株式会社の登記の登記事項
(商号区)
1)商号
✔︎会社の商号の登記は、会社の登記簿にされる
cf.個人商人の登記(商号の登記)
2)商号譲渡人の債務に関する免責
✔︎会社法22条2項前段
前項の規定は、事業を譲り受けた後、遅滞なく、譲受会社がその本店の所在地において譲渡会社の債務を弁済する責任を負わない旨を登記した場合には、適用しない。
cf.商人の営業譲渡(商法17条2項前段)
3)本店の所在場所
✔︎定款の絶対的記載事項は「本店の所在地」
ex.東京都◯◯区
cf.定款の絶対的記載事項
①目的
②商号
③本店の所在地
④設立に際して出資される財産の価額又はその最低額
⑤発起人の氏名又は名称及び住所
⑥発行可能株式総数
4)会社の公告方法
✔︎官報
✔︎時事に関する事項を掲載する日刊新聞紙
✔︎電子公告
5)貸借対照表に係る情報の提供を受けるために必要な事項
✔︎公告方法が官報又は日刊新聞紙である場合
6)会社成立の年月日
7)会社法人等番号
(目的区)
1)目的
(株式・資本区)
1)単元株式数
✔︎1単元1議決権
✔︎単元株式数の制限
・1000及び発行済株式の総数の200分の1に当たる数を超えることはできない
2)発行可能株式総数
3)発行済株式の総数並びにその種類及び種類ごとの数
✔︎4倍ルールの適用場面
①通常の株式会社の設立の場合、新設合併・新設分割又は株式移転による株式会社の設立の場合
②公開会社が発行可能株式総数を増加する場合
③非公開会社が定款を変更して公開会社となる場合
④公開会社が株式の併合をする場合
4)株券発行会社である旨
✔︎原則は株券不発行
✔︎定款の定めを設けた場合、株券を発行
⇨現実に株券発行 or
⇨現実に株券発行なし
①非公開会社で株主からの請求なし
②株券不所持の申出
・株券廃止公告、株券提供公告は不要
・株式を譲渡する場合、株券の交付が必要
5)資本金の額
✔︎大会社のメルクマール
cf.大会社とは・・・
最終事業年度に係る貸借対照表に資本金として計上した額が5億円以上又は負債の部に計上した額の合計額が200億円以上である株式会社
6)発行する株式の内容
✔︎単一株式の名称と内容(3種類)
①譲渡制限株式
②取得請求権付株式
③取得条項付株式
✔︎株式の譲渡制限に関する規定は登記記録上、別枠
(記載例)
株式の譲渡制限に関する規定 当会社の株式を譲渡により取得するには、当会社の承認を要する
cf.譲渡承認機関(当会社)
定款で別段の定めがある場合を除き、株主総会の普通決議(非取締役会設置会社の場合)又は取締役会の決議(取締役会設置会社の場合)
cf.非公開会社とは・・・
発行する全部の株式の内容として譲渡による株式の取得について株式会社の承認を要する旨の定款の定めを設けている株式会社
⇔公開会社
7)発行可能種類株式総数及び発行する各種類の株式の内容
✔︎種類株式の名称と内容(9種類)
①剰余金の配当に関する種類株式
②残余財産の分配に関する種類株式
③議決権制限株式
④譲渡制限株式
⑤取得請求権付株式
⑥取得条項付株式
⑦全部取得条項付種類株式
⑧拒否権条項付株式
⑨取締役等選解任権付株式
※取締役等選解任権付株式を発行できない場合
・指名委員会等設置会社
・公開会社
✔︎現に2以上の株式が発行されているか否か
⇨3)発行済株式の総数並びにその種類及び種類ごとの数により確認
8)株主名簿管理人の氏名又は名称及び住所並びに営業所
✔︎3ステップ
①株主名簿管理人を置く旨の定款の定め
②取締役の決定(取締役会設置会社の場合、取締役会の決議)によって具体的な株主名簿管理人となる者の決定
③その者と事務委託契約を締結
