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水戸駅北口に降り立つと、バスプールにはひと昔前のノンステップ車を中心とした折り返し待ちのバス数台が乗り場に尻を向けて停まっている。
数年前までは、7Eボディーをメインとするツーステップ車が幅をきかせていた水戸駅前だが、茨城交通のみちのりホールディングス入りの影響か、大手私鉄系バス会社からのノンステップ車への置き換えが急速に進んでいる。
それでも時折7Eや8Eが顔を出すし、1987年式の日野RJ(1102号車)も健在と聞く。
バス好きのわれわれ2人は、駅前の信号が変わるたびに3~4台が入ってくるバスターミナルを前に、次に乗るクルマを物色。
7Eなら何とか捕まえられそうだが、1102号車が来ないものかと欲が出て、つい粘る。
一方で、われわれ2人はお座敷列車乗車以降、水分以外口にしておらず空腹に窮みつつある。そこで、「あと2回信号が変わって、お目当てが来なかったらメシ」と決めて念じたが、待ちバス来たらず。
半ば安堵しつつ、昼メシにありつくべくコンコースに上がり、「豊洲直送」の文字が躍る回転寿司に入る。
那珂湊なら地物の魚介類を楽しめる店がたくさんあったのに、駅のコンコースで豊洲経由の魚を食べる仕儀になったのは、バスに魂を売った因果にほかならないが、熱燗で寿司をつまんでいると上機嫌になり、そうした理屈はどうでもよくなる。
20分ほどで切り上げて会計を済ませ、駅前ターミナルに戻ってバスハンティング再開。相変わらず7E8Eはコンスタントに現れるが、1102号車は姿を見せない。
実は、茨城交通バスのホームページでは車両ごとの現在地が公開されており、「1102」と入力すれば、お目当てのクルマの居場所を特定できたのだが、この時は知らず運に頼ってターミナルに佇み続けた。
とは言え、勝田駅1610集合に間に合わせるには水戸駅を1540発の列車に乗らねばならないので、15時を迎えた今、ボチボチ乗るべきバスを決めねばならない。
そこで、本数の多い茨大前営業所行きに入りそうな7Eボディーに照準を定め、 12系統のバス乗り場に移動して待つ。
予想通り元西武バスの7Eボディーが入線してきたので乗り込み、幼少期に西武バスを観察することで乗り物好き人生をスタートさせたMくんは最前列の座席に陣取り嬉しそう。
私はその後ろの席に座り、一昨年仙台市交通局の7Eでやったのと逆のポジションで2人して運転操作を眺める。
バスは駅前ターミナルを出ると、すぐに銀杏坂の勾配をエンジンを唸らせて登っていく。
最近大型2種免許を取得したMくんは、ロッドシフトを操りながら水戸の目抜き通りを運転するドライバーさんの所作を熱心に観察している。
このまま茨大前営業所まで乗り続けたいが、1530までには水戸駅に戻る必要があるので、本数の多い大工町あたりで降りた方が良さそう。
京成百貨店のある泉町一丁目を出たところで1515を過ぎたので、Mくんに声を掛けて大工町のひとつ前の泉町三丁目で下車。
10分に満たない乗車で名残惜しいが、時間がないので仕方ない。
7Eボディーを見送り、道路の反対側のバス停に移動すると、元京王バスのHRが来たので乗り込み水戸駅に戻る。
無事勝田駅の集合時間に間に合い、再びお座敷列車「華」に乗車。最前部のソファー席で前面展望を楽しんだりして帰りの時間を過ごす。
