どでカボチャの栽培(総集編) | 爺34のどて話

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酒を楽しみ老いを楽しむ。どてかぼちゃ(アトランテック・ジャイアント)栽培を愉しむ。農を通じて人生を語る。後輩の成長に目を細め、良い人生だったと笑って旅立つ。そんな好々爺でありたい。

1.どでカボチャの「種」取得
今年も千葉の師匠からどでカボチャの種を頂きました。その中に10年前の種があります。師匠の話では2012年の種が5分の3個発芽したとのことでした。貴重な種なので試してみる価値はありそうです。どでカボチャの種の所得は毎年苦労しています。


10年前までは本場(アメリカ)から高額な種を買っていました。ところが植物防疫法により検査証明書のない種は没収されてしまいますので、以来どでカボチャの種は自己採取するようになりました。

出来れば地元で採れた一番大きいカボチャから種が採りたいのですが、大会が開かれる9月には、カボチャが熟しすぎてカボチャの中で発芽してしまうのです。種は適期に採らないと健全な種は採れません。


仕方がないので残っているカボチャから採取しますが、一番大きいカボチャとは程遠いです。そこで全国優勝された先進地に種をお願いするのです。だからと言って毎年々々「種を下さい」というわけには参りません。昨年は山梨と千葉へから種を分けてもらいました。

もちろん栽培は技術ですから、必ずしも大きいカボチャが出来るとは限りません。それと大きいカボチャが出来ても必ず種が入っているとは限りません。昨年、579kgのカボチャを日本一大会会場で解体しましたが種は1粒も入っていませんでした。こういうこと「有る有る」なんです。

種はなるべく信用のおける種屋か種苗会社から取り寄せた方がいいです。よく店先で種が棚に並んでいるのを観ますが、陽に当たっていたりしていてはその時点で保存失格です。そして買ったあとは自己責任で保管するのです。

2. どでカボチャ栽培:土づくり
第1ほ場は二毛作にて全面「なばな」を作付けています。3月末に収穫が終わり次第、なばなを鋤きこみ、どてカボチャ1株あたり鶏ふん50kg、牛ふん(又は馬ふん)50kg、米ぬか30kgを混和します。


第2ほ場は昨年11/29・30に植え付け場所(約1.8m四方)に馬ふん70kg、鶏ふん15kg、米ぬか15kgを混和しビニールシートで被っています。3月下旬になったら被いを外して撹拌、穴を掘って堆肥と混和埋め戻します。また植え付け場所以外は鶏ふん50kg、牛ふん(又は馬ふん)50kg、米ぬか30kgを混和します。植え付け予定はG・W(5/4ごろ)ですので、その前の土づくりはこんなところです。

3. どでカボチャ栽培:浸種・播種
正直言うと日本一大会がもう1カ月、いやもう半月でも早く開催されると申し分ないのです。というのもお盆(8/15ごろ)にはどでカボチャは完全に出来上がっているからです。


それならば半月遅く種を蒔けば良いと思われるかも知れませんが、種を半月遅く蒔くと授粉期が猛暑期になり授粉が難しいのです。そのような理由で播種は4月の中旬に蒔いています。現在、種から栽培しているのは3名(公表)です。

温室設備が整っている会員A氏に全体の6割を担っていただき、残りをビニールハウスにてB氏とワタクシが育苗しています。方法は3者3様です。
ワタクシは5~6時間ほどぬるま湯に浸種し、湿らせたバーミキュライトを入れた小袋の中に種を入れます。育苗器具は無いのでトレーに並べてストーブの余熱機能を利用します。

 

約25~28℃で3日で発根します。温度をかけない場合でもビニールハウスで5日程度で発根します。昨年は4/17 pm10:30浸種、4/18 am5:00袋蒔きしました。

