武田薬品工業。
創業230年超、日本一の売上を誇る医薬品会社です。
2011年にスイスのナイコメッド社を買収するなど、
積極的な買収で事業拡大を図っています。



http://www.takeda.co.jp/investor-information/files/qr2012_full_f_jp.pdf

前期 当期
売上高 1,508,932 1,557,267
売上原価 433,194 447,628
売上総利益 1,075,738 1,109,639
販売費及び一般管理費合計 810,711 987,134
営業利益 265,027 122,505
営業外収益合計 23,363 23,557
営業外費用合計 18,060 32,895
経常利益 270,330 113,168
特別利益合計 17,636 95,021
特別損失合計 35,489 78,482
税金等調整前当期純利益 252,478 129,707
法人税等合計 125,207 -3,880
当期純利益 124,162 131,244


<損益計算書=PL>
増収増益も、よく見ると税効果と、法人税の還付効果によるもの。
税金等調整前当期純利益は2500億円から
1300億円へとおよそ半減しています。
その原因を段階的にみると、
・売上は増加。子会社買収効果によるもの。
・売上総利益は増加。売上増に伴うもの。粗利益率はほぼ変わらず。
・販売管理費は8100億円から9870億円へ約20%増。
・営業利益は半減。粗利は増えるも、販売管理費増がそれを上回る。
・経常利益は6割減。営業外費用の「その他」が190億あるも内訳不明。


主要因は販売費の増加のようです。
前期買収した会社について、
前期は半年分を、今期は通期を合算したことが増加要因とのこと。
給料が200億円、減価償却費が400億円、研究開発費が400億円増え、
買収にて生じるのれんの償却も年間で前期より100億円増加しています。
投資に伴う費用増が中心的です。

売上についてみてみると、
医薬品事業の地域別では日本で38億円減収の5884億円、
海外は468億円増収の8133億円、うち4235億円がアメリカ。
薬ごとに見ると、
後発品参入影響、薬価引き下げにより糖尿病薬アクトスが127億円減収の191億円、
アクトスと同じ糖尿病治療剤ネシーナが222億円増収の378億円、
高血圧薬のブロプレスが87億円減収の1340億円、
となっています。
主要な薬の減収が見え、それを補完する薬の販売に注力されそうな状況。
自社開発のほか、アムジェン社の抗癌薬の独占販売権を獲得。

研究開発費は424億円、15%伸びて3243億円、
来期は更に増やして3250億の見込み。
売上割合は20%という、飛び抜けた試験研究費型企業です。

また当期、海外子会社の人員削減に伴う
早期退職費用が250億円、事業構造再編費用として
特別損失に上がっています。
当期利益の5分の1の特別損失は小さくないですが、
早期に膿を出す姿勢はプラス。


<貸借対照表=BS、キャッシュフロー計算書=CF>
負債の動きに注目。
前期ナイコメッド買収のため短期借入金2400億円、
ほか1100億円の長期借入と1900円社債発行しました。
その短期借入を当期返済し、社債を30億米ドル発行。
よって流動負債が減少し、固定負債が増加しています。
これにより財務状態は改善、ル有働比率は170%から237%へ、
当座比率は74%から103%と100%台を回復。
無借金経営とはいきませんが、
700億円借入・社債が純減しました。

キャッシュフローは営業収益が3000億円を超え、
投資キャッシュフローにおいてM&A(=merger and acquisition、企業買収)、
財務キャッシュフローにおいて借入返済や配当金の支払いをしながらも、
750億円増加しています。
今後も有形・無形固定資産及びのれんの償却費が
販売管理費を圧迫しますが、その分多額の自己金融効果が
見込まれ、再投資にまわるキャッシュフローは
潤沢にあると言えます。


<まとめ>
薬価改定や特許切れによる後発薬の参入により
既存商品の売上は減少見込み。
新薬や、販売権を得た他社薬の販売でそれを補う形。
ほか、既に買収したナイコメッドほかの会社の買収効果の度合に注目。
積極的な投資の投資効果がどれだけ出てくるか。
潤沢なキャッシュフローに裏付けされた
多額の研究開発活動と買収による販路拡大が今後も継続される見込みは
プラス材料。


曰はく、
「数字は過去の、一定のルールにより出された表面にすぎない。
未来、環境、感情を見よ。」
野村不動産ホールディングス。
マンションや戸建ての販売、
オフィスビルの賃貸、管理業が主の
不動産業大手です。

