彼女と共に参加した、『ボール・ボキューズ銀座』の定例ワイン会の続き。
二本目のワインは、ドメーヌ・ゴビー、レ・カルシエール、ヴァン・ド・ペイ、コート・カタラン、2009年。
ドメーヌ・ゴビーは、90年代半ばに名声を獲得した南仏ルーション地区のスター・ドメーヌ。
ビオディナミ農法を用い、標高200~300mの畑でぶどうを栽培している。
香りは甘い果実香。
豊かな果実味と熟成感を持ち、ブルゴーニュのシャルドネやロワールのカベルネ・ソーヴィニヨンとは異なる後味を持つ。
ファーストタッチはミュスカだが、後に残るのはマカブーの味なのだろう。
セパージュは、ミュスカ50%、シャルドネ30%、マカブー20%。
白に合わせる料理は、小海老とスズキのクネル仕立て、トマトを練り込んだアイユ添え、香草風味のソースヴァン・ブラン。
スズキの身はほうれん草で巻かれており、パッと見には大きなズッキーニのようだ。
アルフォンス・メロが造る、サンセール、プティ・ムシエール、2009年。
アルフォンス・メロは長い歴史を持つサンセール最大の造り手。
保有する50haの畑の内、41haにはソーヴィニヨン・ブランが植えられ、9haにピノ・ノワールが栽培されている。
とても綺麗な、透明感のある淡いルビー色。
ベリー系の香りに、ほのかな樽香。
酸味とタンニンのバランスも良い。
目を閉じて飲んでいると、ブルゴーニュのヴィラージュもののような感じ。
考えてみると、サンセールはロワールとはいっても一番上流にあり、ブルゴーニュのシャブリ地区とは50Km程度しか離れていないのだ。
赤に合わせた肉料理は、シェーブル・チーズの香る鶏胸肉のロースト、腿肉とジェジェのブロシェット、ジャガイモのピュレと黒オリーブのジュ。
胸肉はとても柔らかく淡白な味わいで、黒オリーブのソースにとても良く合う。
腿肉には味がしっかり付いており、歯ごたえが良い。
デザート・ワインは、シャトー・デュ・モンが造る、サン・クロワ・デュ・モン、2011年。
サン・クロワ・デュ・モンは、貴腐ワインの聖地、ソーテルヌの対岸にある産地。
ソーテルヌに負けない素晴らしい貴腐ワインをリーズナブルな価格でリリースしている。
このワインも、ひらまつのワイン会の定番である。
とても綺麗なパイナップル色。
パッションフルーツのような果実香を持ち、綺麗で上品な甘口。
平均樹齢60年のセミヨンから丁寧に造られた貴腐ワインである。
デザートは、キルシュ香るイチゴのミルフィーユ、ベルヴェンヌのアイスクリームと。
ポール・ボキューズのデザートは、何時も見た目に美しく、食べて美味しく、一日を締めくくるに最高の幸せを与えてくれる。
「今夜も楽しかったわね」
「うん、ポール・ボキューズは料理もワインも勉強になるね」
「勉強のために来ているの?」
「僕が料理に興味を持ったきっかけが、ポール・ボキューズさんが書いた”キュイジーヌ・ド・マルシェ”だったから仕方がないよ」
今夜も楽しい、彼女と過ごす『ポール・ボキューズ銀座』の夜でした。