サンパウロに住む友人が案内してくれた店は、『ア・ベラ・シントラ』。
有名なポルトガル料理の店である。
店に着くころには、激しい雨は上がっていた。
車を降りると、すぐにドアが開き、お店の人が迎えてくれる。
ブラジルでの夕食にしては早い時間に到着したので、店内はまだ静まり返っている。
部屋の真ん中辺りのテーブルには、本日のデザートが飾られている。
美味しそうだが、デザートまで食べると恐らく食べ過ぎになるだろう。
見るだけで済まそうと心に誓う。
奥の良い席に案内される。
入り口方向を振り返ると、客が次々と到着し始めている。
友人が料理を選んでいる間にも、アミューズやパンがテーブルに次々と届く。
ポルトガル料理を食べるのは初めてなので、どれも物珍しく、どれも食べたくなる。
中南米でポルトガル語を使うのはブラジルだけで、あとはスペイン語。
ブラジルに最初に降り立ったポルトガル人の一族は、今も名門とされている。
でも、経済を牛耳るのはドイツ系移民が中心。
そして日本人は勤勉で信頼感ある民族として、この国で地位を築いている。
特にここサンパウロには日本人が多い。
さて、久し振りに会う友人との乾杯には、ブラジル産のスパークリングを選ぶ。
ブラジルの、シャンドン・ブリュット。
シャンパーニュの名門メゾン、モエ・エ・シャンドンが海外で生産するスパークリングは本格的なシャンパーニュ製法で生産されており、どれも質が高い。
ブラジル、カリフォルニア、オーストラリア、インドのシャンドンを飲んだが、インド産がぶどうの違いからかちょっと違和感を否めないが、それ以外はシャンパーニュに伍する美味しさだ。
ブラジルのシャンドンを飲むのは久し振りだが、期待通りのきめ細かな泡立ちと、キレの良い辛口となっている。
ブラジルも今夜が最後の夜だと思うと、どんどんグラスが進んでしまう。
今夜は飲み過ぎてしまいそうだ。
サンパウロの友人と過ごすポルトガル料理の名店、『ア・ベラ・シントラ』の素敵な夜の続きは、また明日。