今夜は久し振りに、京橋の『メルシャン・サロン』を訪れた。
彼女とここに来るのは、1年ぶりくらいかもしれない。
今夜は、あるワインを飲むためにここを訪れたのだ。
シェフには申し訳ないが、今夜はワインのみご紹介。
ブルゴーニュを代表するドメーヌであり、ネゴシアンであるルイ・ジャドが造る、新AOC、コトー・ブルギニヨン、2011年。
コトー・ブルギニヨンは、2011年11月に認定された新AOC。
複数品種のぶどうをブレンド比率を気にせず使うことができるので、ブレンドの自由度が高く、作柄の良いぶどうを使うことができる。
ブルゴーニュ・グラン・オルディネールに代わって、ブルゴーニュを代表するワインとして期待されている。
ルイ・ジャドは、この新しいAOCを、シャルドネとアリゴテを用い、ステンレス・タンクを用いて発酵、熟成させ、フレッシュで爽快な、そして飲みごたえのあるワインに
仕上げているのだ。
そして2本目が、今夜の目的のワイン。
ボルド-、サン・ジュリアンのグラン・クリュ、シャトー・グリュオー・ラローズ、1978年。
まず、この瓶の形が今のボルドーとは異なっている。
いかにも年代を感じさせるボトルである。
シャトー・グリュオー・ラローズのエチケットは、年代によって微妙に異なっている。
97年まではコーディエの傘下にあったので、その期間はエチケットの最上部にコーディエの名前が入っていた。
そして一番面白いのが、グリュオー・ラローズの名前の位置と、「LE ROI DES VINS LE VIN DES ROIS (ワインの中の王、王のためのワイン)」という文章の位置が途中で入れ替わったことだ。
78年には、丸いリボンの上にシャトーの名前が入っていて、その下に「ワインの中の王・・・」の文章が小さく書かれている。
私のエチケット帳を見ると、85年までは同じだが、87年のエチケット
ではこの両者の位置が入れ替わっていて、今もそのままの配置となっている。
これは、コーディエ傘下の時の出来事である。
コルクは、とても綺麗。
おや、と思ってよく調べてみると、2001年にリコルクされていた。
きちんとリコルクされているということは、保存状態がとても良いということ。
期待が一層膨らむ。
もっと退色して煉瓦色になっているかと思ったが、まだまだ綺麗な色合いを保っている。
ふくよかな果実香も健在だ。
持ち味のタンニンこそ弱くなっているが、その代わりに果実味と熟成感が全面に出ていて美味い。
セパージュは、カベルネ・ソーヴィニヨン60%、メルロー30%、カベルネ・フラン5.5%、プティヴェルド3%、マルベック1.5%。
この二本で止めておけばよかったのだが、彼女が食後のコーヒーを飲んでいる間、私はグラッパを飲んでしまった。
イタリア、トスカーナのスーパータスカン、ルーチェのグラッパである。
木本店長から、ルーチェのグラッパがありますよ、と言われ、思わず頼んでしまった。
このボトルは樽熟成させているので、綺麗な琥珀色をしている。
今夜は、久し振りに良質のヴィンテージ物を味わうことができた。
木本さん、お世話になりました。
今夜も楽しい、彼女と過ごす京橋の夜でした。