日本橋のイタリアン、『代官山ASO チェレステ日本橋』で彼女と過ごす楽しい夜の続き。
白は、私が好きな造り手のワイン。
ブルゴーニュ、コート・シャロネーズのリュリーでクローディ・ジョバールが造る、リュリー、モンターニュ・ラ・フォリ、2009年。
クローディ・ジョバールは注目の女流醸造家。
自らのドメーヌの運営に加え、ブルゴーニュの著名なネゴシアン、ルモワスネの醸造責任者を務めている。
2009年VTであり、熟成がかなり進んでいる。
濃い黄金色、熟した洋梨、林檎、パッションフルーツの香り。
樽のニュアンスも心地良い。
クローディのワインは好きなので、私のセラーの常連でもある。
桜のチップでスモークした真鯛と平貝のカルパッチョ、チェリーとマスカルポーネのソース。
煙を閉じ込めたグラスを持ち上げると、桜の薫香がテーブルにふわりと漂う。
この季節のサクランボは珍しい。
温室栽培なのだろう。
マスカルポーネのソースもピンク色でとても美しい。
真鯛は熟成させているので、味が濃厚。
真鯛と平貝の下には炒めたタマネギ、自然な甘味がカルパッチョに良く合う。
サクランボは輝きを放ち、とてもセクシー。
甘くて美味い。
オレンジとハーブ香る桜鱒のコンフィ、自家製タリオリーニに絡めて。
これは美しい一皿だ。
桜鱒は、60℃で30分間火入れされている。
散りばめられているのは、桜鱒の魚卵。
ここで再び熱々のパンが届く。
今度は違ったパンが二種類、両方をもらう。
店の中央には、ワインセラー。
セラーの上は、サービスカウンターになっている。
赤ワインは、ロワール地方のサンセールでアルフォンス・メロが造る、サンセール・ルージュ、ラ・ムシエール、2010年。
アルフォンス・メロはサンセール最大の造り手で、19代続く名門。
ラ・ムシエールはサンセールの丘の最上部にある最良の畑。
ソーヴィニヨン・ブランがメインの品種だが、ピノ・ノワールも植えられている。
豊かなミネラルと酸を持つ、綺麗なピノ・ノワールだ。
氷温熟成氷室豚肩ロースのタリアータ、駿河湾産桜海老トマトのソース。
氷室豚は群馬県産で、氷温で10日間熟成されている。
桜海老の香りが素晴らしい。
ソースは、アメリケーヌソース、フォン・ド・ヴォーにトマトピューレを加えて作られている。
抹茶とブラックカカオクッキーのセミフレッド、ラズベリーとフロマージュブランのソース。
抹茶の香りが心地良く、冷たいセミフレッドが美味い。
「今夜も美味しかったわ。チェレステも好きよ。今夜もありがとう」と彼女。
「菊池シェフの料理は本当に素晴らしいね。ここにはまた来よう」と私。
天見支配人に見送られ、今夜の礼を述べて店をあとにする。
日本橋三越本店新館を出ると、日本橋を渡り、呉服橋交差点で永代通りを右折する。
コレド日本橋はこの時間も明るく輝いている。
外堀通りを左折し、東京駅八重洲口に向かう。
八重洲側も再開発が進み、高層ビルが何本も建っている。
グラントーキョーノースタワーには大丸が入り、その最上階には『ポール・ボキューズ東京』がある。
向こうに見えるのはグラントーキョーサウスタワーで、その間はグランルーフで結ばれている。
さて、そろそろ帰途に就くこととしよう。
彼女と過ごす日本橋の夜は素敵に更けていきました。