ここ数年、そうした部分的に未乗区間の残っている路線を訪ねる機会に恵まれ、少しずつではあるが完乗路線を増やしている。
2017年には近江鉄道の米原~近江八幡間・高宮~多賀大社間、2018年には天竜浜名湖鉄道の新所原~西鹿島間、2019年には広島電鉄の八丁堀~白島間・皆実町六丁目~広島港間、上毛電鉄の上州富岡~下仁田間に乗り、いずれの鉄道も前回の乗車から数年の空白を介して完乗となった。
このうち広島電鉄については、15年ぶりの乗車で「やっと全線走破した」と肩の荷が降りた気がした。前回は、前泊の松江からトロッコ列車と今はなき急行「みよし」を乗り継いで広島入りし、中電前電停近くのホテルに荷物を置いた後、広電とフェリーを乗り継いで宮島に渡り、お参りを済ませてから、広電の横川、江波を訪ねた。
今回は初日に白島線を往復して、翌日にホテル最寄りの本通電停から連接車に揺られて広島港まで乗車。無事、完乗を達成してから比治山経由で広島駅に抜け、広島空港行きリムジンバスに乗り継いだ。白島線では、元京都市電の車両と最新のグリーンムーバーLEXの2編成が行ったり来たりしており、途中下車をしながら乗り比べを楽しんだ。

学生時代は、乗りつぶしにそれなりに熱を上げていたが、対象となる路線はせいぜい夜行日帰りの範囲で、社会人になって行動範囲が広がると、乗りつぶしよりも、その土地をゆっくり味わう旅のスタイルに変化していったので、完乗を意識することは少なくなっていた。
それが、ここ数年落ち穂拾いのごとく各地に散らばった未乗区間をつぶしているのは、近くを訪れる機会に恵まれたからだが、やり残した宿題を仕上げたいとの思いが心の片隅にあったのかも知れない。最近、急速に体の衰えを感じ、何となく老いを意識し始めたことも無関係ではないだろう。
ちなみに、部分未乗区間が残っている中で1番近いのは千葉県、遠いのは沖縄県で、千葉県ならすぐにでも乗りに行けるのに、長らく放置しているのは、私のぐうたらな性格を表しているようで癪にさわる。
沖縄県は、モノレールの首里~てだこ浦西間の延伸区間が未乗だが、それに乗るためだけに沖縄まで足を伸ばすのは、さすがにハードルが高いので、やはり他の用事のついでになるだろう。
これからも、あまり気張らず、ゆっくりと汽車旅を楽しんでいきたい。