今日は彼女のショッピングにお付き合い。
あれこれと見て回る彼女の後ろを、手持無沙汰に付いて歩く。
彼女がショップに入っている時は、彼女のバッグを持ち、離れた場所に立って見守る。
彼女に意見を求められた時だけ、傍に行く。
ようやく買い物が終わり、行きつけのフレンチに向かう。
向かった先は、マロニエゲート。
お店は、『ブラッセリー ポール・ボキューズ銀座』。
10階には4店しかお店が入ってないので、店内はとても広い。
料理長やソムリエと挨拶を交わし、何時ものテーブルに着く。
おや、カウンターにジャン・ポール・メッテのリキュールが並んでいる。
ソムリエの大友さんに、今夜のアペリティフ・メゾンはどのリキュールを使うのか尋ねる。
「いえ、カウンターが寂しいので並べてみただけです。今夜はコアントローを使います」とのことで、二人で苦笑。
テーブルに届けられたアペリティフ・メゾンは、サングリア・ブランカ。
コアントローをソーダで割り、レモン、オレンジ、キウイを加えた甘く清涼感のあるアペリティフ。
彼女も私もお代わりして、二杯を楽しむ。
コアントローは、フランスのコアントロー社が製造するホワイト・キュラソーで、アルコール度数は40%。
スピリッツにビター・オレンジとスイート・オレンジの果皮や各種の香味植物を浸漬して蒸留し、シロップやスパイスで味を調えて造られる。
キュラソーは17世紀後半に、ベネズエラ沖のオランダ領キュラソー島のオレンジの果皮を用いてオランダで造られ始めたもの。
樽熟成で色付けされたものはオレンジ・キュラソーと呼ばれ、グラン・マルニエが有名。
前菜は、パテ・ド・カンパーニュ。
オレンジ風味のキャロット・ラぺと根セロリのピューレが添えられている。
今夜の白ワインは、ボルドー、ル・セック・ド・レイヌ・ヴィノー、2012年。
ソーテルヌの貴腐ワインで評価が高い格付け第1級のシャトー・レイヌ・ヴィノーが造る、希少な辛口の白である。
貴腐菌が付かないぶどうや、ぶどう畑がある丘の頂上のぶどうを用いて醸造されている。
完熟ぶどうを用いたトロピカルなフルーツの香り。
黄桃、洋梨、蜂蜜、エステル香も感じる。
しっかりとした酸を持ち、豊かな果実味とのバランスが良い。
ぶどうは、リュット・レゾネで栽培されたソーヴィニヨン・ブラン100%。
オーク樽で7ヶ月熟成させてリリースされている。
白ワインに合わせる魚f料理は、小海老のムースを乗せた的鯛のポワレ、シャンピニオン・クリープスープ仕立て。
的鯛の白身にシャンピニオンの濃厚なスープが良く合う。
西洋での的鯛の名前は面白い。
英語ではジョン・ドリーやターゲット・パーチだが、フランス語はサン・ピエール、イタリア語はペッシェ・サン・ピエトロ、ドイツ語はペーター・フィッシュ。
そう、聖ペテロの名前が付けられているのだ。
これは、ペテロが献金するお金を的鯛の口から取り出したという伝承に由来している。
銀座の『ブラッセリー ポール・ボキューズ銀座』で彼女と過ごす楽しい夜は続きます。