先々月のことディジョンで買ったフロマージュの熟成が進んだので、食べることにした。
スーマントランは、ブルゴーニュのアルマンスの谷で作られるウォッシュ・タイプのフロマージュ。
エポワースと同じ産地だが、エポワースが塩水とマールで洗われるのに対し、スーマントランは塩水のみで洗われている。
包みを開けた途端広がる強烈な匂い。
フランスでは「神様のおみ足」の香り、イギリスでは「豚の蹄の間」の香りと表現される香りだ。
因みにイタリアではゴルゴンゾーラの香りを「労働した後の足の裏」の香りと表現している。
嫌いな人にはとんでもない悪臭なのだろうが、好きな人にとっては愛おしい香りなのだ。
皮を破り中身を掬ってみると、充分に熟成が進みトロトロになっている。
一層”悪臭”が香り立つが、これが口の中に入ると”芳香”に変わるのだ。
このトロトロ感、強い香りがたまらない。
400gもあると食べきれないと思っていたが、美味しさのあまり一度に半分食べてしまった。
明日はジムでの運動量を増やそうと思う。
お供のクラッカーもパリで買ったもの。
でも、良く見ると国旗の三色の色が違う。
おぉ、これはイタリア製だった。
合わせるワインは、ブルゴーニュのピノ・ノワールにしようと思ったが、熟成したフロマージュには熟成したシャルドネも合うと思い、ヴィンテージの古いコトー・シャリトワを選んだ。
ロワール、サンセールの造り手、アルフォンス・メロがコトー・シャリトワで造る、レ・ペニタン、コート・デ・ラ・シャリテ、シャルドネ、2009年。
アルフォンス・メロはサンセールで19代続く名門で、サンセールで最大の造り手である。
コトー・シャリトワは、ブルゴーニュのシャブリ地区とロワールのサンセール地区の間にある産地。
昔はぶどう栽培が盛んだったが、フィロキセラ禍で壊滅し、忘れ去られた産地となっていた。
そのため今も認可されたAOCは無く、従ってこのワインもI.G.P.となっている。
コルクは長さも質もとても良い。
9年の熟成を経ているが、コルクの濡れ具合も良く、香りも素晴らしい。
グラスに注ぐと、若い頃の透明感のある黄金色から、飴色に変わってきている。
果実の華やかな香りは控え目となり、熟成からくるエステル香が取って代わりつつある。
口に含むと、熟した洋梨、メロン、パイナップルのニュアンスの後から、より複雑で重層的なストラクチャーが顔を出す。
充分な酸味も残っているので、全体として綺麗なバランスに熟成している。
こんなワインが生まれるのであれば、コトー・シャリトワがAOCを取得するのも遠い未来の話ではないだろう。
美味しいフロマージュと共に、好きな造り手の好きなワインを楽しんだ、今夜のお家ワインでした。