4. どでカボチャ栽培:発根・鉢上げ・発芽
どでカボチャの種を初めて蒔いたときは、お風呂場の洗面器に種を入れ湯船に浮かせて一晩置いてからポット蒔きをしました。


友達は濡れタオルに挟んだタオルをビニールで包み腹巻にしていました。どんな方法でも水分と温度(25~28℃)があれば発芽します。

発芽と書きましたが細かく言うと発根です。種の先端から白い根が出ます。これが発根です。それを育苗用の土を入れたっぷりと湿らせたビニールポットに種が見えなくなる程度に埋めます。もちろん根は下にします。


この作業をポット上げと呼んでいます。そしてシートをかけて保温に努めます。温度にもよりますが大体2~3日で発芽します。子葉2枚が先に出ます。被いを取って乾かさない程度に水やりをします。水をやり過ぎると根腐れを起こすので要注意です。

5. どでカボチャ栽培:畑の準備
どでカボチャの栽培の面積は広ければ広い方が良いですが、1株あたり通常は9m×9m、最低でも6m×6mは欲しいです。ワタクシは第1ほ場は幅 7m×長さ 8mを2面、第2ほ場も同様 4面を予定しています。

 

第2ほ場は植え付け場所(1.8m四方)のみ土づくりをしていますが、3月下旬には一面に馬ふん(400kg)、米ぬか(30kg)、土壌改良剤アヅミン苦土石灰(20kg)を混和し、植え付けまでシートを被せます。

第1ほ場は四方4面を幅2mの防風ネットで囲っています。第2ほ場は主に北と西側を1.5mの防風ネットを張り巡らしました。そのうえで植え付け場所(1.8m四方)を囲うつもりです。

6. どでカボチャ栽培:植付け前にすること
7~8月が暑夏なのはあたりまえですが最近は5~6月から暑く7~8月は猛暑です。どでカボチャ栽培も猛暑対策をしなければなりませんが、それも限度があります。


畑全体を涼しくすることは出来ません。せいぜい作物の上に遮光ネットを張る程度です。それも資材の質や設置方法によっても違いは出ると思います。今日は植え付けの2週間前までにやっておかなければいけないことです。

植え付け前に苦土石灰を畑全体に入れて良く耕します。また1週間前までに直径1m、深さ30~60㎝ほどの穴を掘り、底に少量の有機肥料を置き、発酵鶏ふん、堆肥と掘り上げた土を混和しながら埋め戻します。


地面より上は周りの土をかき寄せて床(畝)を作ります。植え付けまでの間はトンネルを作り床を温める方が良いと思います。

7. どでカボチャ栽培:植え付け
4月中旬に播種、発根、発芽ときて今回は植え付けです。大体5月の連休(5/3~5/6)の穏やかな日を選んだ方がいいでしょう。

 

カボチャに限らず野菜の植え付けにはこの時期が適期です。
最近は何でも早く植えるようになりましたが4月に植え付けるには植えた後に苗を守るためホットキャップやトンネルなどの保護材が必要になります。

 

この季節なら簡単な囲い(例えば肥料の空き袋などで行灯仕立て)で良いと思います。どちらかというと、保温と言うよりは防風的役割で必須です。

さて準備した床に植穴を掘り、十分な潅水をします。次にポットから苗を畑に移します。ポットを手で受けながら逆さまにしてポットを外し、根を痛めないように穴に下します。


角度は本葉2枚目の方向がツルの伸びる方向になるように植えます。よくわからない場合はツルの伸びる方向に斜め植えしてもいいでしょう。穴に入れたら周りの土を寄せてしっかりと押さえますが、生え際が土で隠れない程度の埋め方です。


深く植えすぎると生育が遅くなります。植え終わったら株の周りにワラを敷き詰めます。水やりは上からかけるのではなく周りにやるようにします。最後にトンネルまたは行灯、ホットキャップなどで保護をして終わります。

8. どでカボチャ栽培:ポットの外し方
苗の植付けについて少し捕捉します。植付ける前のポットは土が少し乾燥気味がいいです。手のひらにポットを逆さまに受けますが、そのとき苗の茎を人差し指と中指に挟んで、そこを2~3回たたくと根鉢がポットから離れ手のひらに乗ります。


