第129回 教科書販売での品切れ - 新文化オンライン

 

出版業界では返品率が3〜4割とも言われ、常に「本が余っている」構図が語られる。しかし今回の記事のような事態を見ると、単純に供給過多という言葉だけでは説明できない現実があるように感じる。実際には「売れない本が大量に余る一方で、売れる本は極端に不足する」という二極化が進んでいるのではないか。

 

SNSや動画サイトの影響で、一度話題になった本に需要が瞬間的に集中する時代になった。従来のように「平均的に売れる」という予測が立てにくく、ヒット作だけが爆発的に動く。そのため、出版社も取次も書店も、需要予測の難しさに直面しているのだろう。

 

一方で、返品が多いという事実は、まだ市場全体として需要と供給のミスマッチが大きいことも示している。今後は単に大量に配本するのではなく、「どの本を、どの地域に、どれだけ置くか」をより精密に見極める力が重要になる。データ分析やSNS動向の把握も含め、需要を見る目そのものが、出版流通の競争力になっていく時代なのだと感じる。