子どもが自ら動き出すために、大人ができる最も大切な支援

思春期(10〜18歳)は、子どもたちが自分の存在や将来について深く考え始める時期です。この時期の子どもたちは、「どうせ頑張っても意味がない」「なんで勉強しなきゃいけないの?」といった、否定的で投げやりな言葉を口にすることが増えていきます。

こうした言葉を聞いた保護者の多くは戸惑い、「このままでいいのだろうか」と不安を抱えるようになります。私たちが直接関わるのは、まさにこの不安を抱えた保護者の方々です。子どもに対して何かを教えるのではなく、保護者が「子どもとどう向き合えばよいか」に迷ったとき、共に考え、寄り添い、背中を支える。それが、私たちの役割です。


「考えさせる」のではなく、「動くきっかけ」を見守る視点を伝える

保護者の多くは、「ちゃんと考えてほしい」「このままでは将来困る」と焦る気持ちを抱えています。しかし、思春期の子どもは、考えすぎて動けなくなっていることが多く、「考えること」より「まずは動いてみること」が変化のきっかけになります。そこで私たちは、保護者の方に次のような関わり方を提言します。

◇ すぐに答えを求めず、行動のきっかけをつくるサポートに徹する。
 例:「今は答えが見つからなくても大丈夫。何か少し動いてみようか」。

◇うまくできなくても、やってみたことを価値として受け止める。
 例:「やってみたこと自体が素晴らしいよ」「そこまで考えて動いたのは立派だよ」。

◇ 親の価値観を押し付けるのではなく、子ども自身の関心や選択を尊重する。
 例:「あなたはどうしたいと思っているの?」と尋ね、決断を急がせない。


保護者の安心が、子どもを支える土台になる

思春期の子どもにとって、親の不安や焦りは敏感に伝わります。親自身が「どうすればよいかわからない」と感じているときこそ、カウンセラーのサポートが必要です。

◇保護者の方が、安心して子どもと関われるように。

◇ 不安なときに、話せる相手がいると感じられるように。

◇「ひとりで抱えなくていい」と伝えられるように。

教室長は、情報を届け、感情に寄り添い、必要なときに一緒に考えます。これは、短期的な子育ての成果ではなく、長い目で見て「自分で考え、自分で歩める子ども」を育てるための、保護者支援という土台づくりです。


子どもが変わる前に、大人が変わる

子どもは、大人の言葉ではなく「関わり方」から多くを学びます。保護者が「正しい関わり方」に気づき、それを実践しようとする姿勢そのものが、子どもへの最も深い教育になります。だからこそ、私たちは子どもに直接働きかけるのではなく、「保護者と共にある」姿勢を大切にしながら、支援を続けていかなければと思います。

「五月病」〜心と体のバランスを見直す時間〜

新しい環境や生活の変化に少し疲れが出やすいこの季節。
知らず知らずのうちに感じる“だるさ”や“やる気の低下”は、
もしかすると「五月病」のサインかもしれません。

 

今回のふれあい広場では、
● 五月病とは何か?
● 自分に気づき、整えるヒント
● 日常に活かせるリラクセーションやストレッチ
など、やさしく学び、ふっと軽くなるようなひとときをお届けします。

「なんだか最近、気分が晴れない…」
「自分のペースを取り戻したい」
そんな思いを感じている方にぴったりの内容です。

お気軽にご参加ください。
はじめての方も大歓迎です!

 

五月病は切り替えのチャンス!

「チューニングイン」という言葉を使って人間の

「気分」や「視点」の切り替えをチャンネルにたとえるなら、

それは私たちの内的な意識状態の数だけ存在するとも言えます。

実際に「何チャンネルあるか」と考えると、

明確に数えることは難しいですが、

いくつかの分類視点から大まかに想定することは可能です。

以下に参考となるモデルを紹介します。

 

自分を整える心のチューニング

安らぎ、回復チャンネル

自己受容チャンネル

共感・つながりチャンネル

創造・発想チャンネル

意義・未来チャンネル

集中・行動チャンネル

 

 

自分を崩すチューニング

自己否定チャンネル

比較・嫉妬チャンネル

不安・過去反芻チャンネル

怒り・攻撃チャンネル

無感覚・シャットアウトチャンネル

過緊張・過活動チャンネル

実際に日常で「いま、どのチャンネルにいるか」

「どのチャンネルに切り替えたいか」を意識する際の参考にもなります。

 

新年度が始まり、慣れない環境に少しずつ疲れを感じ始める5月。
「なんとなく気分が落ちる」「やる気が出ない」

そんな“五月病”の背景に、実はSNSの影響があるかもしれません。

 

