バンコク旅行から帰ってきたばかりなのに、タイ料理を食べたくなった。
彼女に連絡し、付き合ってもらうことにする。
場所は、丸ビル35階にある『マンゴツリー東京』。
入り口には、アクリル板の床の下に、蓮の花が敷き詰められている。
この席からは、新しくなった丸ノ内駅舎の全貌を見渡すことが出来る。
目を東京駅の向こう側、八重洲側に向けると、再開発された高層ビル群が見渡せる。
この数年間で、八重洲側の景色も一変した。
Reservedの表示を背負ったこの象は、何時も頼もしく、そして可愛く思える。
と思っていると、支配人が「お連れ様が到着されました」と告げる。
急いで最初のワインを頼み、席を立って彼女を迎える。
レストランの入り口から、一番奥の私たちの席までは結構距離がある。
その通路を、真っ直ぐに私に視線を向け、長い脚を交互に前に繰り出しながら歩いてくる彼女に心ときめく。
席に着くと、頼んでおいたシャンパーニュがグラスに注がれる。
「いらっしゃい。今夜も素敵だね」
「ね、このランソンについて教えて」
「ランソン・ブリュット、ブラックラベル。ランスにあるメゾンで、設立は1760年」
「セパージュは、ピノ・ノワール50%、シャルドネ35%、ピノ・ムニエ15%。熟成期間は最低3年間。君が好きなタイプのシャンパーニュだよ」
「ありがと。う~ん、美味しい」
シャンパーニュには、手長海老・アオリイカ・帆立のスパイシーサラダを合わせる。
この写真だと料理がほとんど無いように見えるが、色々なシーフードがしっかりと盛り込まれている。
「綺麗、嬉しい」
彼女のその一言が聞きたくて、取り分けに気を遣うのだ。
丸ビル35階、『マンゴツリー東京』での楽しい夜の続きはまた明日。