ビジネスマー研修や新入社員研修で『電話の仕方』はもう要らないんじゃないの? という声を少しずつ聞くようになってきました。確かに、電話で通話はほとんどしないという若者は増えていますし、実際通話しなくてもコミュニケーションは取れます。

私も、従来のような昭和の時代から全く変わらない、いや伝える側が変えようとしない思考停止という時空で古臭いカビが生えたようなマナーならば不要だと考えています。

現在は通話以外にもコミュニケーションを取る手段とそのツールがたくさんあります。リアルタイムでのコミュニケーション手段のメインが電話だった時代からはその首位の座を明け渡し、数多あるツールの中の一つになりました。ですから、必要なマナーも変わって当たり前です。

 

 

先日複数人で打ち合わせをしていた時、一人の男性の方の電話が鳴りました。急ぎの用事だったようで「申し訳ありません、ちょっとだけ出ていいですか?」と電話に出られました。どなたからかは分かりませんが、彼の口調から親しいお間柄の方っぽい雰囲気でした。2〜3分ほどの通話が終わり電話を切った時、彼は言いました。

「ったく、めんどくせえな」

 

 

以前勤めていた会社のとある女性社員は、電話の切り方が乱暴でした。よくある、受話器をガチャン!と置くタイプです。その暴力的な音は相手の方の鼓膜を破壊するから良くないよ、と私は伝えました。彼女はその後、相手の方が電話を切ったことをしっかり確かめてからガチャン!と受話器を置くようになりました。

 

 

この2つの事例は、いずれも電話を切った後のことですから電話の相手には影響はありません。だからいいのか、というとそうではないですよね。

では、なぜダメなのか。

電話の相手ではなく、電話のこちら側にいる人たちの場の雰囲気を破壊するからです。

 

私は「ったく、めんどくせえな」と言った方に対して、ああこの人は私との電話を切った後もこう言っているんだろうなと思い一抹の不信感を抱きましたし、彼の発した一言でその場の雰囲気の品格が下がりました。

 

彼女が受話器をガチャン!と置く度に、オフィス内の空気は神経質に振動し「何かあったのかな」「機嫌が悪いんだろうか」という不穏な空気感を纏わせました。

 

 

電話のマナーも、ここの本質を伝えるならば研修でやるべきだと思います。この2つに限らずその他全てのマナーも同様です。

マナーとは自他への思いやりの心を目に見える形に表したもの。それは自分を守ってくれる救命胴衣のようなものです。自分のために身につけておくべきもの。それが相手のためになるのです。

社内でも社外でも、マナーを教える方は、目的と手段を間違えないようにしていただきたいと思います。

 

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