根鉢(根が巻いている形)を崩さないようにそっと扱ってください。根鉢を苗穴に入れたら、土と堆肥を混ぜた用土で隙間を埋めて苗の周囲をしっかり固めますが、強すぎてもいけません。

植付けの後、1回は水やりをしますが、このとき葉に水をかけると害を及ぼすのでかけてはいけません。2~3日から1週間ほどは成長が見られないかもしませんが、土の中では毎日新しい芽が発生します。やがて急に成長をし始めます。

9. どでカボチャ栽培:ツル伸長期
カボチャが根付くと毎日ぐんぐんと成長します。それは根も茎も葉っぱもです。そのためにはどのようにツルを伸ばすのか決めなければなりません。畑の形にもよりますが例えば8m正方形としましょう。


畑が広ければ中央でも構いませんがワタクシは北西の角から2m離れたところに植え付けをします。そして概ね南東方向にツルを伸ばします。

カボチャの仕立ては
①子づる2~4本仕立て 
②親づる1本+子づる1本仕立て 
③親づる1本仕立て 
などいろいろありますが、どてカボチャの場合は③の親づる1本仕立てなのです。

ちなみに食用の普通のカボチャは①の子づる2~4本仕立てです。なぜどでカボチャは親ヅル1本かと言いますと、1株1個、でかいカボチャを作りたいからです。つまりいくつも成らせればそれだけ栄養が分散されて小さくなるからです。

10. どでカボチャ栽培:

 病虫害(ウリハムシ)
どでカボチャ栽培で最初に洗礼を受けるのはウリハムシでしょう。ウリハムシはきゅうり、スイカ、カボチャなどウリ類の葉や根を食害する害虫で、株を弱らせ多発すると枯死させることもあります。


成虫は葉脈を残して葉を円弧状に食害し葉を穴だらけにします。ひどい場合は、葉が網目状になります。どでカボチャがそれなりに大きくなればあまり影響はありませんが、植付けてしがらくが一番大変です。

最初は見つけ次第手で捕獲できますが成虫はすぐに逃げてしまうため農薬(マラソン乳剤、ダントツ水溶剤)を使用します。また植え付け前に「ダイアジノン」を土に混和することでウリハムシの幼虫を退治することもできます。

11. どでカボチャ栽培:

 病虫害(うどん粉病)
どでカボチャ栽培において最も注意すべき病気はうどん粉病と疫病(バイラス)です。うどん粉病は長雨が上がって晴天が続く時などに発生します。つまり梅雨明けとか、雨の後、特に夏の暖かい夜などにうどん粉病は発生します。


したがって蒸し暑い夕方の水やりは葉に水がかからないようにしなければなりません。夏場、猛暑になるとうどん粉病は抑制されるようです。

一番の対策は早期予防です。6月上旬までは1週間に1~2度、ダコニール等で予防、以降はアミスター、トリフミンなどを使用します。ワタクシは昨年(2023年)6月と7月で(防虫を含め)12回、農薬散布しました。それでも8月にはうどん粉病にかかりました。

12. どでカボチャ栽培:

 病虫害(疫病=バイラス)
疫病(バイラス)はVIRUS(ウイルス)の英語読みです。植物に広く発生するモザイク病はこの一種で、花や葉がまだらになり、今のところ特効薬はありません。

 

疫病は水はけが悪い畑や雨による泥のはね上がりで発生します。株元にポリマルチをしたり、ツルの下にワラを敷いたりして発生を防ぎます。

不幸にも疫病が発生したら葉や茎は早急に取り除き、ビニール袋に入れて処分するしかないのです。株全体が侵されたときは根から抜き取り、感染した根を土に残さないことが大切です。

 

アブラムシやハダニ、アザミウマなどの害虫がウイルスを運ぶと言われていますので、あらかじめ害虫の飛来を防ぐ工夫をするのも大事です。一度発生した畑は次の年も発生する可能性があるので太陽熱利用による土壌消毒が有効だと思います。

