厚生労働省は食品中の放射性セシウムの規制値を、年間被ばく放射線量5ミリシーベルトから1ミリシーベルトにし、それに基づいて決めたベクレル値を4月から実施する予定です。その規制値案について、文部科学省の放射線審議会が昨日議論したのですが、その様子を伝える大手メディア各社のニュアンスが違っているようです。

食品新基準の答申、次回に持ち越し 放射線審議会
(msn産経ニュース2012年2月2日18時49分)
食品の放射線新基準「厳しすぎる」 文科省審議会
(朝日新聞 2012年2月2日23時54分)
食品の新規制案「汚染、過大に想定」…文科省審
( 読売新聞 2012年2月2日22時50分
東日本大震災:「乳児食品は100ベクレル」 セシウムの新基準に緩和案--文科省審議会
(毎日新聞 2012年2月3日 東京朝刊)

とくに産経ニュースなんて
「委員から文面に異論が出て、字句の修正が必要」なだけ
とはひどいですね。

読売新聞の記事を一部引用
・・・答申案では、肉や野菜など一般食品で1キロ・グラムあたり100ベクレルなどとする新規制値は、放射線障害防止の観点では「差し支えない」とする一方、実態よりも過大に汚染を想定していると指摘するなど、規制値算出のあり方を疑問視する異例の内容となった。

 これまでの審議で委員は、最近の調査では食品のセシウム濃度は十分に低いと指摘。規制値案はそれを踏まえず、食品全体の5割を占める国産品が全て汚染されていると仮定。日本人の平均的な食生活で、より多く被曝することになるとして、各食品群に割り振った規制値を厳しくした。この点を審議会は「安全側に立ち過ぎた条件で規制値が導かれている」とした。・・・

産経を除く3社の記事では
「新しい基準値(規制値)は、被災地の復興の妨げになる」
との懸念が含まれています。

たとえ被災地の復興の妨げになったとしても、緩い規制値で汚染された物が流通し、日本中の人が放射能にさらされることになるなんて、許せない、それとこれとは別問題だ!」
と感じていた人、多いと思うのです。私もそうです。
正直今もまだ、すっきりしない部分もあります。

しかし、今や精度の高い(検出限界10ベクレル以下)調査の結果、私たちの食事中のベクレル値が新規制値よりずっと少ないレベルだということもわかってきています。なので、現実問題として、あまり科学的根拠のない「安心」にこだわって、被災地の足をひっぱるのもどうか?とも思えてきました。

また、穴だらけの食品放射能検査体制
の記事で書いたように検査体制が整っていないとなると、規制値を下げることで測定不可能続出(非検出というと聞こえはいいが)ということになり、かえって今より悪い状態になってしまう恐れだってあるのですよね。

食品中の放射能濃度の新しい規制値をめぐる問題
さて、さて、今後どういうことになるんでしょうか・・・


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引きつづき、東大の早野龍五先生のツイートから勉強しています。 

先日書いた福島の食事、1日4ベクレル 被曝、国基準の40分の1
の記事のような調査で使われるような精度の高い(検出限界値が10ベクレル以下)食品放射能測定器って、残念ながら国には限られた数(216台)しかないそうです。

今の現状から、公共検査に任せていられない食品関連企業各社は、
独自に検査を実施してますが、どうもその測定機器の精度が不十分かもしれないのです。
もちろん、おおまかに、異常に高い測定値のものをスクリーニングし排除する目的には使えますが、
4月から導入される新基準値には対応できない可能性が高いそうです。
詳しくは↓

穴だらけの食品放射能検査体制、4月の新基準値導入で混乱必至

(週刊ダイヤモンド2012年1月30日)
・・・福島第1原子力発電所事故による放射能漏れで、食を取り巻く環境は一変した。国が安全宣言を出したあとに暫定規制値を超過する食品が流出するなど、公的検査の信頼性が失墜するなか、食品関連企業は独自に放射能検査を始めた。食の安全はいったい誰がどう保障するのか。ずさんな食品放射能検査体制の実態を明らかにする。
(中略)
放射性物質の測定には、誤差が伴う。たとえば、100ベクレルを確実に計測するには検出限界値(検出できる最低値)が10ベクレル以下でないと難しい。「現在普及している簡易スペクトロメータでは検出できないケースが急増する可能性が高い」と早野龍五・東京大学教授は指摘する。
(中略)
 「暫定規制値がより低くなるのは歓迎」という声は消費者からも出ている。だが、それを担保するだけの検査体制がつくられないまま改定するのは、大混乱に陥っている食品の放射能検査体制を、さらに迷走させることになりかねない。・・・。(「週刊ダイヤモンド」編集部 鈴木洋子)

読者の方はご存知と思いますが、
私は、今までずっと「暫定基準値は高すぎる、もっと厳しくすべき」と、
言い続けてきました。消費者として、規制値は低ければ低いほど「安心」
ということになりますものね。
しかし、現実に、基準値を下げることによって食品中の放射能濃度が減るわけではないし、
今のままでも十分問題にならないくらい低いということがデータとしてあることがわかってきたので、
複雑な気持ちになってしまいました。

FOOCOM.NETの松永さんの記事に心打たれるものもありますし...
 ↓
消費者の安心のための新基準値でよいのか?
(FOOCOM.NET 2012年1月20日)
・・・福島も地域によって、放射線リスクはさまざまである。当然、個人によって対応も判断もいろいろ。食品による内部被ばくや環境中にある放射性物質による外部被ばく、それに、タバコや運動不足等の健康リスクを検討し、さらには仕事を続けられるか、家族で暮らせるか、心やすらかに生きられるか、多くの事象の総合的な判断として、福島を出た人もいるし、そのまま暮らし復興して行こうとする人もいる。

