確定事由と元本確定の登記の要否(記憶用) | 合格への道のり("3つの道"編)

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これまで宅地建物取引士試験、行政書士試験、司法書士試験、海事代理士試験及びマンション管理士試験に一発合格しました。2022年からは受験生、実務家(士業)及び講師の3つの道を歩みますので、どうぞよろしくお願いしますm(_ _)m。

確定事由と元本確定の登記の要否
※最初に「共同担保目録」をチェック!

合一確定の原則


(登記記録上元本確定が明らかな場合)【確定登記不要】

①登記された確定期日の到来(民法398条の6)

◯確定期日の午前0時の到来によって元本が確定


②根抵当権者が抵当不動産につき競売・担保不動産収益執行による差押えを申し立てたとき(民法398条の20第1項1号)

◯申立てがあっても、競売手続、差押え等が行われるまでに至らなかったときは、確定の効力は生じない

⇨いったん手続開始決定がされ、又は差押えの効力が生じた後に、差押え等の効力が取り消されても、確定の効果は消滅しない

◯根抵当権者の一部譲渡を受けた者がした抵当不動産についての競売の申立ては、根抵当権は全体として元本確定(平9.7.31民三1301号回答)

(登記記録例)

「甲区◯番 差押 年月日◯◯地方裁判所担保不動産競売開始決定 債権者X」

「甲区◯番 差押 年月日◯◯地方裁判所担保不動産収益執行開始決定 債権者X」

※債権者Xは差押えを申し立てた根抵当権者


③根抵当権者が滞納処分による差押えをしたとき(民法398条の20第1項2号)
※②と同様


④相続による変更又は移転登記がされており、相続開始から6ヶ月以内に合意の登記がない場合(民法398条の8第4項)

◯根抵当権者又は債務者が死亡した場合

⇨元本は相続開始の時に確定したものとみなされる


自然人である設定者に破産手続が開始された場合(民法398条の20第1項4号)

◯破産手続開始の決定の時に元本が確定

⇨破産手続開始決定の効力が消滅したときは、元本は確定しなかったものとみなされる

⇨破産手続開始決定の効力が消滅した場合でも、既に元本が確定したものとして根抵当権又はこれを目的とする権利を取得した者がいるときは、確定の効力は失われない

(登記記録例)

「甲区◯番 破産手続開始 年月日◯◯地方裁判所破産手続開始決定」

cf.破産法による否認の登記

「甲区◯番 ◯番所有権移転登記の破産法による否認」


(登記記録上元本確定が明らかでない場合)【確定登記必要】

※⑧⑨⑩は根抵当権者による元本確定登記の単独申請が認められる


⑥根抵当権者自身による物上代位による差押え(民法398条の20第1項1号)
◯物上代位による差押えは債権に対する執行

⇨不動産登記の登記記録に差押登記が入らない


⑦設定者の元本確定請求(民法398条の19第1項・398条の9第3項・398条の10第3項)
◯根抵当権者に合併又は会社分割があった場合

⇨設定者が合併等があったことを知った日から2週間、かつ、合併等の日から1ヶ月を経過するまでの間に限り、元本の確定請求をすることができる

◯債務者に合併又は会社分割があった場合

⇨設定者が合併等があったことを知った日から2週間、かつ、合併等の日から1ヶ月を経過するまでの間に限り、元本の確定請求をすることができる

※債務者でない設定者(物上保証人)に限る

◯根抵当権の設定契約の時から3年経過

⇨元本確定期日の定めがない場合

⇨根抵当権者に確定請求の意思表示が到達した時から2週間を経過した時に確定


⑧根抵当権者による元本確定請求(民法398条の19第2項)
⇨元本確定期日の定めがない場合

⇨いつでも確定請求の意思表示によって根抵当権の元本を確定させることができる

⇨確定請求の時に確定


⑨根抵当権者が抵当不動産に対する差押えがあったことを知った時から2週間を経過したとき(民法398条の20第1項3号)
◯担保不動産収益執行は含まない

◯第三者の申立てによる競売手続の開始又は滞納処分による差押え

⇨根抵当権者が知った時から2週間を経過した時において元本が確定

⇨競売手続又は差押えの効力が取下げ等により消滅した場合、元本は確定しなかったものとみなされる

⇨既に元本が確定したものとして根抵当権又はこれを目的とする権利を取得した者がいるときは、確定の効力は失われない


⑩債務者の破産又は法人設定者の破産(民法398条の20第1項4号)
◯破産者が債務者又は法人の場合、不動産登記の登記記録に破産手続開始の登記が入らない