「太陽熱土壌消毒」は、気温が最も高くなる夏季の休作期に土壌表面をビニルフィルム等で被覆し、深さ10~20cm程度の作土層を太陽熱によって35℃以上に上げ、それを長時間持続させて、土壌中の病原菌やセンチュウ、土壌昆虫などを死滅させ、密度を低下させる方法です。

13. どでカボチャ栽培:肥料設計
土つくりの項で植付け場所(1.8m×1.8m)に馬ふん70kg、鶏ふん15kg、米ぬか15kgを混和と書きました。また植付け前に(植え付け場所 8m×8m)鶏ふん50kg、牛ふん(又は馬ふん)50kg、米ぬか30kgを混和と書きました。

ワタクシの畑は砂地なので少し多めです。これらの実施時期は3月末までに済ませておきたいです。追肥は葉色、草勢をみてその都度少しずつ節根におきます。もちろん有機肥料を使います。

化学肥料は効き目は大ですが腐敗が早い(個人の感想)と思っているからです。外国の方の資料には魚や海藻の肥料(液肥)を週1~2回、葉面撒布されるようです。1000kg級の巨大カボチャはこうして作られているのかもです。


ワタクシは開花までは窒素成分の多い肥料、開花~着果の頃はリン酸成分の高い肥料、着果後は1回のみ加里肥料(例:硫酸加里または珪酸加里)を施用しています。

14. どでカボチャ栽培:水やり
どでカボチャは大変水を必要とする作物です。昨年(2023年)579kgのカボチャを栽培された千葉の西山さんは毎日1トンの水を使っていたそうです。だからと言って土壌が水浸しではいけません。


水はけが良くて水に不自由しない、厄介な作物なのです。カボチャの90%は水分と言っても過言ではないでしょう。土壌を乾燥させるとしっかりした根が育ちます。

それは本当ですがカボチャは1日に15kg~20kg大きくなります。それすべてが水を欲するのです。その駆け引きがカボチャの重量に大きく作用するのです。

 

木曽岬町は海抜0m地帯ですので、その限りにおいては水やりを控えることも出来るでしょう。この時点においても葉に水をかけないようにしなければなりません。うどん粉病の原因を作るからです。葉に水がかからない配水の仕方を考えなければなりません。

ワタクシは植え床の周りに溝をつくり潅水します。ツルが伸びる度に溝を広げ、最終的にはほ場全体を溝で囲みます。溝は乾かさない程度に水を供給します。

15. どでカボチャ栽培:開花、授粉
いろいろ進めてきましたがいよいよ開花、そして授粉です。この辺りが一番気を遣いますねぇ。カボチャの花は雄花、雌花が別々(雌雄異花)です。

 

時には雄花しか咲かないこともあります。
雄花しか咲かない場合はチッソ分の多い肥料を与えすぎたばあい、雌花しか咲かない場合は育苗ポットが小さすぎたり、栽培期間がズレている場合に起こりがちです。

出来れば複数株植えて、別株の雄花を授粉する方が良いです。そして大事なことは雌花はどれでも良いというわけではありません。親ヅルの17節~21節が最も良い(個人的見解)です。

ところが10節前後に立派な花が咲きます。授粉するとこれまた元気に育つのです。でも大きくなると言うことはツルもそれだけ地面から高くなるのです。なのでツルにたわみを持たせると、どうしてもそのあたりの節数になるのです。


授粉をしたら花弁を閉じて虫が入らないようにします。授粉が成功すると雌花は萎れ枯れます。そして雌花についている稚果がゆっくりと大きくなります。授粉は15節以降に雌花があれば順次授粉をしてゆきます。それは授粉に失敗した時の保険なのです。