高級マンション「プラウド」が有名ですね。
2012年には初の販売戸数日本一を取りました。
http://www.fudousankeizai.co.jp/Icm_Web/dtPDF/kisha/2012_zenkoku.pdf
とはいえ、以前日本一を取った穴吹工務店は2年後に経営不振に陥り、
いまは別会社によって運営されていますが…


http://www.nomura-re-hd.co.jp/ir/pdf/renketsu_20130426.pdf

        前期 当期
営業収益        450,807 517,740
営業原価     335,896 383,169
営業総利益     114,910 134,571
販売費及び一般管理費 64,970 76,263
営業利益      49,939 58,308
営業外収益合計 1,757 4,122
営業外費用合計 17,523 16,623
経常利益 34,173 45,806
特別利益合計 517 592
特別損失合計 9,722 11,405
税金等調整前当期純利益 24,968 34,993
法人税等合計 826 13,231
当期純利益 17,591 19,357


<損益計算書=PL>
増収増益。
売上は15%増、利益は10%増ですが
昨年は税効果で法人税費用が法人税額より
100億円少なくなっており、実質は40%増益といえます。
販売費及び一般管理費は若干増、広告費が60億増。

主力の住宅事業が41%増収、57%増益でした。
前期の売上が当期の第一四半期にズレたことが要因と短信に書いてあります。
大震災の影響で資材の遅れや竣工がずれたのでしょう。
インパクト推定は、年3000件契約ですから、
月に250件として単価5000万円とすると125億円。
この調整後でも増収との見込みです。
未契約残高も300億、約20%増と好調ですね。

単価を見ると、関西・戸建で減少も、
合計では4800万円から4900万円へ上昇しています。
商材特性として、単価は開発物件によるので地域ごとの単価で一喜一憂は
あまり意味がないかもしれませんが、参考までに。

オフィス賃貸は減収も増益。利益率は16%から22%へ増えています。
これは「中規模でありながら大規模ビルと同等の高いクオリティを具備」
したPMOブランドが貢献した模様。

管理業は減益。これは物件販売及び賃貸→管理、というモデルだと思われますので
住宅・賃貸の好調の影響が次期以降出てくるでしょう。


<貸借対照表=BS、キャッシュフロー計算書=CF>
まず販売用不動産在庫が1200億円から600億円へ減少しています。
先述のとおり売上の一部が先延ばしになったため在庫が増えていると
考えても、600億円減では減少しているのは確か。
ただ、建設中の不動産は250億円増加しているので
これからの建設進捗を要確認です。
補足ですが、売上が先延ばしになると在庫が増えるのは
売上がたたない
→商品が売上原価として計上できない
→商品が減らない、在庫として残る、
という理屈で、相対的な話です。在庫は物理的には増えません。

次のポイントは長期借入金返済、1000億円以上純減。
利息負担も年20億円弱減少しています。
在庫と債務圧縮で財務体質は良化ともいえますが、
当座資産(=現金と、すぐに現金化できる資産。売掛金や有価証券など)の
2倍の短期借入金、6倍の長期借入金、仕入れてから販売まで期間が長い
ビジネスモデルを考えると、大手でもひとつ品質不安、需要急減、
建設頓挫などが出たらどれだけ耐えうるのか、どんなリスクヘッジを
しているのだろうか。
当座比率(短期間中に支払う義務のあるものと当座資産の比率)は
実に22%から17%へ。不動産業でないと考えられない水準です。
銀行のコミットメントライン(銀行から借り入れを約束されている枠)が
どれくらい残っているのだろうか。ここでもほかの金融手立て、
リスクヘッジが気になします。
キャッシュフロー上も長期借入の返済が目立ちますが、
手許流動性と負債のバランスから、
近いうちに資金調達が行われてもおかしくないですね。
それを保持するのか、不動産在庫に充てるのか、
それでトップの意向や企業姿勢が見て取れるでしょう。

なお、住宅ローン利用債務保証490億から680億へ増加。
販売好調の裏返しですが、リスクも当然増。

<まとめ>
販売、賃貸が好調。それに付随して管理も今後伸長する見込み。
単価も上昇しており、外部環境としても
増税前駆け込み、住宅ローン優遇税制拡充、株高による
資産効果(=株価が上がることにより、資産が増えた人の
消費や投資への意欲が高まること)が後押し。
好調であるものの、相対的に少ない当座資産が不安。
万が一の際の対応の有無・レベルを開示してもらいたいところ。


曰はく、
「数字は過去の、一定のルールにより出された表面にすぎない。
未来、環境、感情を見よ。」
双日。大手総合商社の一角、
日商岩井とニチメンが経営統合してから
ちょうど10期。
商社のアフリカ進出が熱いという
記事を見て、各社の動向を見てみたのですが、
大手総合商社5社のうち自作の分析ソフトに
データが取り込めるのはなんとゼロ。
開示しているPDFデータでは
テキストとして反応してくれませんでした。

