服を着替え、ちょっとお洒落して店に向かう。
今夜は彼女が好きなタイ料理の名店、『バーン・カニタ』を予約してあるのだ。
店の前には、タイ語と英語で『バーン・カニタ』と書かれた大きな立て看板が置かれている。
その記載によると、創業は1993年とのこと。
それほど古くは無いが、ボルドーの銘醸であれば20年を過ぎて飲み頃といったところ。
まだ店の中は閑散としているが、あと1時間もすると満席となる。
家族との夕食、お客さんの接待、恋人との楽しいひととき・・・、テーブル上では色々なドラマが展開される。
タイ料理でも、良い店にはワインが揃っている。
ここも種類は多くは無いが、なかなか美味しいものがあり、料理と共に楽しむことができる。
今夜も、窓際の静かな席が用意されていた。
テーブルの上には蘭の花と、ろうそくを灯したランプが置かれている。
彼女は今夜の料理を選ぶのに没頭している。
そこでワインは私が選ぶことにした。
今夜の泡は、プロセッコ。
イタリア、ヴェネト州のスプマンテである。
造り手が誰なのか良く見なかった。
写真はボケているし、エチケットにはほとんど何も書かれていないので、調べようがない。
最近は裏のエチケットにしか造り手の情報が入っていないことが多く、エチケットの収集にも苦労する。
グラスの写真もボケてしまったのでよくわからないが、勢いのある泡立ちが気持ち良い。
口に含むと、キレのある爽快なスパークリング。
外が暑いので、ワインも強めに冷やしているのだろう。
その配慮が一流店の証しである。
ナッツ、ライム、タマネギ、唐辛子、干しエビなどを葉っぱに巻いて食べるのだ。
丸く成形された葉っぱの上に具材を載せ、味噌を付けて丸める。
葉っぱの苦みと味噌の甘み、そしてライムやタマネギの味が入り混じる、とても不思議な味わいの料理である。
彼女の料理の注文が終わった。
私は次のワインを頼むこととしよう。
バンコクのタイ料理の名店、『バーン・カニタ』での楽しい夜の続きはまた明日。