事前に電話を入れておいたので、カウンター上には私のボトルが並べられている。
食事を済ませワインを飲んできているので、帰宅前のナイトキャップ。
私は、大好きなポート・エレン、フィフス・エディションをストレートで注文する。
バーの中が暗いので、写真もボケてしまった。
ポート・エレンは、スコットランドの西方海上に浮かぶアイラ島にあった蒸留所。
過去形で書いたのは、ポート・エレンは1983年に操業を停止したためだ。
従って、手に入るのは残った原酒の樽から毎年瓶詰される少量のボトルのみ。
今までサード、フォース、フィフス、シックスス、セヴンス、エイスと購入してきたが、ナインス以降は価格がどんどん高くなり、購入を断念した。
今夜のポート・エレンはその内のフィフス・エディションで、アルコール度数は57.4%。
シングル・カスクなので、エディション毎に味もアルコール度数も異なる。
それがまた楽しいのだ。
彼女もアイラ・モルトは好きだが、飲み過ぎになると言って今夜はカクテルを古田土さんにお願いする。
店のオーナーである古田土さんは、バーテンダー競技会で優勝歴もある方。
その流れるようなシェーカー捌きのファンは多い。
私は、彼が資生堂のファロに居た時からだから、もうだいぶ長いお付き合いになる。
「美味しい。一口飲む?」
「いや、ポート・エレンの味がわからなくなるから飲まない」
そんな会話も楽しい。
銀座八丁目の繁華街にありながら、銀座の喧騒を離れた静かな空間で、二人の時間がゆっくりと流れる。
ポート・エレンは限りなく味もアルコールも強いので、少し口休めが必要なのだ。
今夜はグラス1杯だけと決めていたのだが、目の前のボトルを眺めているともう1杯のみたくなった。
タリスカー25年。
やはりスコットランド西方海上にあるスカイ島に一つだけあるモルトである。
アイラ島のモルトがアイラ・モルトと呼ばれるのに対し、スカイ島のモルトは他の島の物と併せてアイランズ・モルトと呼ばれている。
これも強烈なヨード香を持つモルトなのだ。
そんな隠れ家なのだ。
今夜も楽しい、銀座の夜でした。