彼女と銀座で待ち合わせると、マロニエゲートに向かった。
今夜の行先は、マロニエゲートの11階にある、マッド・クラブで有名なシンガポール・シーフード・リパブリック、銀座である。
ゆっくりと食事を楽しむときは、品川駅前、パシフィック・ホテルの前庭にある一軒家レストラン、シンガポール・シーフード・リパブリックに行くが、銀座店は場所が便利であるため、買い物や映画の後に立ち寄っている。
どちらの店もワインの品揃えが素晴らしく、さらに定番メニュー以外にもワイン特集を組んだりしているので、時々は顔を出してチェックする楽しみがある。
ワイン・リストを開くと、ルイ・ミシェルのシャブリが目に飛び込んできた。
そうだ、昨年、ミシェル家の六代目、ギョーム・ミシェル氏が来日した時に、食事を共にしたのはこのレストランだった。
と言うより、彼女が主役だった。
素敵なギョーム・ミシェル氏との会話に彼女は夢中になり、またギョーム・ミシェル氏も「自分のドメーヌを訪問してもらえば歓待する」と言って、彼女を喜ばせていた。
その時に会話に割って入って、「それでは、私が彼女を伴って貴方のドメーヌを訪問しましょう」と発言し、彼女の顰蹙を買ったことを思い出す。
その時に飲んだルイ・ミシェルは、シャブリ、2006年と、シャブリ・プルミエ・クリュ”フォレ”、2005年だった。
ミシェル家は1850年からシャブリを生産しており、樽仕上げをしないシャブリの中で、最高の生産者と言われている。
樽を使わないルイ・ミシェルのシャブリは、豊かな果実味と複雑な味わいに富み、キリリとしたミネラル感に溢れている。
シャブリの三大ドメーヌの一つとも言われているだけあると、感心してしまう。
そんなことを思い出しながら、彼女と相談し、今日はルイ・ミシェルのシャブリを飲むことにした。
となると、マッド・クラブはチリ・ソースの味付けではシャブリの風味を壊してしまう。
そこで、ジンジャー・クラブを注文する。
ここでは、マッド・クラブを大きさで注文する。
M、L、LL、XL、とあるが、さらに大きな横綱を頼む。
マッド・クラブとルイ・ミシェルのシャブリ。
まるで私と彼女みたいに、最高の組み合わせでした。