築地の聖路加病院の前を急ぎ足で歩く。
目的地は、『銀座クレストン・ホテル』。
今夜は彼女と、部屋で待ち合わせ。
車でホテルまで乗り付けても良かったが、久し振りに訪れるので、聖路加の前の遊歩道を歩きたかった。
でも、彼女を待たせても悪いので、暑い中を早足で歩くことになってしまったのだ。
聖路加大学、聖路加国際病院の前を過ぎると、聖路加タワーに至る。
この右側のタワーの32階から上が、『銀座クレストン・ホテル』である。
高層ホテルなので、部屋から見える東京の景色が美しい。
彼女と共に美味しいワインを飲みながら観る夜の東京が楽しみだ。
彼女が既にチェックインしているので、部屋番号はわかっている。
レセプション前を素通りし、36階の部屋に向かう。
部屋に到着すると、「ね、今夜のワインは何なの」と彼女が尋ねる。
「はい、君へのプレゼント」
ラップをして赤いリボンを付けたシャンパーニュを保冷バッグから取り出す。
イギリス王室御用達のワイン&スピリッツ商、ベリー・ブラザーズ&ラッドのベリーズ・ユナイテッド・キングダム・キュヴェ、グラン・クリュ、マイィ、2002年。
ベリー・ブラザーズ&ラッドは、300年以上の歴史を誇る英国屈指のワイン&スピリッツ商である。
英国の会社のブランドだが、もちろんシャンパーニュで造られたもの。
生産者は、マイィ生産者組合。
その2002年ミレジメのグラン・クリュである。
セパージュはピノ・ノワール75%、シャルドネ25%。
彼女も私も好きな、黒ぶどう主体の深みと熟成感のある素晴らしいシャンパーニュ。
今夜のシャンパーニュを見て、彼女はとっても嬉しそう。
そんな彼女を見て、私も幸せな気分になる。
ベリー・ブラザーズ&ラットのグラン・クリュは何本か飲んだことがあり、ミュズレもコレクションに入っているが、これも記念に取っておくことにしよう。
シャンパーニュに合わせて用意したチーズを、保冷バッグから取り出す。
今夜は、ゴルゴンゾーラ・ピカンテとリシュモン・ブリー。
今夜のチーズは熟成具合が丁度良く、シャンパーニュに実に良く合って美味い。
『銀座クレストン』のルーム・サービス・メニューは多くは無いが、どれも美味しい。
何時もは私の仕事なのだが、今夜は何故か彼女がせっせと取り分け、ドレッシングを掛けてくれた。
築地の高層ホテルでの楽しい夜は、まだ続きます。