
元箱根の『オーベルジュ・オー・ミラドー』で彼女と過ごす素敵な一日の続き。
ダイニングルームに席を移す。
最初の部屋は、暖炉のある重厚なデザイン。

次の部屋はパティオになっていて、とても明るく開放的。
ソムリエに案内され、一番奥の落ち着いたテーブルに案内される。
「素敵な部屋ね」と彼女も気に入ったようだ。

一番良いテーブルに案内されたので、今夜は何テーブル来客があるのか尋ねる。
「今夜は高原様の貸し切りでございます」とのこと。
彼女に向き直り、「君のために貸し切ったよ」と気障に話す。
「嘘でも嬉しいわ」とほほ笑む。

シャンパーニュのあとは、ソムリエお薦めの白ワインを抜栓。
ロワールのシュヴェルニーのワイン。
ドメーヌ・ド・ヴェイユーが造る、シュヴェルニー・ブラン、2014年。
ドメーヌ・ド・ヴェイユーはビオ・ワインで有名。
6代目当主のミッシェル・ケニオが1995年からビオディナミによるぶどう作りを実践している。

光り輝く黄金色。
豊かな果実味を持ち、酸とミネラルもしっかりと感じる。
2014年ヴィンテージはぶどうの収量が大幅に減少した、難しい年だったそうだ。
醸造においては、とれたてのぶどうの果実そのものの味わいを活かすことに集中し、セメントタンクで醸造し、熟成期間も4か月と短く抑えたとのこと。
使用されたぶどうは、ソーヴィニヨン・ブラン80%、ムニュ・ピノ20%。
ムニュ・ピノとはロワールの地ぶどうで、シュナン・ブランの亜種。

最初の前菜が出される。
これは面白い。
カクテル・グラスが逆さに置かれ、その上に前菜が載せられている。
クリーム・チーズに刺された前菜を口に運ぶ。
白ワインに合って美味い。

グラスの上の前菜を食べ終えると、グラスが上向きに置きなおされ、冷たいポタージュが注がれる。
冷えた濃厚なスープが五臓六腑に染み渡る、と言えばちょっと大袈裟。
でも、美味しい。

第二の前菜も涼しげな、白身魚のカルパッチョ、スープ仕立て。
「この器、夏に好いわね」
「見るだけで涼しさを感じるね」

パンはここで焼いたもの。
明日の朝食のクロワッサンやデニッシュも焼き立てが出されるので楽しみだ。

第三の前菜は野菜料理。
六種類の旬の野菜が様々な調理をされて並ぶ。
使われている皿は、黒い石板。
これは扱いに気を遣いそうだ。

キャベツ。
中心の柔らかい部分のみを使った料理。
赤唐辛子の辛みが味に緊張感を与える。

赤玉葱。
自然な甘みが口いっぱいに広がって美味しい。

これは瓜の一種なのだろうか。
よくありそうな野菜だが、名前が思い浮かばない。
手前は人参と牛蒡。
牛蒡にはカラスミの粉をまぶしている。

夏を代表する野菜の一つ、茄子。
ふっくらと仕上げられた茄子がソースと絡んで美味い。
箱根の『オーベルジュ・オー・ミラドー』で彼女と過ごす素敵な夜は続きます。