「カップリング・ベストⅡ/MUCC」レビュー | brilliant-memoriesのブログ

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ドエルさんでもあり、V系好きのギャ男でもあり、60〜00年代の音楽好きでもある私がお送りするこのブログ。アルバムレビューや自作曲の発表、日常、ブログなどいろんなことをします!

「暑いです。。本当に暑い。。10分歩いただけで汗だくですよ、最近はタオルとシーブリーズが手放せなくなっています。一方で、雨予報がない日でも唐突に降ってきたりするので、常に折りたたみ傘は鞄に入れておく毎日。完全に全てがバグってますね。」

 

今回は2017年に発売されたMUCCのベストアルバム「カップリング・ベストⅡ」のレビューをする回です。2017年に入り、中期ムックの集大成となった「脈拍」を発売、その後まもなく「BEST OF MUCCⅡ」と同時発売された今作は、SONYからリリースされた最後のアルバムでもあります。前回の「カップリング・ベスト」「カップリング・ワースト」では、まだ見ぬMUCCの世界を見せてくれましたが、続編にもあたる今作には、果たしてどのような世界がひろがっているのでしょうか。

 

「カップリング・ベストⅡ」のポイント

 

・今回は21stシングル「フリージア」から32ndシングル「故に、摩天楼」までのカップリング曲を収録。この時期のMUCCは初回限定盤、通常盤にそれぞれ別のカップリング曲を付けたりしていたのですが、純粋な新曲は全て網羅しており、大ボリューミー。メインコンポーザーのミヤ以外にも達瑯・YUKKE・SATOちが手掛けた新たな一面を見れる楽曲達も多く収録されています。

 

・前作の「カップリング・ベスト」ではカップリング曲のみでアルバムを制作したら?というようなコンセプトで曲順がよなっておりましたが、今回は時系列順に並んでおります。

 

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 (カップリング曲→赤


1.「終止符」(作詞:達瑯 作曲:ミヤ)

 

21stシングル「フリージア」通常盤のカップリング曲。

 

デジタル要素が目立った表題曲に対して、この曲は楽曲面はバンドサウンドのみで構築されており、さらには様々な展開を組み込んだミヤらしい楽曲なので、MUCCここにありと安心できるのですが、音色面から消えたデジタルは達瑯のヴォーカルに掛かり、要所要所で達瑯の声がデジタル加工されているのがポイントです。個人的にはサビの駆け上がっていくようなあの感覚が好きなのですよね。

 

歌詞はマリア様が終止符を打っ完全終了させるというシチュエーションですが、この曲の「愛」は恋愛では無く、ぬくもりが消え冷え切ったこの現実に対して使われています。

 

2.「楽園」(作詞:ミヤ 作曲:ミヤ)

 

21stシングル「フリージア」初回生産限定盤のカップリング曲。

 

こちらは「カルマ」の延長線上のようなデジタルさ全開のダンスナンバー。ベースとギターもエフェクターを使って、デジタルさを強調し、ドラムに至ってはおそらく打ち込みという攻めたナンバーとなっております。特に賛否両論でもあった「カルマ」の前半部分の楽曲にハマった方なら確実にハマる楽曲だと思いますよ。

 

歌詞も楽園を中心にしつつ、韻を踏んだり、単語を並べたりと遊び心が見られる形となっており、楽曲面も独特な世界観が生み出されているので、まさに此処は「一種の楽園」といってもいいでしょう。

 

3.「瓦礫の鳥」(作詞:達瑯 作曲:SATOち)

 

23rdシングル「約束」初回生産限定盤のカップリング曲。

 

シャッフルビートの跳ねるハードなナンバー。SATOちらしいキャッチーかつ歌謡曲テイストのある哀愁な歌メロに乗せて、跳ねながらゴリゴリと一直線に果てまで荒々しく突き進む様やサビの掛け声もかなり男臭く、全体的に世紀末な世界観が広がります。

 

歌詞は失恋した主人公が未だにこの事実を受け入れられず、元カノを思い続けているというシチュエーションです。

 

4.「イソラ」(作詞:ミヤ 作曲:ミヤ)

 

23rdシングル「約束」通常盤のカップリング曲。ピアノが中心となって展開していくR&Bと歌謡性を融合させたメロウなナンバーで、「CHEMISTRY」の楽曲を聴くと溢れる感情がこの曲を聴いた際にも現れました。「カルマ」へ向けてデジタルの世界へどんどんチャレンジしていく中で生まれた「R&B」とMUCCの化学反応に、かなり新鮮さがありました。