16. どでカボチャ栽培:授粉上の注意
どでカボチャは親ヅルに着果させるのが基本ですが子ヅルではダメと言うわけではありません。理想は親ヅルに1個ですが、親ヅルにアクシデントがある場合は子ヅルに着果も有りです。さて授粉ですが以下の点に注意しましょう。


 ① 当日開花した雄花雌花であること
 ② 雄花の花びらを剥がし優しくタッチすること
 ③ 花粉をかけすぎないこと(虫が運ぶ程度です)
 ④ 授粉は早朝(午前4時から8時まで)に行うこと
 ⑤ 雨に当たらないようにすること


そして何より大切なことは着果すべき雌花が親ヅルの弛みの外側(Sの字のカーブの外)にあることです。着果が成功し大きくなった時、その弛みが伸びることによりツルの亀裂を防ぐことが出来ます。

17. どでカボチャ栽培:整枝作業
どでカボチャの整枝作業は毎日行わなければなりません。理想の形は魚の骨(フィッシュボーン)のような形です。親ヅルがあって節から子ヅルが出ます。子ヅルは10節ほどで止め、ツル先は埋めます。孫ツルは全て欠きます。


すべての子ヅルはそのような形で整枝します。親ヅルを埋める人もいます。授粉が済んで着果を認めたら果柄(ヘタ・イガ)が親ヅルに対して直角になるようにします。カボチャが大きくなるとツルが圧迫されるからです。

完璧な位置関係は親ヅルに対して90度ですが、もしカボチャが理想の位置に無い場合は支柱などを使って2~3日かけて少しずつ動かして正しい位置にします。一度に動かし過ぎるとツルや果柄をダメにする原因になります。


また着果したカボチャの左右2節(90㎝)ほど節根を着根させないでおきます。それはカボチャが大きくなるにつれてツルも持ち上がるからです。不幸にもツルが裂けた場合の処置は避けた部分をテープで閉じたり、土を被せたりすることで節根が出て回復します。

親ヅルが充分成長したら着果の先10節ほど先でカットして先端を土に埋めます。子ヅルも10節(2.5~3.5m)の長さで止めて全体を土に埋めます。こうすることによりエネルギーがカボチャ全体に行きわたるのです。

これまでの補足
節根について補足します。節根は元根と同様に肥料をやる必要があります。でもそれは難しいと思います。すべての節根が葉やツルの下にあるからです。

 

千葉の方から得た情報ですが、節根の部分に直径10センチほどの輪っかを設置、その中に堆肥を入れて根に(葉に水がかからないように)水を注いでいるそうです。

18. どでカボチャ栽培:摘果、配置
どでカボチャ栽培者は最終的に1個を除いてすべてのカボチャを摘果します。それは栄養を1個のカボチャに集中させるためです。それはなるべく早い時期(ソフトボール大)に行います。


また余分な雄花や雌花も摘花します。もし保険に2個のカボチャを残したならば「大きなカボチャ」にはなりますが「巨大なカボチャ」にはならないです。


巨大なカボチャを育てるには、カボチャの株全体をよく管理し1個のカボチャに専念すべきです。しかし日本一大会に出品するのであれば本命のカボチャ以外に「予備カボチャ」の栽培が絶対に必要です。


私は過去に大会前に果汁が出たり、潰れたりしたことが何度もありました。それからこれは余談ですが、意識的に1株に数個成らせて中くらいのカボチャを栽培することもできます。

19. どでカボチャ栽培:どてカボチャの環境
どでカボチャの配置が決まったところでカボチャの真下に板やスポンジ(緩衝材)を敷いて土に触れないよう風通し良くします。これも千葉の方の情報ですが、その方はカボチャの下にビニールを敷くそうです。


その方がカボチャを移動させる(理想の角度にする)のに便利だと言ってみえました。「水が溜まらないか?」と訊ねたところ勾配を付けるとのことでした。

カボチャの成長に伴って、それにつながるツルにも台や支柱で空間を保つようにします。またカボチャの上には直射日光、雨などが当たらぬようシートで被うようにします。さらに大きくなるころにはほ場全体を覆う遮光ネットが必要です。


