皆さま、こにちは。
牧歌ブリ吉でございます。
しばらくの間、いくつかのプロジェクトにかまけておりまして、ご無沙汰して失礼いたしました。
去る10月5日にカズオイシグロさんのノーベル文学賞が発表されて、以前から気になっていたテムズの洪水とロンドンの科学博物館について一刻も早く皆さんにお知らせするべきだなと、今大急ぎでこの記事を書いています。
テムズ川のバリアと言えば、遠浅の北海から押し寄せる高潮によってテムズ川を逆流する水の流れ、つまり洪水からロンドン、そしてテムズ流域を守る災害予防の壁のことです。
その高潮の研究とテムズバリアの建設に関わった中心人物のひとりがイシグロという日本名であることを、下水道王バザルゲットについての調査中に偶然見つけたことがあります。
バザルゲット卿はヴィクトリア時代にロンドンの下水道を敷設し、ロンドンの住民をコレラなどの伝染病から救った偉大な技術者ですが、近年になると彼が作り出した下水道の老朽化にともなって、新しい下水道施設の開発が進められています。
【ロンドン中心部よりかなりヒースロー空港寄りのテディントンにあるbarrage(バリッジ:河流の堰止め)です。テムズの河口からは60キロ以上離れていますが、テムズは蛇行河川ですし、干潮河川ですので、満ち潮の影響をモロに受けやすいのです。そんなわけで、この堰の上流側と下流側のレベルが同じ位置になることもあります。このダイナミックな光景がロンドン近郊で見られます】
下水道の話となると、河川や異常気象や高波のことに触れないわけには参りません。河川も海も繋がっていますから、下水道でどんなに遮断しても限界があります。その限界値を計測したり、どれくらいの堰(せき:水を留めるダムのようなシステム)が必要になるかと数値化して行く作業が現代科学には課せられたわけです。
【科学博物館に行く途中の地下通路での光景。お母さんはハープを買ってあげたいでしょうね。この娘たちでも学べるものが科学博物館には用意されています】
そして、ロンドンの水と河川の歴史を追って行くと、1950年代から必ず顕れるご尊名が津波研究の第一人者として世界に知られた海洋学者のイシグロ様なのです。
バザルゲット卿の記録と当方との遭遇は20年ほど前のロンドンの地方図書館でした。その後の下水道を調べて行くうちに、海洋学者イシグロを目にした時、ちょいと思い当たりました。「あれ?もしかして、カズオイシグロのお父さんかな?」カズオイシグロ氏の文壇デビューは、Pale view of Hillsで1982年のこと。奇しくもテムズバリアが竣工した同じ年のことでした。
【サウス・ケンジントン駅の地下通路の手すり。年季が入ってイイ感じ】
しかし、テムズバリアの完成と作家カズオイシグロとを結びつけることは当時の誰も思付かなかったのではないでしょうか。
洪水研究のご尊父、石黒鎮雄様が英国に渡ってこそ成し遂げられた偉業が今回のノーベル賞に繋がっているのですね。
ご尊父様のことを知るにはサウス・ケンジントンの科学博物館にいらっしゃることをお薦めします。
【2nd floorにあるMathematics The Winton Galleryにいらっしゃれば、石黒鎮雄様の業績に触れられます】
ブリ吉は特別展で興味深いものを見つけるたびに博物館や美術館に参ります。中でも自然科学系と社会科学系が一緒に組み合わさった研究を見ると、心のこもった科学の進歩が感じられます。そして、英国の科学技術系の博物館ではどこでも同じ空気が感じられます。その来館者が世界中から押し寄せてくることで人気の理由が十分に証明されていますね。
【石黒鎮雄博士の創り出した装置は、洪水対策だけでなく、北海油田やガスの産業にも大きく貢献しました。博士無くしては、海上油田設備の発想は得られなかったとされています】
科学博物館のウェブ
Shizuo Ishiguro`s North Sea Machine(英文)
https://beta.sciencemuseum.org.uk/stories/2016/11/4/modelling-the-oceans?_ga=2.13673845.390890287.1507274716-579384091.1507274716
博物館に行くことがベタな観光だとは思いなはんな。
まず、行ってみなはれ。意外なものがみつかりまっせ。
以上、ブリ吉でした。
ご参考
http://d.hatena.ne.jp/masudako/20121014/1350215515
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