双日と豊田通商は取り込み可能でしたが、
トヨタ系はトヨタ自動車をやったので
双日を分析してみました。

業界規模は70兆円。
5%プレーヤー、7位です。


http://www.sojitz.com/jp/ir/meetings/financial/pdf/2013/2013_04_02.pdf

単位:百万円
前期 当期
売上高         4,494,237 3,955,907
売上原価     4,262,671 3,763,842
売上総利益      231,566 192,064
販売費及び一般管理費  167,044 158,759
営業利益       64,522 33,305
営業外収益合計       37,142 39,952
営業外費用合計       39,436 38,779
経常利益      62,228 34,478
特別利益合計       14,239 13,739
特別損失合計       15,014 16,498
税金等調整前当期純利益   61,454 31,719
法人税等合計       62,304 13,453
当期純利益又は当期純損失(△)△3,649 14,263



<損益計算書=PL>
前期は税効果の関係で赤字となっていますが、
税前利益では614億円の黒。
今期は約50%の減益です。
商社はもともと卸売業なので、
売上というより粗利益がポイントになります。
極論、卸だと、1兆円のモノを「売る前提」で仕入れて
1兆100万円で売る、なんてこともあるわけで。
売るものによって売上だけバンバン上がったりするわけですね。
この点、IFRS(=国際会計基準)でも論点になっています。
脱線しますが、たとえば商社がリスクをとらずに客付後に仕入れ、
すぐに売る、という取引をした場合、
「売上-仕入=利益」と総額表示ではなく
「手数料=利益」という純額表示をすべき、とも言われています。
もし今後IFRSが強制適用になれば売上が減少することは
間違いないでしょう。ちなみに双日は来期から
IFRS自主適用をするようです。

脱線しましたが、粗利益を見てみると、
2315億円から1920億円へ17%減益。
粗利益も5%台から5%を割り込んでいます。
減収減益・取引の質も悪化していると見えます。
ちなみにその他段階利益率(=営業利益率、経常利益率など)も
1%を割り込む水準へ悪化。
デリバティブ評価損が33億円から105億円に増加しているのも
気になるところ。
為替のリスクヘッジがうまくいかなかったか。

その内訳は、エネルギー・金属セグメントが110億円の減益。
航空機および船舶セグメントが61億円減益。
など、5セグメント全てが減収・減益状態。
エネルギー・鉄鋼が最も利益率が良いのですが、
資源価格のリスクや
供給過大・価格下落と言われている鉄鋼は
今期、他の大手商社も軒並み減益でした。

ただ。上位商社は強い分野を持っており確実に稼いでいます。
三菱なら資源、生活産業。
三井はインフラ・生活産業。
住商はメディア・ライフスタイル・資源。
それに比べると、強い分野がない印象です。
双日といえば航空機、というイメージがありますが
ボーイングの影響もあったのでしょうか。

ほか、住商や三井はアフリカへの言及があり
意識している点が出ていますが、
双日は地域に関する言及は特にありませんでした。

回復基調の経済を背景に増収増益見込み。
来期は配当を3円から4円に増やす、と増配予定を
明示しているのは好印象です。
どの分野・どの地域に注力していくかの動向が
注目ポイントでしょうか。


<貸借対照表=BS>
債権・債務がバランスよく圧縮され、
固定資産は維持。
負債を短期から長期に変え、
財務状態は改善。
流動比率は5%ポイント、
自己資本比率は3%ポイント、
改善しました。
期末以降の取引なのでBSに表示はされていませんが、
平成25年4月に100億円の社債を発行しています。
金利状況を見て金利上昇前に発行をしたものと見えます。


<キャッシュフロー計算書=CF>
減価償却前利益が十分にあるため、税前利益50%減益でも
営業活動によるキャッシュフローは
前期916億円、当期515億円と潤沢にあります。
仕入債務減少以上に債権回収が進んでいるのは吉。
フリーキャッシュフロー(=営業CF-投資CF)は
490億円、380億円となり、財務活動で
債務を減らしていく理想的なキャッシュフロー体質です。

固定資産と投資有価証券への投資が前期比162億円減少。
25年3月期の投資状況は大手商社でも
増減はバラバラでした。
4000億円を超えるキャッシュをどのセグメントに
投下するかに注目。


<まとめ>
資源関連はどの商社も厳しい状況ながら、
他社はどこか「金のなる木」セグメントを持っているのに比べ、
双日は全事業セグメント・全地域で減収・減益となり
縮小気味に見える。
資源価格・欧州及び中国の経済状態など
外部環境に注目が集まる。
また、キャッシュフローは問題なく財務体質も改善しているため
どの事業・地域セグメントを攻めるかの
動向にも注視すべき。短期的には、双日特有の
強みであるボーイング・ボンバルディアの航空機拡販ら入り、
政府・地域とのつながりをもとに
ファイナンスを含めたインフラの売り込みなどか。

曰はく、
「数字は過去の、一定のルールにより出された表面にすぎない。
未来、環境、感情を見よ。」