 個々の判断を尊重しなければいけない。そして、支援しなければいけない。ならば、産業再生の妨げを、大きな被害を受けなかった者たちの「安心」のためにしてはならないのではないか?・・・

ぜひ全文を読んでみてください。
科学的根拠のあることを述べていながら、著者の感情も伝わってくる記事だと思います。

検査体制の整備が遅れているから、松永さんのような意見もあるから
でも、だからと言って、暫定基準値は今のままいいか?
というと、それも賛成できない。
なぜか?
その理由は、消費者の安心のため?
政治的なこと? 他国へのイメージのため?
う~んまだ頭の中が整理できていない状態なので、今後の課題とします。


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昨日今日と首都圏は積雪も溶け切らず冷え込んだままです。



昨日の朝、どこもガチガチに凍結しているので

私はそっとそっと気をつけて歩いていたつもりなんですが

都心の某交差点、横断歩道の途中で信号が変りそうになり

あっ急がなくてはと、思った次の瞬間

後頭部が路面に打ちつけられていました。

しばらく、何が起きたのかわからならなかったです。



でも、自分で起き上がれましたし、打った頭は痛いけど

気分が悪くなるということはありませんでした。



「大丈夫ですか?」

「頭は怖いから、今大丈夫そうでも、調べてもらった方がいいですよ。」


などと声をかけて下さった通りがかりの親切な方々には感謝です。



念のため、脳神経外科で検査を受けて異常がないこともわかりましたので、ひと安心。



お医者さんに「さっきの方と同じですね、今日は仕方ないですよね。」



と言われてしまいましたわ。

同じような痛い目にあった方が多い日だったようです。



大きなタンコブはまだ痛いけど、PC操作ができるほどには元気になりました。



今もまだ凍結した路面が残っています。



出かける方は、お気をつけくださいね。



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昨日の記事、福島の食事、1日4ベクレル 被曝、国基準の40分の1
では、どのようにして4(正確には4.01)ベクレルが、福島の食事を代表する数値となったのかまでは、私は触れませんでしたが、これは平均値ではなく中央値(データを高低順に並べて真ん中の値)です。しかし、最大値の17.30ベクレルでも、国の新基準の10分の1程度というのが朝日新聞の説明でした。もし平均値をとったとしたら5~6ベクレルのようです。

いずれにせよ、これらの値を、
文科省既存のグラフと比べてみることができるなと思っていたら、

水無月 さんという方が実際にプロットする作業をされ、
こんなわかりやすいグラフを作って下さっていました。

縦長すぎて見難いので別バージョン。

やはり、数値だけより視覚的に見る方がわかりやすいですね。
このグラフを見て、みなさん、どのような印象を受けられたでしょうか?


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東大の早野龍五先生のジュネーブからのツイートで、
朝日新聞社と京都大学・環境衛生研究室の共同調査結果が19日の朝刊に掲載されると知り、昨日は、仕事から帰宅後、いつもより時間をかけて新聞を読むことにしました。
これって、NHKなどテレビのニュースにもなるかと思ったのですが、私の見た限りではなかったですね。
さすがに朝日新聞では、大きく取り扱われていましたが。
紙面の方がずっと詳しいですが、ネットでも掲載されていましたので、リンクを貼り、一部分を引用します。

福島の食事、1日4ベクレル 被曝、国基準の40分の1

(asahi.com1012年1月19日)
・・・家庭で1日の食事に含まれる放射性セシウムの量について、福島、関東、西日本の53家族を対象に、朝日新聞社と京都大学・環境衛生研究室が共同で調査した。福島県では3食で4.01ベクレル、関東地方で0.35ベクレル、西日本でほとんど検出されないなど、東京電力福島第一原発からの距離で差があった。福島の水準の食事を1年間食べた場合、人体の内部被曝(ひばく)線量は、4月から適用される国の新基準で超えないよう定められた年間被曝線量の40分の1にとどまっていた。・・・

早野先生のツイートでは、こちらの記事も合わせて参考にするようにとのことです。

コープふくしまでは組合員さんの協力を得て、陰膳方式により実際の食事に含まれる放射性物質測定を進めています(2012年1月18日更新)。
・・・c)セシウムが検出された家庭で、仮に今回測定した食事と同じ食事を1年間続けた場合の放射性セシウムの実効線量(内部ひばく量)を計算すると、年間合計約0.01ミリシーベルト~0.06ミリシーベ以下となります。・・・

調査からわかったことは、この食事を1年間続けた場合の被曝線量は
上の記事では 0.023ミリシーベルト
下の記事では 0.01~0.06ミリシーベルト
(セシウム137を10ベクレル含む食品を1年間食べ続けた場合の線量は約0.05ミリシーベルト)
4月から適用される新基準は 1ミリシーベルト ですから十分低いと言えますね。

文部科学省は1963~2008年度の日常の食事に含まれる放射性物質の量を調べていたそうなのですが、
それがこのグラフです。↓


(文部科学省 環境放射線データベース)

60年代は、アメリカ、旧ソ連、中国などが、大気圏内で核実験を盛んに行っていた影響で高くなっているようです。
これを見るとチェルノブイリ原発事故の影響もわかりますね。今回の福島の4ベクレルという値も過去のデータと比較することができます。
2008年で一旦終了してしまっていた調査のようですが、早野先生の御尽力により、調査の継続が国の新たな方針となりつつあるようです。



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