特別編 シガー:トリニダッド・フンダドーレス その2 | 古きイタリアワインの魅力を読み解く

古きイタリアワインの魅力を読み解く

イタリアンワインガイド ガンベロ・ロッソ 1988-1989
イタリアワイン界に多大な影響を与えるガンベロ・ロッソ Gambero Rossoですが、この初期(1988や1989当時)のレアなイタリアワインと古酒の数々を、掘り下げて解説します。

Vini d'Italia 1989 Gambero Rosso Vol.06

Distillati&Liquori di Gualtiero Marchesi

Trinidad-Fundadores Vol.2

 

今日はシガーTrinidad Fundadores・12月15日の続きをご紹介します。日本版WikiでTrinidadを検索したら、あまり詳細が書かれていなかったので、Trinidadに関してのHabanos S.A. La Casa del Habanoの公式文書を載せました。更に下記情報を加えます。

 

1969年、製造開始。El Laguito工場(Cohiba)生産。手巻き。政府関係者とその要人、国賓に対する献上品としてのみ生産。1サイズのみ:Laguito No.1

1995年、パリにて、米雑誌『Cigar Aficionado』主催の『世紀の夕食会』席上で非公式にお披露される。

1998年2月20日、ハバナのハバナ・リブレ・ホテル(かつてはカストロ議長の定宿だった)の式典で一般公開&販売開始。Trinidad Fundadoresのみ。

一般用販売に伴いサイズ変更:Laguito No.1から新サイズLaguito Especial(長さはLaguito No. 1 と同。ゲージが38から40へ)へ変更されている。

1998年4月2日、イタリア国内発表会。Big Smoke Party。Gualtiero Marchesi-L’Albereta宴会場にて。

2003年11月、英国にて新ライン発表。以降、発表を続け、現在確認できる種類は別表+下記の通り。

Robustos T Tubo (50 ring gauge×124mm length)

Vigía (54 ring gauge×110mm length)

Topes Edición Limitada 2016 (56 ring gauge×125mm length)

La Trova (52 ring gauge×166mm length)

(ゲージ&レングス共に資料により±1程度の差があり)

 

元来国賓用シガーだったCohibaは1982年に市場解禁され、Trinidadだけ市場解禁が遅くなり神格化されます。従って、ブランドの格としてはTrinidadの方がCohibaより上位とされてきましたが、個人的にはCohibaの方がTrinidadより高品質だと思っています。

ラッパーやコアを解き見てみます。Cohibaは葉が大きくしっかりしており、燻しの色合いも強く深く照りが強い。点火前の煙草葉の薫りは繰り返し行われた発酵熟成(高級シガー葉は3~4回ほど発酵回数を重ね、味に深みを与えます)に由来する独特のシガー葉臭が強く漂います。Trinidadはより軽く、発酵の段階がCohibaより手前で止めてある(三次発酵が成されていないと思います)、ローストも浅めの印象を受けます。よって、TrnidadのFundadoresのゲージを38から40に変更しても、十分に喫煙可能なのですね。

 

イタリアでのシガー購入はまだまだ場所が限られており、Habanos S.A. La Casa del Habanoのイタリア支部への注文がほとんどでしたが、どうしてもレストラン用を店頭購入する場合や、自分用の購入は下記二箇所に限定していました。

 

・イタリア:ミラノ Noli:Galleria Vittorio Emanuele II, 82,  https://www.nolipipe.it

1927年創業の老舗。ミラノドゥオーモ広場隣接ガレリア内。

・スイス:ルガーノ Tabaccheria Cavallini:Via Nassa 21,  http://www.tabaccheria-cavallini.com

1965年創業。イタリア語圏、ミラノからは電車で一時間という便利な隣国。ウォークインシガーセラー。

 

上記二店舗は品揃えが良く(特にNoliには取り置きをお願いします)管理もまずまず。何より偽物が無かった。以前書きましたが、Molinariと知り合うきっかけはマルケージでのシガー偽物騒ぎだったほど、当時は偽物(或いはキューバ政府検品前の横流し品や検品落ち)が横行しており、シガーを良く知らないTabaccheriaでの販売品はひどい物が多かったのです(偽物の見分け方を少しだけ掲載しました。但しMolinari無許可。ごめん)。

バラ売り、或いは紙箱入りは購入しません。シガー木箱入りで、きちんと釘打ちされているか、TAXシールで封印されているか、箱底の焼き印とインクスタンプ両方を確認します。通常は、箱を開けて中身の確認をする事が出来ないので、顔なじみになり、店内での中身確認を許されるまでは、封印を解かずに持ち帰りました。因みにTrinidad Fundadoresのみ1箱24本、その他は全てのメーカー25本。奇数なのに写真で見ると偶数本収められている様に見えますが、空いた1本分の場所のみ紙で底上げされています。他、薄い杉の板が1枚入っており、手で割いてシガー着火に使えるようになっています。

 

シガーに多い虫食いに関して。実はワインのブショネより多い確率で当たります。封印され中身が確認出来ない為、尚更リスクが高いですね。燻煙により、ある程度までならば成虫を退治出来ますが、事前に産み付けられた卵がその後に孵化する事も多く、虫食いシガーに当たった経験は多々あり。ラッパーに穴が開くと吸引出来ないので、軽度な場合はセロテープで穴を塞ぎ吸います。シガー内部の葉が食われて巻きがスカスカになった場合は、他の虫食いシガーを集め解き、無事なラッパーに中身を拡げ、自分で手巻きして吸います。ラッパーの接着方法は状態により様々。工夫しながら吸っていました(虫食いの写真も載せました)。

 

現在社会では肩身の狭いシガーですが、ハードリカーと共にまだまだ需要が有る筈。これからもご紹介を続けたいと思います。


この項 了。明日からまたワインをご紹介します。