カボチャのツルは毎日点検し、新しい稚果が出来ていたらそれらも全部取り除きます。カボチャが大きくなるのは親ヅルで株元に近いほど良いのですが、ただ大きくするために株元から3m以上(17~21節)離しているのです。

20. どでカボチャ栽培:果実計測
カボチャを毎日計測(外周1か所、出来れば高さも)することで、どのカボチャが「最も大きく」なっているかを見極めることが出来ます。

 

ワタクシの記録では授粉後5~10日目までは一日に胴回りが4,7,5,8,7センチほどでし

たが10日目からは14.11.12.12.13.12.12センチと2桁の伸びでした。


またあるカボチャは1日に15~17センチも記録しています。最終的には(ワタクシの場合は)胴回り340センチ、高さ90センチで止まりました。

これまでの経験ではカボチャの果柄(ヘタ・イガ)はカボチャの付け根から親ヅルまでが太くて長いものが大きくなります。

 

また形的には稚果のころ丸いより細長い(ラグビーボールのような)ものが大きくなるような気がします。細長くてもいずれ楕円形になりますが巨大カボチャほど特有な形のカボチャになるようです。

21.どでカボチャ栽培:収穫時期
これまでどでカボチャの収穫というと大会(日本一どでカボチャ三重県大会)の前日ないし前々日に収穫していました。それは大会前に収穫をすると重量が減るという考えからです。


しかしながらカボチャにも収穫適期と言うものがあります。普通(食用)のカボチャの場合は授粉から45~50日です。スイカも授粉を行ってから約50日、小玉スイカなら約35日と言われています。

どでカボチャは約60日が収穫の目安です。例えば6/20授粉であれば8/20ごろが収穫適期です。ところが大会は3週間も先です。これまではこの間、灼熱の畑で維持してきました。これでは腐敗が進むのも当然です。


ならば3週間、植付けも(授粉も)遅らせればよいではないか。5月の下旬に植え付けて7月中旬に授粉。ところが7月は盛夏、連日の猛暑、虫も飛んでいません。

人工授粉をしても花粉が暑さで死んでしまいます。やはり高地か北海道辺りでないと受粉できないのです。ともあれ6/20に授粉させたならば8/20ごろには収穫したいです。そして出来る限り涼しいところに置くのが良いのです。

22. おわりに
発明王エジソンの名言があります。「私は失敗したことがない。ただ1万通りの上手くいかない方法を見つけただけだ」。それに比べりゃどでカボチャの失敗なんてたかがしれています。

 

10数年のカボチャづくりだってたったの10数回栽培しただけです。それに何が失敗か、何が成功かは人によって違います。日本一だって500kgのカボチャを作っても日本一になれないことも有るし、400kgに満たなくても日本一になれますからねぇ。これはその人が持つ運なのです。

 

昨年の失敗例をかきます。昨年のお盆台風(台風7号)、大きいという予報だったので全部の遮光ネットを外しました。もちろん通過後に再設置しましたが、一日の空きがありました。

 

暑さと日射しはあなどれません。特に台風のあとは(梅雨明けの直後も)要注意なのです。分っていたのにどでカボチャに火傷を負わせてしまいました。たったの1日ですよ。

 

日焼けは本当に一瞬でたくさんの植物を失うことになりますので十分な注意が必要です。それと収穫時に出来た傷口や切り口を乾かし薬剤(ダコニールなどの殺菌剤)をこまめに塗ること、直射日光を避け 25℃前後の風通しの良い場所に保管すること。これにつきます。

 

昨年日本一になられた橋本さん(淡路島)は収穫後日本一大会の当日まで低温野菜庫に保管されていました。そういう環境にある方は良いのですが、高温多湿地帯で連日の猛暑日、25℃前後の風通しの良い場所などあろうはずもございません。

 

そこが悩みの種ですね。最後までお付き合いいただきまして有難うございました。

 

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