彼女が先に着き、部屋番号をメールで連絡してくれた。
エレベーター・ホールの置物の馬が、今の私の気持ちを表しているようだ。
汐留の眺めが良い。
こうして観ていると、東京の景色は本当に変わったと思う。
今夜は、ちょっと良いシャンパーニュを持ってきた。
白い箱に入っていたが、早く飲みたいので急いで包装を解き、アイスバケットに入れる。
ワインを運んできたバッグには保冷剤を詰めていたが、最初の1杯はもう少し強く冷やしたい。
バスルームで急いで汗を流し、ディナー用のシャツに着替える。
さっぱりとしてからワインと食事を楽しむことができるのが、ホテルの良いところ。
今夜のシャンパーニュは、ポメリー、キュヴェ・ルイーズ、1999年。
ポメリーの最高峰のシャンパーニュで、ポメリー夫人の愛娘の名前を冠したワイン。
良いぶどうが収穫された年にのみ造られる、ミレジム・ワインなのだ。
彼女もルイーズが好きなので、今まで何本も飲んできた。
特に1989年が美味しかった。
そこで彼女にために、この1999年を見付けて購入しておいたのだ。
ボトルのネックを覆うように長く、ぶどうの模様が付けられている。
このキャップシールを取り外す時には、何時も高揚を覚える。
それほど美味いシャンパーニュなのだ。
以前のエチケットは、ルイーズの絵には色が無く、白い浮彫になっていた。
しかしこの1999年のボトルでは浮彫ではなく、ブルーの図柄になっている。
そしてミュズレには浮彫で花の模様とルイーズの名前が刻印されている。
ぶどうは、ポメリーの三つのグランクリュ畑で栽培されたものが使われている。
セパージュは、シャルドネ60%、ピノ・ノワール40%。
彼女と過ごす、『銀座クレストン』での楽しい夜はまだまだ続きます。