銀座の素敵なイタリアン、『アルジェントASO』で彼女と過ごす楽しい夜の続き。
三種類目のワインは、ドメーヌ・ルイ・ジャド、ペルナン・ヴェルジュレス、クロ・ド・ラ・クロワ・ド・ピエール、2011年。
クロ・ド・ラ・クロワ・ド・ピエールは、コルトン・シャルルマーニュの丘に向かい合う丘にある畑。
淡い黄金色。
リンゴ、アプリコット、黄桃の香り。
活き活きとした酸味と豊かなミネラル感。
今夜の白ワインは、ドメーヌ・ゴビーもドメーヌ・ルイ・ジャドも素晴らしい。
魚料理は、和歌山県産梅真鯛のヴァポーレ、雪下の味覚。
梅真鯛とは、紀州梅から抽出したエキスを飼料に加えて育てた真鯛で、上質の旨味を持っているのだそうだ。
雪下とは雪の下で越冬、熟成させた野菜で、今夜はキャベツと人参が使われている。
鯛も野菜も旨味が詰まった食材に拘った料理である。
二種類の白ワインを飲み比べ。
左がルイ・ジャドのペルナン・ヴェルジュレス、右がドメーヌ・ゴビーのコート・カタラン。
こうして並べると、色の違いがよくわかる。
四種類目のワインは、赤。
ファミーユ・ペランが造る、クードレ・ド・ボーカステル、2009年。
ファミーユ・ペランは南ローヌの主要アペラシオンに300ha以上の畑を保有する大手。
濃いガーネット。
カシス、リコリス、シガーのニュアンス。
素晴らしい熟成感。
クードレ・ド・ボーカステルはシャトー・ド・ボーカステルの所有地の一部の畑のぶどうで造られ、セパージュはムールヴェードル30%、グルナッシュ30%、シラー20%、サンソー20%。
肉料理は、那須高原豚のグリリアータ、蚕豆と薫煙。
あれ、肝心の豚肉が無い。
蓋付きの大きなガラスの器が届けられる。
蓋を取ると、中からは杉の燻煙がふわりと漂う。
大きな那須高原豚の塊が皿に載せられる。
二つに切り分けると、中はほんのり桜色。
杉の煙で燻された肉は柔らかくジューシー。
口直しは、春和の装い、焙茶の余韻。
竹串に刺さって出されたアイスクリームは、梅、甘酒、ピスタチオ。
宮崎県産日向夏のドルチェ、芳醇なシャンパンのジュレ。
お腹はいっぱいでも、とても美味しいのでするりと食べてしまう。
食後のコーヒーは、いっぱいになったお腹を癒してくれる。
ミルクと砂糖は使わないが、薄茶のパウダー・シュガーが面白いので、味見。
上品な味で美味しい。
メニューにはビスコッティーニと書かれているが、いわゆる焼き菓子ではなく、食後の小菓子が届く。
「今夜も美味しかった。アルジェントASO、好きよ。ありがとう」
「君に喜んでもらえたら、僕も嬉しいよ」
今夜の料理もワインも素晴らしかった。
篠﨑支配人と浅見料理長に今夜のお礼を述べ、店を後にする。
外に出ると、ミキモトのビルが明るく輝いている。
彼女と肩を並べ、少し歩くことにする。
今夜のディスプレイもとても綺麗だ。
モノトーンになったマックス・マーラのディスプレイもシックで綺麗。
モンクレールの新しいディスプレイは面白い。
歯車の幾つかが回っているのだ。
エルメスは色鮮やか。
ルイ・ヴィトンは二代続いたレザーの動物(象とキリン)路線から、インパクトのある展示に変わっている。
銀座の夜も更け、街行く人もまばらとなった。
彼女が好きなヴァンクリーフ&アーペル、サフランさんが好きなショーメ、私が昔愛用していたフェンディが並ぶ。
彼女と楽しんだ、『アルジェントASO』の美味しく素敵な夜でした。