サラパルータ:ドゥーカ エンリコ 1984 その1 | 古きイタリアワインの魅力を読み解く

古きイタリアワインの魅力を読み解く

イタリアンワインガイド ガンベロ・ロッソ 1988-1989
イタリアワイン界に多大な影響を与えるガンベロ・ロッソ Gambero Rossoですが、この初期(1988や1989当時)のレアなイタリアワインと古酒の数々を、掘り下げて解説します。

Vini d'Italia 1989 Gambero Rosso Vol.07

Duca di Salaparuta-Duca Enrico 1984

 

今回はDuca di Salaparutaです。昔から南部赤のエース。

知ったのはヴィーニ・ディ・アライ(当時マニン)の荒井さんが柴田書店発行の雑誌でお勧めしていたワインだったから。

1980年代の事です。

 

Duca Enrico(三代目当主:エンリコ公爵から命名)エノロゴ:Franco Giacosa(当時)

生産初年度:1984、

平均生産本数:現在140,000本、

ブドウ品種:Nero d’Avola 100%、

畑土壌:石灰・シリカ混合、

畑位置:シチリア南部から内陸へ、平均海抜:200~300m、東西南北全方位に展開、自社畑(Tenuta Suor Marchesa、2002~)

栽培方法:アルベレッロ、

密植度/h:5000本、

平均樹齢:18~32年(2000年当時)、

収穫法:手摘み、

マセ&ファーマ容器:INOX、

マセ温度:28~30℃、

ファーマ温度:21℃、

マセ&ファーマ日数:8~10日(マロ含む)、

樽熟成:最低18か月、

樽熟成容器:フレンチオークバリック、

樽メーカー:RADOIX、GAMBA、

瓶熟成:温度調整された室内で18か月、

 

生産初年度1984にいきなりTreBicchieri。続く1985は未だにDucaEnricoの伝説年。私自身も1985を最高の一本として挙げます。主たるエティケッタデザインはほぼ変わらずですが、徐々に生産本数が多くなりボトル下部の総生産本数とシリアルナンバー表示が廃止されました。

 

近年のDuca di Salaparutaの成功は、1974年ピエモンテ生まれのエノロゴ、Franco Giacosaの入社から始まります。Ezio Rivellaの弟子として入社した後、まずCorvoブランドの更なる品質向上と供給量の安定(1998年、SSalaparuta社の年間総生産本数:920万本、うちCorvo Rosso300万本、Corvo Bianco270万本)に着手します。その後、豊富な資金を利用してイタリア初のNerod‘Avola100%プレステージワインの生産に着手、Suor Marchesa地域のブドウを購入して(つまり買いブドウでの)生産を開始します。1997年にFranco GiacosaがZONINに移りますが、2002年SuorMarchesa同畑を購入してからは自社栽培・生産が始まりました。

 

Franco Giacosaの移籍前後での大幅なスタイル変更はありませんが、最近では醸造技術の進歩と生産回数をこなした事での手練れ感が作風に反映されるようになり、84~90で体感した、のけぞる様な濃さと美味さは影を潜め、より落ち着いた雰囲気を醸しだす様になりました。但し、昔も今も単独で飲むにはしんどいワインですね。口当たりは悪くないので調子に乗って飲み進めると、知らず脚に来るワインです。あまり経年変化も無く、飲み頃の見極めが難しいのですが、生産本数も多く価格も安定しているので、イタリア南部のワインとしては珍しく、オークションワインとしてよく見かけます。

 

次回、Duca Enricoをまとめます。