれから向かう富士高砂酒造さんの代表銘柄「高砂」の四斗樽が置いてあってテンションが上がる。

人通りの少ない商店街を西端まで進むと、交差した県道の脇を大社境内の湧玉池を源とする神田川の澄んだ水が流れている。

神田川に沿って北に進むと、そこは国の特別天然記念物にもなっている湧玉池で、年間を通じて13度を保つという富士山の雪解け水を豊かにたたえている。

すぐ脇のバス停では、7月10日から今年の運行シーズンに入った富士宮口五合目行きの富士急静岡バスが停まっている。

新富士駅から来た富士宮口五合目行きは、路線バスにしては珍しく湧玉池停留所で10分の休憩停車がとられており、富士山本宮浅間大社を参拝できるよう配慮されている。
本来であれば、この池の水で身を清めてから本宮、そして富士山8合目より上が神域となっている奥宮にお参りするならわしだが、池を眺めるだけにとどめて本宮に礼拝し、西鳥居をくぐって酒蔵を目指す。
図書館や文化会館のあるエリアを抜け、交差した県道414号をバス停ひとつ分北上すると、今日のお目当ての富士高砂酒造さんが見えてくる。

県道に面した瓦屋根の黒い建物に入ると内部は思いのほか広く、主要銘柄の「高砂」シリーズをはじめ様々な酒が並んでおり選ぶのに迷う。
こちらの蔵では、試飲を含む酒蔵見学(要予約)も行っているが、8月26日に夏の蔵開きが行われる予定があり、間もなくやってくる富士宮駅行きのバスに乗りたい気持ちもあるので、2020年にラインナップに加わったこちらを買って退店。

慌ただしい酒蔵訪問だったが、満足して近くのバス停に立つと、さっそく浅間大社さまのご利益に浴することになった。

(つづく)