銀座のワインとチーズの名店、その名も『ワイン&チーズサロン村瀬』で彼女と過ごす素敵な夜の続き。
白を飲み干すと、選んでおいた赤をテイスティングする。
赤もニュージーランドの物。
大好きな造り手、大沢泰造さんのワインである。
大沢さんが北島のホークス・ベイに土地を購入したのは2005年のこと。
土地を開墾し、ぶどうを植樹し、2008年にファースト・ヴィンテージをリリース。
今夜のワインは、オオサワ・ワインズの4つのシリーズの中の最高峰、ワインメーカーズ・コレクション、ホークス・ベイ、ピノ・ノワール、2010年。
品質の高いピノ・ノワールで有名なニュージーランドの中でも、一際評価の高いオオサワ・ワインズ。
その特別区画で、最高品質のぶどうが収穫できる年にのみ生産されるのが、ワインメーカーズ・コレクション。
全ての工程を手作業で丁寧に行い、生産量はわずか100ケース限定。
ブルゴーニュ以外でこんなに複雑なニュアンスを持つピノ・ノワールは少ない。
ピノにうるさい彼女も、とても素晴らしいと絶賛。
選んだ私も、誇らしい気分になる。
目の前でオーナーの村瀬さんが特製のオーヴンでラクレット・チーズを焼き始める。
表面はパリッと焼け、中はとろとろのラクレットを野菜に掛けて食べるのだ。
常連客は必ず注文するので、カウンターに座っていると何度もこの芳香を楽しむことができるのだ。
じゃがいもやブロッコリーは溶けたチーズを絡ませて食べ、カリッと焼けた部分はそのまま味わう。
ピノにも最高の伴侶である。
ここまで野菜中心の料理ばかり食べてきたので、肉料理も注文する。
まずは鴨肉。
鴨肉は赤身なので、赤ワインに良く合う。
「ありがと、貴方が取り分けてくれるととっても綺麗」
女性の褒め言葉ひとつで、男はいくらでも働くのだ。
そしてこの店のスペシャリティ。
開店以来変わらぬ、牛ばら肉の赤ワイン煮。
今夜のピノはとても強いので、この料理とも充分に合わせることができる。
『ワイン&チーズサロン村瀬』は、彼女のお気に入りとなったようだ。
彼女と過ごす、銀座の美味しく素敵な夜でした。