 

タイトルの「イソラ」は育成系統どうしを交配させて育成する植物のことをさします。歌詞はイソラのように愛し合っていた主人公が、失恋or死別してしまい感傷に浸る様が描かれています。

 

5.「月の夜」(作詞:達瑯 作曲:YUKKE)

 

24thシングル「フォーリングダウン」初回生産限定盤のカップリング曲。

 

YUKKE作曲の3拍子のジャズナンバー。アルバム「カルマ」に収録された達瑯の「堕落」と共に本格的なジャスを挑戦したかったとのことで、制作されたこの楽曲は、ジャズ好きなら知らない人がいない「フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン」やメリーポピンズの「私の宝物」にも通ずる、夜の艶やかさとお洒落な世界が広がっています。

 

歌詞はこの世界観ときたら勿論、ラブソングですよね。素敵な一夜を過ごすカップルが描かれ、主人公の彼女に対する愛がこれでもかと綴られているのですが、最後の最後に衝撃の結末が待っています。

 

6.「」(作詞:達瑯 作曲:SATOち)

 

24thシングル「フォーリングダウン」通常盤のカップリング曲。

 

「蛍」というタイトルが来たらバラードが来ると思いがちですが、現れたのは真逆の世界。先程レビューした「瓦礫の鳥」同様、荒々しく飛ばすパンクナンバーですが、なによりも独特なメロディラインの突き抜け具合が非常に耳に残ります。楽曲をここまで激しく振り切っても耳に残るインパクトを生み出せるのはSATOちの楽曲ならではという感じがしますね。

 

歌詞は絶望の中、一際に光る蛍の光を一筋の希望と例え、それを追いかけようという前向きな応援歌となっております。

 

7.「NAME」(作詞:達瑯 作曲:達瑯)

 

26thシングル「アルカディア」のカップリング曲。

 

達瑯の本格バラード。エレクトロな世界が広がる表題曲とは一転して、こちらはシンセパッドによる浮遊感とキーボード含め生音を重視、さらに「約束」でも見せつけられた達瑯の聴き手を1発で掴むようなメロディラインも彩り、素敵な楽曲となっております。この曲を初めて聴いたときの『「アルカディア」のエレクトロな都会に雨が降り注いでネオンが更に煌めく』という映像が浮かんで以降、個人的には表題曲とセットで聴くことが多いですね。

 

歌詞は、名前をつけれないこの「好き」な想いをなかなか伝えられない主人公を描いたラブソング。このモヤモヤ且つドキドキとした切ない恋心が楽曲の世界観とマッチしていてより楽曲に深みを増しています。カップリングベストなので曲順も完全にたまたまですが、やっと純粋なラブソングが出てきたなという感じがして、テンションが上がります。

 

8.「FAZZ-Thunder Groove Ver.-」(作詞:達瑯 作曲:ミヤ)

 

26thシングル「アルカディア」のカップリング曲。

 

MUCCのデジタルの始まりとも言える重要な「ファズ」をリメイク。歌詞も全て英詩となり、MUCC初となる全英詞。原曲のエレクトロなカラーを強調しつつもバンドサウンドの骨太さも存分に引きだした、後の「Mr.Lair」系列のアレンジといってもいいでしょう。原曲の都会的な雰囲気から一気にフェス会場に進化を遂げて化けました。

 

9.「バルス」(作詞:達瑯 作曲:ミヤ)

 

27thシングル「ニルヴァーナ」通常盤のカップリング曲。アルバム未収録ですが、初回限定盤には「最終列車」のリメイクが収録されています。

 

「バルス」といえば何を隠そう、あの「天空の城ラピュタ」の滅びの呪文であり、ラピュタが再放送される度に”サーバーが滅びかける”という「バルス祭り」が起きるほどの人気な呪文。この楽曲でもそのまんまの意味で使われたことにより、Twitterで当時かなり話題になったらしいです。そんな恐ろしい滅びの呪文がタイトルになったということで、さぞ、世紀末な世界観が広がっているかと思いきやモータウンビートを軸としたノリノリでポップなパーティーチューンが現れ「4分間舞い」ます。

 

「東日本大震災以降に感じていたモヤモヤ感」を歌詞にしたとのこと。現実の不条理にシニカルなリリックを突き刺し、最後は吐き捨てて疾走するという振り切り方をしているのがポイントです、ちなみに「滅びの呪文を使いたいな」というリリックこそ出てくるものの、タイトルの「バルス」は出てきません。うーむ、この匂う事情に眼がぁ眼がぁぁぁぁぁぁ...←やってみたかっただけ