(役員区)
1)取締役の氏名
✔︎取締役の欠格事由
・法人
・会社法関連違反
罰金刑、執行猶予中、2年を経過⭕️
・その他違反
罰金刑、執行猶予中、2年を経過❌
※未成年者、成年被後見人、被保佐人等、外国人及び破産手続開始決定を受けた者で復権を得ていない者は欠格事由に該当しない
2)監査等委員である取締役の氏名
3)会計参与の氏名又は名称、計算書類等の備置場所
4)監査役の氏名
5)監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定めがある旨
✔︎役員区(会社状態区ではない)
cf.登録免許税
✔︎非公開会社かつ非大会社(監査役会設置会社及び会計監査人設置会社を除く)は設置不可
6)代表取締役の氏名及び住所
✔︎取締役会設置会社の場合
⇨取締役会決議
✔︎非取締役会設置会社の場合
⇨原則として取締役が各自株式会社を代表
(例外)
・定款
・定款の定めに基づく取締役の互選
・株主総会普通決議
7)特別取締役の氏名
✔︎取締役の数が6名以上であり、かつ、社外取締役が1名以上いる取締役会設置会社
✔︎指名委員会等設置会社、監査等委員会設置会社(①取締役の過半数が社外取締役である場合、又は②定款の定めがある場合)は特別取締役による取締役会の決議は不可
8)指名委員、報酬委員及び監査委員の氏名
✔︎各委員会の権限
✔︎各委員会の構成
・取締役会の決議で取締役の中から選定した委員3名以上で組織
・各委員会の委員の過半数は社外取締役
✔︎執行役と監査委員は兼任禁止
9)執行役の氏名
10)代表執行役の氏名及び住所
✔︎代表執行役は取締役会の決議により選定
11)会計監査人の氏名又は名称
12)仮会計監査人の氏名又は名称
✔︎会計監査人が欠けた場合又は定款で定めた会計監査人が欠けた場合、会見監査人は、会計監査人としての権利義務を有することはない
13)社外取締役である旨
14)社外監査役である旨
✔︎社外取締役、社外監査役の要件
・会社法2条15号・16号
✔︎次の場合に限り登記事項とされている
※法律上設置が義務付けられている場合に限る
(社外取締役)
・監査等委員会設置会社である場合
⇨監査等委員である取締役の過半数
・指名委員会等設置会社である場合
⇨各委員会の委員の過半数
・特別取締役による議決の定めがある場合
⇨7)特別取締役の氏名(1名以上)
cf.公開会社、かつ、大会社である監査役会設置会社であって、有価証券報告書を内閣総理大臣に提出しなければならない株式会社は、社外取締役を設置する義務はあるが、登記義務はない
(社外監査役)
・監査役会設置会社である場合
⇨監査役の半数以上
15)清算人の氏名
16)代表清算人の氏名及び住所
(役員責任区)
1)取締役等の会社に対する責任の免除に関する規定
2)非業務執行取締役等の会社に対する責任の制限に関する規定
✔︎総株主の同意(全部免除可)
✔︎役員等が業務執行につき善意+無重過失(一部免除のみ)
・株主総会特別決議
・定款の定めに基づく取締役会の決議等
⇨取締役が2名以上ある監査役設置会社※、監査等委員会設置会社、指名委員会等設置会社
※会計限定監査役の場合、不可
⇨登記事項1)
・定款の定めに基づく責任限定契約の締結
⇨登記事項2)
(支配人区)
1)支配人の氏名及び住所
✔︎会社の支配人の登記は、会社登記簿にされる
✔︎本店のみで登記をする(支店では登記をしない)
2)支配人を置いた営業所
✔︎支店区1)支店の所在場所と連携を図る(最初に紐付けしておく)
・支配人を置く支店を移転した場合
⇨支配人を置いた営業所移転
・支店を廃止した場合