■ SNSが引き起こす脳と心のバランス崩壊

SNSは、私たちの“関心”に応じて、

予測できない報酬(variable reward)「いいね」や通知、

スワイプによる更新を絶えず与えてきます。
これはカジノと同じように、脳内のドーパミンを

刺激し中毒性を高める設計です。

ドーパミンが増えると「左脳(言語・論理)」が活性化しますが、

過剰になると「右脳(感性・創造性)」が抑制され、

心のバランスが崩れてしまいます。
その結果、集中力や思考力、満足感が低下し、

感情の揺らぎに耐えづらくなるのです。

 

■ 「関心がある情報」があなたを縛っている

人間の脳は「未解決の情報を放っておけない」

性質があります(ツァイガルニク効果)。
・健康が気になる人は、延々と健康法を検索し、
・社会が気になる人は、ニュースを追い続け、
・仕事に敏感な人は、他人の成功例に心を奪われます。

こうして、関心のある情報こそが、最も深く自分を縛る罠になっているのです。

 

■ SNSと五月病の深い関係

新生活による無意識のストレスに、SNSが拍車をかけています。

  •     他人との比較による自己否定

 SNSは“幸せのハイライト”だけが並びます。

 うまくいかない自分とのギャップが、孤独感や無力感を生みます。

  •     情報過多による脳疲労

 大量の断片的な情報は、記憶力・集中力を低下させ、疲労や抑うつにつながります。

  •     つながり疲れと即レスのプレッシャー

 SNS上の人間関係に過敏になり、「見られている自分」ばかりを意識してしまいます。

  •     夜間のSNSで睡眠の質が悪化

 寝る前のスマホ使用は脳を興奮させ、眠りの質を下げ、心身の回復を妨げます。

 

■ 回復のカギは「自分に戻る」こと

情報に向けていた意識を、自分の呼吸・体・感覚へと戻してみましょう。
それは、「整える」という行為の核心です。

・SNSから意図的に離れる
・「比べない」姿勢を意識する
・顔を合わせて話す機会を大切にする
・ホメオストレッチなどで、自律神経を整える
・不調が続く場合は専門機関に相談する


◆ 最後に

大切なのは、「心地よい無関心」を自分に許すことです。
「知らなくていいことは、知らなくていい」
「今すぐ変わらなくてもいい」
そんな知的な節制こそが、情報過多の時代を生き抜く力になります。

整えるとは、「関心から離れて、自分に戻ること」。
その第一歩として、今日一日はスマホを置いて、脱力してみませんか?

 

「フグ」は福(ふく)に通じるため、「福を招く魚」として

縁起が良いとされます。節分に「福は内」と唱えることと

「フグ(福)」を食べることが結びつき、

「福を呼び込む」象徴になります。

毒を持つ魚でありながら、

きちんと処理すれば食べられるという

「危険と幸運の紙一重」も、

災いを退け福を得る節分の意味合いに重なります。

からかさ小僧は、一つ目で舌が長く、

一本足の唐傘(古い傘)に命が宿った姿。

古道具や日用品に魂が宿る「付喪神(つくもがみ)」の一種です。

長い間使われていた傘が人間に捨てられ、

怨念や執念によって妖怪になったとされます。

「物を大切にせよ」という教訓が秘められていますね。

ろくろ首は、普段は普通の女性、

夜になると首が異様に長く伸びる妖怪です。

また、ろくろ首の正体に気づかれないよう、

日中は人間として普通に生活していることもあり、

隠れた本性や、日常の裏に潜む異質なものを表してるようです。

この器に描かれたろくろ首の様子は、

自分の身を伸ばしてでも世話を焼く、

献身的な姿を皮肉交じりに表しているのかもしれません。

いづれもユニークで食卓を温かくしてくれるものですね。

今年の有田陶器市では、

ひときわ目を引く小皿に出会いました。
それは、鯛の姿がユニークに描かれた手塩皿。

愛嬌のあるその表情に思わず笑みがこぼれ、

手に取った瞬間に「これは連れて帰らねば」と感じた2枚です。

鯛といえば「めでたい」の語呂合わせでも知られる、

お祝い事に欠かせない魚。
しかもこの皿には、なんとエビまで添えられているのです。
鯛とエビ。祝いと鯛。どちらも長寿や福を連想させる縁起物の代表格。
まるでお皿そのものが「喜び」を表しているかのようでした。

手塩皿としてはもちろん、ちょっとした漬物や薬味を盛るのにもぴったり。
手のひらにおさまる小さな器に、「脱力」が凝縮されていると感じます。

陶器市の楽しみは、こうした「偶然の出会い」にあります。
量産品では味わえない、作り手の遊び心が

食卓に彩りと笑顔を添えてくれます。

 

