日販がアンソロピックに日本の書籍を無断で販売、大量スキャンでAI学習に利用か…出版関係者「許せない」(読売新聞オンライン) - Yahoo!ニュース
先日書いた「くいしんぼうのあおむしくん」が、いよいよ現実のものになろうとしている。今回の日販による日本の書籍の販売問題を見て、そんなことを考えた。
では、日販の何が問題なのだろうか。出版社との信頼関係を裏切ったことなのか。それとも、AI企業であるアンソロピックに大量の書籍を販売したことなのか。あるいは、急速に進化するAIの「学習」に、出版流通側から加担してしまったことなのか。
おそらく問題は、そのすべてにある。
本は単なる商品ではない。出版社が著者とともにつくり、取次が流通させ、書店が読者に届ける。その循環の中には、長い時間をかけて築かれてきた出版文化と、著作権者への信頼がある。その本を大量に集め、スキャンし、AIの「知識」に変えてしまえば、その循環そのものの意味が変わってしまう。
「売っただけ」という話では済まない。何に使われるのかを考えずに売ることが、結果としてAIの巨大な食欲を満たすことになるからだ。
子どもの絵本に出てくる「くいしんぼうのあおむしくん」は、食べて、食べて、最後には大きくなる。そして今や、その姿に重なるのが「くいしんぼうのAIくん」ではないか。
AIくんは本を食べる。新聞を食べる。写真を食べる。映像を食べる。そして、食べれば食べるほど賢くなり、さらに大きくなって、また次のものを欲しがる。
問題は、誰がAIを止められるのかということだ。おそらく、もう誰にも完全には止められない。だからこそ、せめて「何を食べさせるのか」を決める責任は、人間の側にあるはずだ。
今回の問題は、一社の販売判断だけではない。出版業界が、知らぬ間に「AIくんの餌を供給する側」になってしまわないための、最後の警告なのかもしれない。