バンコクの素敵なイタリアン、『アントニオズ』で彼女と過ごす素晴らしい夜の続き。
二本目のワインは、ピエモンテ州の赤を選ぶ。
マッソリーノが造る、ランゲ・ネッビオーロ、2008年。
マッソリーノは、1896年創業の家族経営を守る優良ワイナリー。
三つの最良の畑から造られる、畑名を冠した三種類のバローロで有名である。
まだ若い樹のぶどうや、時にはバローロの畑のぶどうも用いて造られるハイ・パフォーマンス・ワインが、このランゲ・ネッビオーロ。
ガーネット色を持ち、馥郁とした果実香が心地よい。
最初はチャコールのような硬いタンニンを感じたが、空気に触れさせると円やかになり、柔らかな酸と上手くバランスした。
バンコクでこんな上質なネッビオーロに出会え、彼女の評価も勝ち得て幸せに浸る。
パスタ・メニューがとても豊富で選ぶのに困ってしまう。
今夜は、サン・ダニエーレの生ハムを載せたフェットチーネのクリームソ-スを選び、二人に取り分けてもらった。
骨付きラム肉をトマトソースでじっくり煮込んだ、アントニオ家の伝統料理。
量が多いので、パスタを頼まなくてもこのメインだけで充分だったようだ。
「男の人は、骨にしゃぶりつくのが好きなのね」と彼女。
「しゃぶりつくのが好きなのは、骨だけじゃないよ」と私。
驚いたことに、お腹が張裂けそうと言いながら、彼女はドルチェを注文。
このティラミスがあまりに美味しそうなので、私も食べてしまう。
ディープ・ローストのコーヒーが美味い。
ワインセラーには、飲んでみたいワインがずらりと並ぶ。
二階から見えていたバー・コーナーでは、今夜使用したグラスを磨いてしまっている。
店の人たちに今夜のお礼を述べ、店を後にする。
道はバンコク名物の渋滞。
歩いた方が早く帰れそうだ。
バンコクで彼女と過ごす、素敵な夜でした。