アルド コンテルノ:バローロ リゼルヴァ グランブッシア 1982 その2 | 古きイタリアワインの魅力を読み解く

古きイタリアワインの魅力を読み解く

イタリアンワインガイド ガンベロ・ロッソ 1988-1989
イタリアワイン界に多大な影響を与えるガンベロ・ロッソ Gambero Rossoですが、この初期(1988や1989当時)のレアなイタリアワインと古酒の数々を、掘り下げて解説します。

Vini d'Italia 1989 Gambero Rosso Vol.92

Aldo Conterno-Barolo Riserva Granbussia 1982 その2

 

前回の続き、まずは①②の注釈から。

 

①色・薫り・味の官能試験(試飲)をクリアし、一定条件を超えた場合のみ生産。

ベースワイン割合のRomirasco70%、Cicala15%、Colonnello15%は変動あり。

②Granbussia生産年:71,74,78,82,85,88,89,90,95(RF導入),96,97,98,99,00,01,05,06,08,09。

 

Aldo Conternoの畑地図と写真を載せました。地図の赤丸がAldo Conternoのカンティーナ場所です。写真の青・黄・緑・赤点が各クリュ場所になります。

 

さて、Aldo Conternoが息子達に薦められて導入したロータリーファーメンター(RF)に関して少しだけお書きしましょう。前回と上記のGranbussia生産年に書いた通り、1995年の収穫からAldo Conternoはロータリーファーメンターを導入し、Granbussiaにも使用しています。

1980年代後半からピエモンテを席捲したロータリーファーメンターの導入やバリックの使用を頭から否定するつもりはありませんが、Nebbioloというブドウ特性や、多岐に渡るバローロのクリュの個性を引き出すには至らなかったと思います。むしろ、ブドウの出来が悪い時や、土地条件の悪い地から収穫されたブドウを使用してワイン造りをせざる得ない場合に使用されるべき物であったと思っています。現在は行き過ぎたRFやバリックの導入に対する見直しが進み、折角高額で購入したRFを親の仇とばかりに安値で売り飛ばすカンティーナも多いのですが、それを否定し止めてしまうのでは無く、IGT用等に大いに使えば良いのにとも思っています。イタリア人、思い込みが激しく極端ですからね、でも、この思い込みの強さと極端さが、俗に言う『スーパータスカン』や『バローロボーイズ』や『オレンジワイン』『アンフォラ』を産んだと思っていますが。

 

個人的にはRF導入により磨きがかかり、導入前の『どすこい感』がなくなりバランスが良くなったと思いました。但し、私がGranbussiaに求めるのはこざっぱりと洗練された容姿では無く、胸板が厚く二の腕が太い筋骨隆々とした体躯です。特にRF導入前の1982、1985、1988、1989は忘れられません。

Granbussiaの良さは、

全体がBussiaのキャラクターで統一されており、でこぼこ感が無い。エレガント。単一クリュ物が陥りやすいキャラクターの偏りが無い。単一クリュ物に比べ、圧倒的な奥行きがある、

存在がどっしりとあり、自己主張せず、懐深く構えており、感情的な起伏が少ない。じっくり構えて対話が出来るので、時間をかければかけるほど、薫り・味での発見が多く、隅々まで細かいディテールやニュアンスを堪能できる、正に堂々とした絵画の様な一本です。

バローロやバルバレスコはブルゴーニュに例えられる事が多く、ネッビオーロはピノノワールと比較される事が多いのですが、Granbussiaを例えるなら『ブルゴーニュ最上の三つのグランクリュをボルドー赤のアプローチで混ぜ合わせ造った』という事でしょうか。それぞれ個性的なBussiaのRomirasco、Cicala、Colonnelloは単独で作品とされる出来。それを各々の性格を図りながら混ぜる%を計算し、更に優良年しか生産しないという贅沢さ。

だからこそ、上記の様な良さが感じられ、私的に偏愛される一本なのです。

 

次回はそんなAldo Conternoの人気ぶりを証明する様な、困った出来事をお書きします。

 

Barolo Riserva  Granbussia 1988 1989   バローロ リゼルヴァ グランブッシア 1988   1989

Barolo Riserva  Granbussia 1989   バローロ リゼルヴァ グランブッシア 1989

Barolo Riserva  Granbussia 1990   バローロ リゼルヴァ グランブッシア 1990

Barolo Riserva  Gran Bussia 2009    バローロ リゼルヴァ グラン ブッシア 2009

Aldo Conterno  アルド・コンテルノ カンティーナ内