今夜はイタリアン、アントニオス、ソイ31、スクムウィット、バンコク | ワインは素敵な恋の道しるべ

ワインは素敵な恋の道しるべ

白ワインは天使の如く貴方の心を解き放ち、赤ワインの真紅のグラスの底には悪魔が潜む。そして貴方は天使の如く大胆に、悪魔の如く繊細に、新たな恋の道を歩み始める。

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バンコクで彼女と過ごす楽しい休日の続き。

今夜は、二人が大好きなイタリアン、『アントニオス』を予約しておいた。

バンコクには素晴らしいイタリアンが幾つもあるが、私は『アントニオス』がNo.1だと思っている。

 

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スクムウィット通りからソイ31に入り、北にしばらく進んで横道を左折したところにある一軒家が今夜のお店、『アントニオス』。

この道の先には、邸宅イタリアン、『エノテカ』がある。

でも、今夜は喜びも半減。

今日と明日はお酒を飲んではいけない仏教の祝日なので、ワイン無しでイタリアンをどうやって食べれば良いのか、二人とも気分は真っ暗。

 

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席は、何時ものカウンターの一番奥。

ここに来るのは二年ぶりだが、何時もと同じ席を確保しておいてくれたことに感謝。

でも、カウンター内のスタッフは二年前と代わっている。

以前は気の良い男性だったが、今は可愛い女性。

 

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裏庭にはテラス席もあるが、今日はまだ空席。

夜になると、欧米系の客でいっぱいになる。

 

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カウンター内のタオさんに、「今日はお酒は飲めないんですよね」と私。

「本当はお酒を出すと違法なのですけどね」といって、タオさんはカウンターに座るイタリア系のカップルの方を手で示す。

なんと、お二人はワインを飲んでいるではないか。

「仏教の祭日でアルコールを飲んではいけないんですけど、仏教徒ではない人にまで禁酒を強要するのは良くないので、せめてここだけは飲める場を提供しようというオーナーの想いなんです」とのこと。

「私も仏教徒ではなく、クリスチャンです」と慌てて応える。

 

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という思わぬ幸運で選んだボトルは、イタリア、フリウリ・ヴェネツィア・ジューリア州の、ヴィッラ・マルティナ、ソーヴィニヨン。

フルーティーで酸とミネラルのバランスが良い辛口。

このお店のセラーのワインに外れは無い。

オーナーのアントニオさんにお礼を言いたいが、彼は今夜店に来るのかと聞くと、何と今週はキューバに旅行中とのこと。

奥様がキューバ出身なので、家族で里帰りしているのだそうだ。

アントニオさんとはここに来るたびに色々お話ししているので、お礼の言葉を名刺に書いてタオさんに託す。

「本当に幸せなサプライズね。アントニオさんにお礼を言いにまた来なくちゃならないわね」と彼女は嬉しそう。

「君はまだアントニオさんに会っていなかったね。とても素敵な人だけど、ぱっと見はスキンヘッドで迫力あるよ」と私。

 

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テーブルにつくと、このパンのプレートが届く。

ピッツァ風フォカッチャ、グリッシーニ、そしてトマトとハーブのオリーブオイル漬け。

このトマトをパンにのせて食べると美味いのだ。

 

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今夜の食材の説明。

まずは魚介類。

ラップに空が映っているのでちょっと見にくい。

ホワイトアスパラガスが美味しそうなので、前菜に注文する。

 

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そして、牛と仔羊。

実はここの食材の大部分は日本から空輸で取り寄せているので、価格は日本よりも高い。

美味しく安心して食べることができるが、バンコクまで来て日本産の食材を日本よりも高い価格で食べるのは、ちょっと複雑な心境。

 

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ホワイトアスパラガスのプロシュート巻き。

これは美味しく、ソーヴィニヨン・ブランに良く合う。

 

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次の皿は、サーモンのカルパッチョ。

「丸い形で出されるサーモンは初めて」と彼女。

確かに、サーモンの切り身が丸い。

 

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二人に取り分けるのは私の役目。

綺麗に並べようとしたが、薄すぎて無理。

結局取り皿では普通のサーモンになってしまった。

 

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さて、二本目は何にしようか。

ガヤのシト・モレスコにしようと思っていたが、価格が上がり、しかも円安でかなり高価。

そこで、良い造り手のネッビオーロを選択。

ピエモンテ州のマッソリーノが造る、ランゲ・ネッビオーロ、2014年。

マッソリーノは、バローロの地で100年以上、4世代にわたってバローロを造り続ける名門。

高品質のバローロで定評がある。

 

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コルクの状態はとても良い。

 

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ベリー系の香りの後ろから、腐葉土のニュアンス。

複雑なストラクチャーを持ち、タンニンは強い。

まだまだ熟成のポテンシャルを持っている。

このワイン、ランゲ・ネッビオーロと言っても、使われているぶどうはバローロの畑のもの。

こんなワインを置いているとは、さすがアントニオさん。

このお店のワイン価格は他店に較べれば良心的。

それでも輸入関税が高いので、ランゲ・ネッビオーロでも日本では良い造り手のバローロが飲める価格になってしまう。

 

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肉料理は、和牛のサルティン・ボッカを注文。

ここの牛肉はほとんど和牛。

一部オーストラリア産の牛肉もあるが、これも日本の専門商社経由で輸入しているのだそうだ。

 

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マッシュポテトの盛り付けが綺麗。

 

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二人で分けて食べやすいように、大きな切り身を二枚焼いてくれた。

 

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いつの間にか外は夜の帳におおわれ、店の中も照明が落とされている。

タオさんは本当に対応が良く、きびきびと良く動く。

ここに来て2年ほどとのことだが、すっかり店の顔になっている感じ。

 

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この丸い窓の向こうが厨房。

部屋の照明が落とされたので、厨房の窓がピッツァの大きな窯のように見える。

 

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彼女は、今夜はドルチェを注文。

ティラミスを選んだが、前回がレアチーズの感じだったのに対し、今回は普通のケーキに。

 

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コーヒーはイリー。

 

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私は、タオさんのシェーカー捌きを見たくて、マルガリータを注文。

「グラスに塩は付けますか?」とちゃんと聞いてくれる。

私はシェーカーを上下に八の字を描いて振るが、タオさんは前後に激しく振るタイプ。

 

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本当は飲んではいけない日に飲むお酒は、正に禁断の美味しさ。

 

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席を立とうとすると、店のマネジャーがお礼のリモンチェッロをどうぞ飲んで下さいと告げる。

アントニオさんが常連客に振る舞う自家製リモンチェッロは今夜も健在。

お世話になったスタッフの皆さんにお礼を述べ、店をあとにする。

 

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店を出たところで、明日の夜はどうしようかと彼女と相談。

タイ料理の高級店、『ルエン・ウライ』を予約しているが、そこでは法令遵守でワインは飲めない。

そこで、近くにあるもう一軒の行きつけのイタリアン、『ベラ・ナポリ』に立ち寄って、ワインを飲めるか聞いてみることにする。

結果は、「明日もワインは出せません」とのこと。

そこで再び『アントニオス』に戻り、明日の夜のカウンター席を確保。

併せて、『ルエン・ウライ』に予約キャンセルの電話を入れる。

「今回の旅も色々あって楽しいわ」と彼女。

「アントニオさんのお陰だね。もし飲めなかったら、今頃君は口をきいてくれなかったと思うよ」と私。

ちょっと飲み過ぎたけど、彼女と過ごすバンコクの夜は素敵に更けて行きました。