⇨支配人の代理権消滅
(支店区)
1)支店の所在場所
✔︎全ての支店
cf.支店所在地における登記
⇨同一登記所の管轄区域内の支店のみ
(新株予約権区)
新株予約権に関する事項
※新株予約権の行使に際して増加する資本金及び資本準備金に関する事項は登記事項ではない
1)新株予約権の名称
ex.第1回新株予約権
2)新株予約権の数
✔︎割当日に実際に発行された数が登記される
3)新株予約権の目的たる株式の種類及び数又はその算定方法
4)募集新株予約権の払込金額若しくはその算定方法又は払込を要しないとする旨
✔︎募集新株予約権の払込金額の算定方法を定めた場合において、登記の申請の時までに募集新株予約権の払込金額が確定していないときは、算定方法を登記しなければならない
5)新株予約権の行使に際して出資される財産の価額又はその算定方法
✔︎上場会社が取締役の報酬等に関する定款又は株主総会の決議に基づき募集新株予約権の発行をする場合
⇨以下の①及び②を代わりに定める
①取締役の報酬等として又は取締役の報酬等をもってする払込みと引換えに新株予約権を発行するものであり、新株予約権の行使に際してする払込み又は給付を要しない旨
②定款又は株主総会の決議による会社法361条1項4号、5号ロに掲げる事項についての定めに係る取締役(取締役であった者を含む)以外の者が新株予約権を行使することができない旨
6)金銭以外の財産を各新株予約権の行使に際して出資する旨並びに内容及び価額
7)新株予約権を行使することができる期間
8)新株予約権の行使の条件
9)会社が新株予約権を取得することができる事由及び取得の条件
(会社履歴区)
1)会社の継続
2)合併をした旨並びに吸収合併消滅会社の商号及び本店
3)分割をした旨並びに吸収分割会社の商号及び本店
4)分割をした旨並びに吸収分割承継会社又は新設分割設立会社の商号及び本店
cf.不動産登記法の記述式問題では、「商号区(商号・本店)」及び「会社履歴区」は必ずチェックする
⇨ 「別紙読み取り入門Q&A」を読むこと
(会社状態区)
※法律上必ず設置する機関は登記とならない
ex.株主総会設置会社❌、取締役設置会社❌
cf.一般社団法人及び一般財団法人の登記
⇨社員総会設置会社❌、評議員会設置会社❌
1)存続期間の定め
2)解散の事由の定め
✔︎株式会社の解散の事由
①定款で定めた存続期間の満了
②定款で定めた解散の事由の発生
③株主総会の特別決議
④合併(消滅会社の場合)
⑤破産手続開始決定
⑥解散を命ずる裁判
⑦休眠会社のみなし解散
3)取締役会設置会社である旨
4)会計参与設置会社である旨
5)監査役設置会社である旨
✔︎会計限定監査役を含む
6)監査役会設置会社である旨
7)特別取締役による議決の定めがある旨
8)監査等委員会設置会社である旨
9)重要な業務執行の決定の取締役への委任についての定款の定めがある旨
✔︎監査等委員会設置会社の取締役会
⇨以下の場合には、会社法399条の13第5項各号に掲げる事項を除き、業務執行の決定を取締役に委任できる
・定款の定めがある場合
・取締役の過半数が社外取締役である場合
10)指名委員会等設置会社である旨
11)会計監査人設置会社である旨
12)清算人会設置会社である旨
13)解散(登記記録区に記録すべき事項を除く。)
(登記記録区)
1)登記記録を起こした事由及び年月日
2)登記記録を閉鎖した事由及び年月日
cf.支店所在地における登記
(登記事項)
①商号
②本店の所在場所
③支店の所在場所
④会社成立の年月日
⑤登記記録に関する事項(支店設置又は支店移転の年月日及び支店設置又は支店移転の旨)