鮨屋が開く、「鮨とワインのマリアージュの会」に彼女と共に参加した。
その鮨屋は、東銀座にある『壮石』。
ワインを紹介し、説明してくれるのは、岡田壮右氏。
築地の名店、『寿司岩』の創業者を祖父に持つ、鮨業界のサラブレッドである。
シャンボール・ミュジニーは、力強いジュヴレ・シャンベルタンとは異なり、エレガントなピノ・ノワールなので、和食にも合わせやすいのだ。
まず最初は、AOCブルゴーニュとシャンボール・ミュジニーの違いを実感することに。
同じ造り手の同じヴィンテージのブルゴーニュと、シャンボール・ミュジニーを飲み較べてみるのだ。
造り手は、ドメーヌ・アルヌー・ラショー。
ドメーヌ・ロベール・アルヌーと言った方がわかる方が多いかもしれない。
四代目のロベール・アルヌーが死去し、娘婿のパスカル・ラショーが五代目になってから時間も経ち、2007年からアルヌー・ラショーと改名したのだ。
ブルゴーニュは、ピノ・ファン、2008年。
ピノ・ファンは原型に近いピノ・ノワールで、栽培が難しく収量も少ない。
この貴重な品種の、樹齢60~100年のぶどうから造られるワインである。
もう一本は、シャンボール・ミュジニー、2008年。
テーブルには二つのグラスに二種類のワインが注がれているが、どちらがどれかわからない。
一人ずつ感想を述べ、どちらがシャンボール・ミュジニーか意見を述べる。
私の判断は、右がブルゴーニュで、左がシャンボール・ミュジニー。
当たっていたが、ピノ・ファンが素晴らしく、シャンボール・ミュジニーが若いので、とても難しい判断だった。
エレガントなピノ・ノワールは、醤油味にも良く合う。
これもワインに良く合う。
二種類のピノ・ノワールをどんどん飲みながら、食事が進む。
メゾン・ロッシュ・ド・ベレーヌの、シャンボール・ミュジニー、プルミエ・クリュ、レ・フスロット、2008年。
メゾン・ロッシュ・ド・ベレーヌは、ドメーヌ・ニコラ・ポルテを離脱したニコラ・ポテル自身が立ちあげたネゴシアンなのだ。
ベレーヌとは、中世まで使われていたボーヌの古い名前。
しかし、しっかりとしたぶどうの果実味とタンニンを持ち、ニュアンスも複雑。
エレガンスさの中に、強さも秘めたワインである。
ニコラ・ポテルのこのシリーズは楽しみで、目が離せない。
最高の鮨と合わせ、シャンボール・ミュジニーを楽しむなんて何とも贅沢。
実は、良いピノ・ノワールには鰹出汁に共通する味(アミノ酸)を感じることができるので、飲んだ後の味噌汁も美味いのだ。
そこで、東銀座にある『マザー・リーフ』に立ち寄る。
午後早い店内は満席で、ちょっと待たされてから席へ。
デザートも和風にこだわり、抹茶アイスクリーム(ハーゲンダッツ)と小豆のワッフルを選ぶ。
スリランカの標高の高い場所で栽培される紅茶で、淡いオレンジ色の、渋みが少なく、緑茶に近い味わい。
東銀座で彼女と過ごす、素敵な午後でした。