 

「めでたい」とは、たんに祝祭の言葉ではないと思います。
それは、日々の暮らしを見つめ直し、小さな幸福を見逃さぬ姿勢そのもの。

使うたび、眺めるたびに「めでたさ」とは何かを問いかけてきます。
 

 

芍薬は「立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花」とも称えられ、

日本女性の美しさの象徴とされてきました。

その姿はまさに、凛として優雅。

開花の瞬間を見逃すまいと、毎年この季節を心待ちにしています。

品種によっては淡い桃色から、濃い紅色、さらには純白の花まで、

咲き始めから終わりまで少しずつ表情を変えていくのも芍薬の魅力。
花の命は短くても、その一瞬の輝きが、なぜか心を和ませてくれます。

この花に出会うたび、日々の慌ただしさの中でも

「今、この瞬間を大切にしたい」と、教えられているような気がします。

 

 

ゴールデンウィークの光に包まれて、

アマリリスが美しく咲きました。
太くしっかりとした茎の先に、大きく華やかな花を咲かせる姿は、

見る人の心に元気と希望を届けてくれます。

アマリリスは、冬のあいだ静かに力を蓄え、

春の訪れとともに、そのエネルギーを一気に開花へと向けます。
この過程は、私たちの心の成長ともどこか重なるものがあるように思います。
時に休み、内側にエネルギーをたくわえ、

そして「今だ」というときに自分らしく咲く。
アマリリスの生命力は、そんな自然な流れを教えてくれているようです。

ストレスケアの視点からも、"がんばり続ける" だけでなく、

"静かに自分を整える" 時間を持つことはとても大切です。
アマリリスのように、自分に優しいリズムで歩みを進めていきたいですね。

この季節、ふと足を止め、花々の姿に心を向けることも、ささやかなリラクセーションのひとつ。

 

 

 

 

 

―科学的根拠とこれからの取り組み―

認知症は今後ますます増加が見込まれる深刻な社会的課題です。日本では、2025年には65歳以上の5人に1人が認知症になると推計されており、予防への取り組みは急務となっています。こうした中、注目を集めているのがストレスケアのアプローチです。

 

ストレスと認知症の関係性

慢性的なストレスは、脳の海馬(記憶を司る領域)の萎縮を引き起こすことが数々の研究で示されています。特にストレス時に分泌されるコルチゾール(ストレスホルモン)の過剰な影響が、神経細胞の可塑性を低下させ、認知機能の劣化につながるとされています。

● 米国の研究(Lupien et al., 1998)では、コルチゾール濃度が高い高齢者ほど海馬の体積が小さく、記憶力も低いことが報告されています。
● 日本の大規模疫学調査(JAGES研究、2022)では、ストレス対処能力が高い人は認知症発症リスクが約20%低下するという結果も出ています。

 

ストレスケアの具体的効果

ストレスケアは単なる「気分転換」ではなく、脳と自律神経の健全性を保つ科学的な予防法です。中でも以下の要素が認知症予防に有効とされています。

 

1. 自律神経の安定化

副交感神経を優位に保つことは、脳血流を安定させ、脳機能を守る上で重要です。ホメオストレッチは、交感神経過緊張状態を緩和し、記憶や判断に関わる前頭前野や海馬の機能低下を防ぎます。

 

2. 習慣化による前頭葉刺激

定期的なストレスケアにより、生活の予測性と安定性が高まり、前頭葉の活性が保たれることが分かっています。これにより、感情コントロールや実行機能の維持が可能になります。

 

3. 心理的安心感による炎症反応の抑制

慢性ストレスは脳内に微細炎症を引き起こし、アルツハイマー型認知症の原因物質であるアミロイドβの沈着と関連するという報告があります。ストレスケアにより心理的安心感が得られることで、脳内の炎症反応を抑える可能性があります。

 

バランスセラピー学におけるブレインバランスメソッド

ストレスケアに特化したブレインバランスメソッドでは、筋緊張緩和や脳幹活性を通じた自律神経の調整が重視されています。認知症の予防的介入として、次のような成果が期待されています:

  • 熟睡感の向上(深い眠りは認知機能回復に不可欠)
  • 孤立感の軽減(人とのふれあいによる情緒安定)
  • 感情表現の促進(ストレス蓄積の予防)

ストレスは静かに進行する「見えない脅威」です。認知症予防には、早期からのストレスケア習慣の構築がカギとなります。

 

「ストレスを整えることは、脳の未来を守ること」
これからの予防戦略には、ストレスケアの視点が欠かせません。