丸の内の南仏の風を感じるレストラン、『サンス・エ・サヴール』で彼女と過ごす素敵な夜の続き。
ここはフランス、モンパルナスにある三ツ星レストラン、『ル・ジャルダン・デ・サンス』の東京店。
オーナーのジャック&ローラン・プルセル兄弟は、最年少で三ツ星を獲得した天才シェフ。
二種類目の白ワインは、ブルゴーニュのシャルドネ。
コート・シャロネーズのクローディ・ジョバールが造る、リュリー、モンターニュ・ラ・フォリ、2011年。
クローディーは大好きな造り手。
ブルゴーニュで注目の女流醸造家で、自らのドメーヌの運営に加え、ルモワスネの醸造責任者も務めている。
2011VTは熟成が充分に進み、本当に美味い。
ソーヴィニヨン・ブラン(左)とシャルドネ(右)の飲み較べも楽しい。
飲んでいるソーヴィニヨン・ブランは、アルフォンス・メロのサンセール、サテリテ、2010年。
樽を使った珍しいサンセールだ。
続く料理は三ツ星シェフ、ローラン・プルセルの最新作。
トリュフの香りを纏ったジャガイモのニョッキ、フォアグラのソテー、菊芋のピュレ。
新牛蒡と夏トリュフのグラッセ、パルメザンチーズのコポー、バニラ風味の西洋牛蒡のエムルッション。
フォアグラのソテーに、ジャガイモのニョッキや菊芋や牛蒡を合わせるとは面白い。
上に乗った牛蒡を横に外すと、大きなフォアグラが現れる。
ローラン・プルセルの新感覚の一皿だ。
リュリーをお代わりし、フォアグラに合わせる。
仙台産鱸の蒸し焼き、明石産真蛸のベニエ、あさつきの香るヒヨコ豆と枝豆のコンカッセ。
小豆島<八木農園>早摘みオリーブバージンオイルと高知県<白木果樹園>小夏のヴィネグレットソース。
福井県永平寺産黒ニンニクのアイヨリソースとネパール産ティムペッパーのアクセント。
肉厚の鱸は、120℃でじっくりと蒸されている。
ヴィネグレットソースは、小夏を皮ごと磨り潰し、トマトとオリーブオイルを加えて作られている。
明石産の真蛸のベニエは身がプリプリで美味い。
熱々の新しいパンも届く。
赤ワインはスッド・ウエストのアラン・ブリュモンが造る、シャトー・ブースカッセ、レ・メンヒル、2007年。
アラン・ブリュモンはマディランの地ぶどう、タナを世界レベルまで高めた功労者。
その功績により、フランス最高勲章、レジオン・ドヌールを叙勲されている。
ブラックベリー、プラムやカシスの黒い果実のニュアンス、そして強いが滑らかなタンニン。
タナの語源はタンニンだけあって、タンニンがとても強いのだ。
セパージュは、タナとメルローが半分ずつ。
鹿児島県産和牛サーロインのロティ、ジャガイモのモワルー、アスパラガスのパネ、スパイス香るキャラメル、オリエンタルなハーブのコンディメントと共に。
肉の焼き色が素晴らしい。
オリエンタルなハーブのコンディメントは、ミント、コリアンダー、生姜等を入れた爽やかなソース。
アスパラガスのパネも歯応えが心地よい。
ジャガイモのモワルーは言葉通りとても柔らかい。
シャトー・ブースカッセ、レ・メンヒルはとても濃いのだが、光にかざすと不思議と光を通す。
肉に良く合って美味い。
モワルーショコラとトンカ豆の香るガナッシュ、ピスタチオのクリーム、フランボワーズとスパイスでマリネしたアメリカンチェリー(グリオットチェリー)、赤紫蘇のアクセント。
説明の中にこのアイスクリームが入っていない。
ひょっとして、赤紫蘇のアクセントがこれなのか。
なんだかおもちゃ箱をひっくり返したような楽しいデセールだ。
鴨田料理長がテーブルに来てくれたので、今夜の料理の感想を述べ、いろいろ質問する。
とても勉強になる楽しい時間。
「今夜も楽しかったわ、ありがとう。サンス・エ・サヴールはフレンチの枠にとらわれない料理が楽しいわね」と彼女。
「今夜の料理も意外性があって面白かったね。僕もここは好きだよ」と私。
ミニャルディーズは、”サンス・エ・サヴール”と書かれた蒔絵の箱で出される。
今夜の『サンス・エ・サヴール』も美味しく楽しかった。
石井支配人に見送られ、店をあとにする。
地下一階に下り、丸ビルから新丸ビルに移動する。
向かった先は、成城石井。
彼女のために、朝食用のサラダを幾つか購入。
彼女と過ごす、丸の内の楽しい夜でした。