出発地の天候が急変し、大幅に遅れてしまった。
車を飛ばし、品川に向かう。
彼女とは、19時に『シンガポール・シーフード・リパブリック』で待ち合わせていた。
コロニアル様式の素敵な一軒家レストランで、開業以来度々訪れている。
店に駆け込むと、彼女はテラス席で手持無沙汰そうに携帯電話を見ていた。
「ごめん」
「遅い」
「急いでワインを選ぼう」
「もう選んであるよ」
彼女が選んだワインは、ブルゴーニュ、ピュリニー・モンラッシェ、2008年。
造り手は、オリヴィエ・ルフレーヴ。
あの有名なドメーヌ・ルフレーヴの、故ヴァンサン・ルフレーヴの甥が造るモンラッシェなのだ。
抑え気味の果実味と、素晴らしい熟成感。
酸とミネラルのバランスもとても良い。
遅れたことによる心の動揺のせいか、写真を撮るのを忘れてしまった。
2008年なのでまだとても新しい。
サンバルソースで和えた蛤はなかなか美味。
ベトナム産、ソフトシェルクラブ、シンガポール・シリアル炒め。
ソフトシェルクラブは私の好物。
スパイシーなピーナッツソースが決め手。
スパイシーマヨネーズで和えたプリプリの海老の食感が素晴らしい。
芳醇な醤油の香ばしさがたまらない。
今夜はお酒を控えたので、デザートはシンガポール・スリングを選んだ。
日中は暑いが、陽が落ちると、テラス席も楽しい。
特にここでは、ウォーターミストを含んだ大きな扇風機が活躍しているので、気温は周辺より数度は低くなっている。
それにしても、今夜の彼女は一層綺麗だ。
テラスで丸テーブルに並ぶように座っていると、首を少し回さないと彼女の顔を観ることが出来ない。
時々盗み見ては、ひとりほくそ笑む。
彼女と過ごす、素敵な夏の一夜でした。






