
彼女と過ごす、奈良で『ひらまつ』が運営する『オーベルジュ・ド・ぷれざんす 桜井』での素敵な夜の続き。
シャンパーニュ、シャルドネの後は、ボルドーの赤を抜栓。
サン・テステフの、シャトー・トロンコワ・ラランド、2005年。
近年評価が上がっているワインである。
その理由は、新しい醸造責任者。
シャトー・オー・ブリオンを1961年から2003年まで手掛けていたジャン・ベルナール・デルマス氏が就任し、品質が上がったのだ。

でも、彼が就任したのは確か2006年。
このボトルはボルドーのグレイト・ヴィンテージ物だが、2005年が良いのかどうかちょっと微妙。
飲んでみると、疑念は吹き飛んだ。
ブルーベリー、カシス、ラズベリーの香り、そして強いが滑らかなタンニン。
果実の凝縮感と熟成感が素晴らしい。
「美味しい」と彼女も高評価。

セパージュはヴィンテージによって変動するので2005年は不明だが、カベルネ・ソーヴィニヨンが約50%、メルローが40%強、プティ・ヴェルドが10%弱といったところ。
コルクの品質は良く、状態も良好。

肉料理は、奈良県産ポークのフィレ肉と奈良県産アスパラガス、フランス産モリーユ茸のソースと共に。
地元の食材にこだわった一品。
ポークだが、ソースがしっかりしているので、強い赤ワインにも良く合う。

デセールの前に、フロマージュのワゴンが届く。
説明を聞くとどれも食べたくなる。
彼女は数種類を選んだが、私はダイエットのため三種類で我慢。

彼女は蜂蜜を一緒に食べるのが好きだ。
頼むと、素晴らしい蜂蜜を出してくれた。
ジァンナローリのミエーレ・イタリアーノ・ディ・アランシオ。
イタリアのオレンジの蜂蜜だ。

気が付くと、外はだいぶ暗くなってきた。
それにしても、この時間だと東京はもっと夕暮れが迫っている。
やはり奈良の日の入りは東京より遅い。

フロマージュを食べ終えると、プレデセールが届く。
プレデセールに続き、デセール、ミニャルディーズと続くと思うと、・・・どう考えてもカロリー過多。
しばらくは毎朝のウォーキングの距離を伸ばした方が良さそうだ。

シェフソムリエの西谷さんが、ボトルを1本持ってテーブルに現れた。
「デザートワインをいかがですか」
「シャトー・デュモン、これは美味しいですね。いただきます」
シャトー・デュモン、サント・クロワ・デュモン、2011年。
ソーテルヌの対岸にあるサント・クロワ・デュモンは、良質の貴腐ワインで有名。
しかも、ソーテルヌに較べるとお手頃価格なのだ。

シャトー・デュモンのぶどうの樹齢は60年と古い。
古木のセミヨンから造られるシャトー・デュモンの貴腐ワインは、とてもリッチで複雑なストラクチャーを持っている。
濃い黄金色。
アプリコット、洋ナシ、マンゴーの甘い香り。
オーク樽熟成させているので、ヴァニラ香も感じる。
濃厚な甘さを持ちながら、後味がすっきりとした綺麗な貴腐ワインである。

デセールは、大和茶のクレームブリュレ、ライチのソルベ。
お茶の濃厚な香りが素晴らしい。
お腹はいっぱいなのに、どんどん食べてしまう。

そしてミニャルディーズ。
小さな焼き菓子が可愛い。
そうか、ミニョンとは可愛いという意味だった。

フレンチのフルコースのあとは、濃い目のコーヒーが美味い。
彼女と寛いで話しながら食事をしたので、気が付くと4時間も経っていた。
オーベルジュでは、席を立つと1分で部屋に戻れるという安心感も嬉しい。
奈良、桜井の『オーベルジュ・ド・ぷれざんす 桜井』で彼女と過ごす楽しい夜は、素敵に更けていきました。