資本金の額及び準備金の額の計上の方法
1.募集株式の発行の場合
平成19年度本試験問題を題材として、具体の資本金の額及び準備金の額の計上の方法を整理
別紙3
平成19年6月10日取締役会の議事概要(抄)
第2号議案 募集株式の発行に関する件
募集株式の発行に関する件について、全員の一致により、下記のとおり承認可決した。
1 募集株式の数
普通株式400株(このうち100株については、自己株式を交付する。)
⇨新株発行は300株
2 (略)
3 払込金額
1株につき金10万円
4 申込期日 (略)
5 払込期間 (略)
6 増加する資本金の額は、資本金等増加限度額に2分の1を乗じて得た額(1円未満切上げ)とする。
別紙4
司法書士の聴取記録
10 募集に係る自己株式の1株当たりの帳簿価格は、10万円(12万円)である。
(計算例)
①差損がない場合
①募集株式の引受人より払込み又は給付を受けた財産の合計額
400株*10万円=4000万円
②資本金等増加限度額の計算
4000万円*(300株/400株)=3000万円
③資本金の額の計算
3000万円*1/2=1500万円
※例えば、自己株式の帳簿価格が8万円であるときでも、差益を足すことはない。
②差損がある場合
①募集株式の引受人より払込み又は給付を受けた財産の合計額
400株*10万円=4000万円
②資本金等増加限度額の計算
4000万円*(300株/400株)=3000万円
3000万円-(2万円*100株)=2800万円
③資本金の額の計算
2800万円*1/2=1400万円
2.新株予約権の行使の場合
平成28年度本試験問題を題材として、具体の資本金の額及び準備金の額の計上の方法を整理
別紙1
【平成28年5月30日現在のワンツー株式会社に係る登記記録の抜粋】
第1回新株予約権
新株予約権の数
100個
新株予約権の目的たる株式の種類及び数又はその算定方法
普通株式 100株
⇨新株予約権1個当たり1株
募集新株予約権の払込金額若しくはその算定方法又は払込を要しないとする旨
1個当たり金1万円
新株予約権の行使に際して出資される財産の価額又はその算定方法
1個当たり金9万円
新株予約権を行使することができる期間
平成26年6月1日から平成28年5月31日まで
新株予約権の行使の条件
なし
会社が新株予約権を取得することができる事由及び取得の条件
なし
別紙8
【司法書士法務朝子の聴取記録(平成28年6月1日)】
⇨新株予約権の行使に関する情報は聴取記録に記載される
4 平成28年5月1日から平成28年5月31日までの間に、ワンツー株式会社の第1回新株予約権者のうち3名が、次のとおり新株予約権を有効に行使した。当該行使時における第1回新株予約権の帳簿価額は、新株予約権1個当たり金1万円であった。なお、ワンツー株式会社は設立から現在まで自己株式を有したことはない。
⇨自己株式の交付はない
⇨行使した新株予約権個数90個(一部行使)
5 第1回新株予約権の行使により増加する資本金の額は、資本金等増加限度額の2分の1の金額とすることが、第1回新株予約権の募集事項に係る取締役会決議において決定されていた。
⇨新株予約権の行使に際して増加する資本金及び資本準備金に関する事項は登記事項ではない
6 いずれの登記についても,登記懈怠がない形で登記の申請をしてほしい。
⇨新株予約権の行使による変更の登記は行使した日が属する日の末日から2週間以内にまとめて申請
(計算例)
①資本金の額
①株主となる者が株式会社に対して実際に払込み又は給付をした財産の合計額
(9万円+1万円)*90個=900万円
②資本金等増加限度額の計算
900万円*1=900万円
③資本金の額の計算
900万円*1/2=450万円
②発行済株式の総数
90個*1=90株
③新株予約権に関する事項
平成28年5月31日時点
(一部行使)
・新株予約権の数 100個-90個=10個
・新株予約権の目的たる株式の種類及び数又はその算定方法 100株-90株=10株
⇨残りは6月1日に行使期間満了で消滅