大好きなイタリアンのお店、『しゅうご』を久し振りに訪問。
飯田橋駅を出ると、雨が止んでいる。
空は雲で覆われているが、青空も顔を覗かせ始めている。
神楽坂で彼女と待ち合わせると、神楽坂通りを上り、今夜のお店に向かう。
まだ夕食には時間が早いので、神楽坂通りを行き交う人は少ない。
あと一時間もすれば街は人で溢れることになる。
街灯に灯が点る。
ここはまだ神楽坂下なので、神楽坂と書かれた旗の色はあずき色。
神楽坂上交差点を右折して向かった先は、神楽坂のイタリアンの人気店、『しゅうご』。
店の名前はこの小さな表札に書かれた薄い文字のみ。
知らないと通り過ぎてしまう店だ。
私達の席は、オーナーシェフの廣瀨周悟さんの真ん前のカウンター。
ここでは毎回必ずこの席に座っている。
背中を見せているのが、周悟シェフ。
シェフとお話ししながら食べると料理の味わいが一層深まるので、この席が好きなのだ。
最初はグラスのスパークリング・ワインで乾杯。
コロナ前までは上質のカヴァが使われていたが、今はスプマンテに代わっている。
エミリア・ロマーニャ州のチェヴィコが造る、ラルス、スプマンテ、ブリュット。
ぶどうは有機栽培されたトレッビアーノ。
お通しは、マッシュルームのスープ。
毎回違うスープが出されるが、これが熱々で美味いのだ。
一皿目の前菜は、大分関アジのゴマ焼き。
ここでは料理は一人に一皿で出される。
関アジの身が厚く、プリプリで素晴らしく美味い。
たっぷり掛けられたゴマが香ばしく、食欲をそそる。
白ワインはそれぞれ好きな物をグラスで注文。
私はオーストリアのミュラー・グロースマンが造る、グリューナー・フェルトリーナー、クレムスタールDAC、2019年。
クレムスタールはニーダーエストライヒ州のDAC。
ミュラー・グロースマンは母娘の親子二代でワイン造りを行う家族経営のワイングート。
洋ナシや青リンゴのようなフルーティーでフレッシュな果実味、酸とミネラルとのバランスが素晴らしい。
自然酵母を用い、ステンレスタンクで発酵・熟成されている。
グリューナー・フェルトリーナーを飲んでいると、彼女と楽しんだ昨年のウイーン旅行を思い出す。
彼女が選んだのは、フランス、ラングドック地方のドメーヌ・ラ・テラス・デリーズが造る、シクレヌ、2016年。
南仏モンペリエ近郊のドメーヌだ。
少し試飲させてもらった。
熟した洋ナシ、白桃の香り、そして仄かな樽香。
豊かな果実味のあとには、蜂蜜や炒ったナッツのニュアンス。
天然酵母を用い、オーク樽で6ヶ月間熟成。
ぶどうはオーガニック栽培された、シャルドネ、マルサンヌ、ルーサンヌ。
二皿目の前菜は、種市アオリイカとアボカドのディルマリネ。
ねっとりと旨味が詰まったアオリイカだ。
イカをアボカドとディルと和えてこんなに美味いとは驚き。
やはり周悟シェフのセンスは素晴らしい。
神楽坂の人気のイタリアン、『しゅうご』で彼女と過ごす楽しい夜は続きます。