ディジョンでの午後、コート・ド・ニュイを訪問する計画を立てていた。
案内兼運転手をお願いし、車で出発。
ディナーはミシュラン二つ星レストランを予約しているので、4時間半程度の駆け足での訪問。
最初に訪れたのは、船が浮かぶ長閑な波止場。
昔はここからワインを船に積んでパリに運んでいたのだそうだ。
運河にはいくつもの水門が設けられている。
長い運河は水位が変わるため、水門で調整しているのだ。
ブルゴーニュには水路が張り巡らされており、バルジという小型船のクルーズも有名で、楽しそうだ。
車は運河沿いを走る。
運河の水位が高く、水面は周りの地面より随分高いところにある。
大雨が降ったり堤防が決壊したりしたら大変なことになりそうだ。
車は水路を離れ、山の中に。
道路標識には、ニュイ・サン・ジョルジュ方面と書かれていた。
車はどんどん山を登り、霧で視界が悪くなってきた。
稜線を越えたようで、道がだんだん平坦となってきた。
それでも霧で景色は殆ど見えない。
ふっと霧が切れると、そこにはぶどう畑が広がっていた。
通ってきた山道は、コート・ド・ニュイからパリ方面への抜け道なのだそうだ。
グーグルマップで現在地を確認しながら車に乗っていたので、地理がよくわかって楽しい。
案内のジャンさんが、ここはジュヴレ・シャンベルタンのグラン・クリュ畑ですと、車が進むに従って次々とグラン・クリュの名前を挙げてくれる。
目の前の看板には、「ブルゴーニュ、リュショット・シャンベルタン、グラン・クリュ、3.30ha」と書かれている。
次に現れたのは、シャンベルタン・クロ・ド・ベーズ。
ドメーヌ・ピエール・ダモワの畑だ。
しばらく走ると、グラン・クリュ畑、クロ・ド・ラ・ロッシュ。
モレ・サン・ドニに来たということだ。
ジャンさんが畑や村々について説明してくれる。
グラン・クリュ街道は道が狭く曲がりくねっているので、ジャンさんに運転に専念してもらうため質問を控える。
醸造所を兼ねている家が多いようだ。
二階が居住スペース、一階が作業スーペースになっている。
時間が無いので、どんどん先に進んでいく。
標識にはこの先ニュイ・サン・ジョルジュと書かれているが、私達の目的地はその手前。
延々と続くコート・ドールのぶどう畑。
所有者によって樹の手入れの状態が異なっているところが面白い。
既に剪定を終えている畑もあれば、まだ剪定をしていない畑もある。
丘を下った前方に、大きな屋敷が見えてきた。
シャトー・デュ・クロ・ド・ヴージョに到着。
城が大きすぎので、かなり後ろに下がったがまだカメラに納まりきらない。
入り口の右手には、ヴィンテージ・ワインを収めたセラー。
ここはシトー会修道士の館だったが、今はワイン造りの道具の博物館となっている。
ゲートをくぐると、そこは「名誉の中庭」という名の広い中庭。
ここが一年で最も華やぐのは栄光の三日間の初日、ブルゴーニュの利き酒騎士団(シュバリエ・ド・タストヴァン)の入団式と晩餐会が開催されるのだ。
そしてまさに、明日がその初日。
振り向くと、今入ってきたゲートの上が居住スペースや事務所になっているようだ。
ゲートを背にして左手に井戸。
案内兼運転手のジャンさんが説明してくれる。
井戸の底には明りがぶら下げられているので、深さが良くわかる。
釣瓶を上げ下げするのは、この滑車。
ノットを付けたロープが滑車の金具に引っ掛かって滑車が回る仕組み。
滑車が華奢なのが意外。
ゲートを背にして右手には、ぶどうの圧搾場。
シャトーというより、農家と言った風情。
圧搾場はコの字型になっていて、小さな中庭にはぶどう籠を運ぶ人の像。
圧搾場内にはオークの木製の巨大なキャプスタン式プレス機が4台置かれている。
四つの角に一台ずつのプレス機。
どうやってぶどうを絞るのか、ジャンさんの熱心な説明が続く。
中庭を入り口とは反対側から見たところ。
二台目のプレス機。
一台がとても大きく、ここで大量のワインが造られていたことがわかる。
これが何の展示だったのか、質問し忘れた。
三台目。
格子になっているところで果皮を漉し、その下の舟口から果汁が流れ出る仕組み。
ゲートを背にして正面右手の建物には、宴会場。
ここでブルゴーニュの利き酒騎士団の入団式と晩餐会が行われるのだそうだ。
テーブルはとても質素。
このテーブルにぎっしりと座れば、600人を収容できるとのこと。
式典を明日に控え、準備が進められている。
天井の骨組みはとても複雑だが、材木が細いのが驚き。
私の先祖の田舎の家の骨組みの方がずっと太い。
壁の手前に、途中までの高さの壁がもう一つある。
ジャンさんに聞くと、手前が昔の壁で、後ろ側が改築して天井を嵩上げした時の新しい壁なのだそうだ。
ホールの中には、小さな映画館のような場所があり、数分間の城の紹介ビデオを見ることが出来る。
ビデオの題は、「無意味な人生より、何時もワインを」といった意味。
「ワインがあれば憂いなし」がシュバリエ・ド・タストヴァンのモットーなのだ。
正面の左側には厨房。
ここは展示室。
この右に本物の厨房があり、料理人が忙しく立ち働いている。
明日の晩餐会の準備のようだ。
ゲート横の部屋に戻ると、そこはお土産屋さん。
クロ・ド・ヴージョ城の名前入りのお土産が色々売られている。、
壁にはコート・ド・ニュイのワイン産地の地図。
とても細長い地域であることがわかる。
最後に、シャトー・デュ・クロ・ド・ヴージョの全体像の写真を掲載。
これらの画像は、TOURIST OFFICE BEAUNE & PAYS BEAUNOISからお借りしました。
シャトー・デュ・クロ・ド・ヴージョを出ると、グラン・クリュ街道には戻らず、国道を走って一路フィサン村に向かう。
コート・ド・ニュイでの楽しい旅は続きます。