 

ちなみに私の世代のムスカといえば、下の写真なんですよね。↓

 

10.「ネガティブ・ダンサー」(作詞:ミヤ 作曲:YUKKE)

 

28thシングル「MOTHER」初回生産限定盤のカップリング曲。

 

YUKKE作曲のダンスミュージックにEDM要素を織り交ぜ生み出される都会的なエレクトリカルワールド、そして自然に体が揺れ出すような感覚。デジタルに振り切った世界観にコール&レスポンスを楽しめるポイント沢山用意され、さらにはメロコアのような要素も現れるという、間違いなくライブを意識した、起爆剤として弾けまくりなナンバーとなっています。

 

一見、ジャニーズの楽曲にありそうなタイトルですが(コレに関しては一時期、KAT-TUNやHey! Say! JUMP!を始めとした2000年代のジャニーズの楽曲を聴きまくっていたこともあると思う)、歌詞はライブの盛り上がりを意識したようなワードが散りばめられている印象ですね。かなりはっちゃけているのが印象的で、それこそV系の厨二さとジャニーズのキラキラさを融合させたような感じがしました。

 

11.「あすなろの空」(作詞:達瑯 作曲:達瑯)

 

28thシングル「MOTHER」通常盤のカップリング曲。

 

今度は達瑯の哀愁さ漂う歌謡バラード。この曲もやはりメロディラインから聴き手の心を掴んでくるような浸透さがあります。そのメロディラインの裏をシンセパッドで浮遊感を作り、バンドサウンドを中心にストリングスも交えて盛り上げる構成になっていますね。先程「NAME」で浮かんだ景色を「都会に雨が降ってネオンが煌めく風景」とレビューしましたが、この曲は「田舎に雨が降って街路灯や走り抜ける車のテールランプが煌めく」という風景が浮かびましたね。

 

歌詞も主人公の愛が溢れるシンプルなラブソングとなっていて、楽曲の世界観と相まって深みが増しております。

 

12.「テリトリー」(作詞:達瑯 作曲:ミヤ)

 

29thシングル「HALO」初回生産限定盤のカップリング曲。

 

ガレージロック→パンクロックに変貌していく4人の音だけで表現されたリフ中心のカッコいい楽曲ですが、メンバー曰く「1発録りに近い形で録音された」とのことで、これぞカップリング曲ありがちな、歌詞・楽曲共に非常にラフな構成をしたナンバーとなっております。楽曲が終わった後に少しメンバーの声が入っているのも1発録りって感じがしてイイですよね。

 

歌詞も性行為の模様がかなりラフに書かれていますが、ラフに書きすぎた影響で生々しい部分がほぼモロだし状態になっているのが面白いです。

 

13.「Monroe」(作詞:YUKKE 作曲:YUKKE)

 

29thシングル「HALO」通常盤のカップリング曲。

 

YUKKEが作詞を務めたのは「心色」以来2度目となります。一部ギターのスカ要素が見受けられるものの、楽曲の至る所にジャンルを詰め込む最近のYUKKE曲にしては珍しく、基本的には歌謡ロックを軸に突き進み、サビで大きく開いて哀愁の雨を降らすというドラマチックな展開をしております。

 

歌詞は、「死別」がテーマとなっておりますが、今回はこっちが死人視点。自分が亡くなったことにより、大切な愛する人を失い悲しみの雨に打たれる彼女に対して愛を囁くという切ないシチュエーションとなっています。「夢が一つずつ消えるごとに地球の色が消えていく歌詞(心色)」に続き「死別」ときたYUKKEの歌詞。未だにYUKKEの詞の世界には謎が多いです。


14.「自演奴」(作詞:達瑯 作曲:達瑯)

 

30thシングル「World's End」初回生産限定盤のカップリング曲。

 

達瑯の楽曲。YUKKEのアップライトベースが鳴り響きジャズナンバーが始まるかと思わせてて、現れたのは2ビートのツタツタ暴走ナンバー。要所要所にYUKKEのアップライトベースのソロを挟み展開を切り替えていく構成をとっていて「狂乱狂唱」に続く斬新なナンバーといえるでしょう。さらにこのベストアルバム内ではバラード以外の達瑯曲ということもあって、インパクトもあります。

 

