今夜は何を飲もうかとセラーをごそごそ探していたら、とんでもないワインを見つけた。
随分以前に、日本橋高島屋で見つけて衝動買いしたワインだ。
まずは、エチケットを見てもらいたい。
なんともおどろおどろしいデザインではないか。
これを見てこのワインを飲みたいと思うだろうか?
これを見て思わず買ってしまった私は正気なのだろうか?
アメリカ人には、我々には理解しがたい独特の感覚がある。
何かを強調したい時に、およそ似つかわしくない、かなりグロテスクなデザインを使うという感覚である。
これは、サウスカロライナを旅した時に見つけたビールである。
”ブラックンド・ヴードゥー”とは。
このビールを飲むと、ヴードゥーの呪いにかかってしまいそうではないか。
ヴードゥーは、ハイチやニューオーリンズ周辺で信じられている民間信仰。
奴隷として西アフリカから連れてこられたフォン人のヴォドン(精霊)信仰と、キリスト教が融合して造られたと言われているが、教団や教典は一切無い。
このビールは呪いにかかるほど強いというメッセージなのか?
こんなのもある。
”デッド・ガイ・エール”とはまた凄い名前。
実は、これは有名なオレゴン・ビールで、2003年にはワールド・ビール・チャンピオンシップで金賞を受賞している。
これはご存知、ハワイのNo.1ビール、”ツナミ”。
大波のイメージであれば良いのだが、最近はツナミのイメージはあまりに悲惨。
このビールは、クリーヴランドで出会ったもの。
荒れたエリー湖を雄々しく進む船のイメージなのだろうが、何と言っても暗い!
このビールも、ワールド・チャンピオンシップの金賞獲得ビールなのだ。
と、話はビールのラベルにずれてしまった。
ジンジラは、マクナブ・リッジ・ワイナリーの製品。
スコットランドから移住してきたアレキサンダー・マクナブ氏によってメンドシーノで開拓された歴史あるワイナリーなのだ。
マクナブ氏が連れてきたボーダー・コリーの一種の牧羊犬はマクナブ氏の犬として知られるようになり、今ではマクナブという犬種として定着。
今も二頭のマクナブ犬がワイナリーの番犬として働いている。
ジンジラは、四つの畑のジンファンデル(ぶどう品種)をブレンドしており、樹齢は若いものでも20年、古いものでは70年を超えており、この画はぶどうの古木をモンスターとして描いたもの。
ZINZILLAは、ぶどうの古木=ZINFANDELと、ゴジラ=GODZILLAを組み合わせた造語。
しかし飲んでみると、モンスターのイメージとは異なり、凝縮されたぶどうの果実味を持つ濃厚でスパイシーな、そして洗練されたバランスの良いワインである。
ジンジラは年間生産量6,000本の希少ワイン。
皆さんもこの異様なエチケットを見つけたら、騙されたと思って一度試してみてはいかがでしょうか。