ここからは、アルバム「THE END OF THE WOELD」の内容を意識したシニカル・社会風刺な楽曲が続きます。タイトルは「ジ・エンド」の当て字。表題曲且つアルバム世界線を引き継いだようなリリックとなっており、攻撃的なサウンドに乗せて世界に散々毒を吐いて吐いて吐きまくったあとで、最後は君に会いたいと占める辺り、主人公の優しい性格が伺えます。

 

15.「WateR」(作詞:ミヤ 作曲:ミヤ)

 

30thシングル「World's End」通常盤のカップリング曲。

 

カラッとした洋楽サウンドをバンドサウンドのみで表現、メンバーの奏でるグループ感に浸れるナンバー。曰く、ギターリフととビート、音数のみでいかに中毒性のある音楽を創れるかを追究したとのことで、楽器隊の各パートの表現の引き出し口の多さに圧倒されます。特筆すべき点はYUKKEのベースで、かつての「コンクリート082」を彷彿とさせるスラップを交えたプレイで、珍しく前へ前へと出てくる部分が個人的なポイントだなと想いました。

 

歌詞はこの時期に制作していた「THE END OF THE WOELD」を意識したリリックとなっており、現代社会とそこに蔓延る人間の醜い本性を描いたシニカルなリリックとなっております。

 

16.「モノポリー」(作詞:達瑯 作曲:ミヤ)

 

31stシングル「ENDER ENDER」カップリング曲。このシングルには「DEMO OF THE WORLD」と題した複数のデモ音源を収録した初回生産限定盤と追加で「前へ」のリメイクが収録された通常盤の2形態で発売されていますが、この楽曲はどちらの形態にも収録されています。

 

達瑯の激しいシャウトから始まり、先導するギターリフによって禍々しい世界へ引きずられるヘヴィナンバー。マイナーコードをイイ感じに詰め込み、メロディラインのシリアスさを増幅させ、中盤はデスボイスで引っ張るという展開となっており、ライブでも盛り上がるナンバーだと思います。2015年に発売するミニアルバム「T.R.E.N.D.Y」を予告しているようなナンバーとなっています。表題曲の「ENDER ENDER」も激しく暴れ散らかすメタルコアだったので、さらに奥深くへ突き進んでいる感じがするのですよね。

 

やはりこの曲も、「THE END OF THE WOELD」を意識した内容になっております。タイトルとなっている「モノポリー」は「独占」という意味であり、弱者を潰し合って堕落者を生み出しながら築き上げられる現代のカラクリを風刺するリリックとなっております。更に悪化した2024年現在にも強く響くリリックですね。

 

17.「Conquest」(作詞:ミヤ 作曲:ミヤ)

 

32ndシングル「故に、摩天楼」通常盤のカップリング曲。初回限定盤にはこの曲の代わりに「THE END OF THE DEMO」として、アルバム「THE END OF THE WOELD」の全楽曲のデモ音源を収録するという斬新な企画を展開しています。

 

実質的にこのアルバムの大トリを務めるナンバー、激しく激しく暴走して全てを破壊し尽くしてこのアルバムは幕を下ろします。ヘヴィロックとスラッシュメタルを融合させたナンバーであり、キメを意識した重なるリフ達の弾丸が飛びまくり、達瑯もデスボイスで大暴走。しかしながら、サビはキャッチーな歌メロが飛び出すので、油断できない展開が特徴ですね。この曲のタイトルにもなっている「Conquerest」は「征服」という意味であり、彼女を犯して行く様を生々しく綴ります。

 

表題曲があまりにキャッチーなポップロックナンバーでもあり、「金田一少年の事件簿」のアニソンでもあるので、表題曲を聴いた後にこの曲を聴いた少年少女達の反応も気になる所です。

 

 

カップリング曲を詰め込んだこともあってトータルでみるとMUCCのバラエティさをかなり感じることが出来るのですが、本格的なデジタルサウンドへの挑戦とバラエティさを強調した「カルマ」、バラエティに弾けすぎてなんでもあり状態の「アルカディア」、シニカル・社会風刺な歌詞によってシリアスな雰囲気を創り上げる「THE END OF THE WOELD」...。表題曲が「収録されたアルバムの片鱗やさらなる追求を感じられるのがポイントかなと感じました。

 

次回からは中期ムックを終えて、「現在期」を迎えたMUCCの発売されたミニアルバム、「壊れたピアノとリビングデッド」のレビューとなります。

 

期末課題とへ移行してやっております関係で、更新頻度のリズムがバラバラになってしまっていますが、次回もよろしくお願いします!