「cali≠gariアルバム未収録曲をレビュー(~2000)」(随時更新) | brilliant-memoriesのブログ

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ドエルさんでもあり、V系好きのギャ男でもあり、60〜00年代の音楽好きでもある私がお送りするこのブログ。アルバムレビューや自作曲の発表、日常、ブログなどいろんなことをします!

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「皆様、今年も残すことわずかです。どんな1年でしたか?」

 

お疲れ様です!今年最後のレビュー、やっていこうと思います。勿論cali≠gariです。前回第5実験室のレビューを終えて、次回からは第7期のアルバムレビューに入りますが、第7期に入る前でも濃い歴史がありアルバム未収録となる音源も数多く存在していました。というわけで、今回は第6期までのアルバム未収録音源を全てレビューしちゃおう!大企画です!

 

尚、今回アルバムレビューは初めてのCDリリースとなった「第3実験室-改訂版-」からでしたが、今回はそれ以前デモテープでの発売となった3作も含まれています、奇形メルヘン音楽隊以前の世界を含むレビュー、果たしてどのような世界が広がっているのでしょうか!!

 

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青→シングル曲 黒→アルバム曲 赤→カップリング曲

 

〈第2期〉

 

Vo.真

Gt.青

Ba.圭児

Dr.克弥

 

1989年に活動をスタートしたcali≠gari、サポートボーカルとして参加していた紅梁樹からメインボーカルとして真が加入し、1993年に初ライブを行います。1994年には2つのアルバムをデモテープで発売しました。今回はその2つの音源をYouTubeとニコニコ動画にて聴く事ができたので、レビューしようと思います。外山健二さん本当にごめんなさい。

 

「第1実験室」

 

1.「cali+gari」(作詞:青 作曲:青)

 

cali≠gariの原点。この頃は今のcali≠gariからは想像もつかない王道V系のような風貌・楽曲を演奏していました。2ビートにのせて暴れ散らかすのですが、青様のギターが装飾に達してる為、リズムギターが奏でる範囲をベースが動き回ってる部分がポイントかなと思います。サビのマイナーコードにのる少し気だるそうなメロディがクセになりますよね。

 

この曲は「再教育」で第7期メンバーによって再録され、以降周年ライブ中心に度々ライブで演奏されるので、それなりに知名度があります。

 

2.「・・・?」(作詞:真 作曲:圭児)

 

真と圭児による楽曲。不気味な笑い声から演奏なイン。リズム隊を軸に縦横無尽に暴れるギターとシャウト多めのボーカルという黒系のV系サウンド連想させるナンバーとなっています。展開も多く確実にライブ向けの楽曲ですよね。

 

このような毛色の楽曲は今のcali≠gariでは聴けない新鮮さがあります。再披露の可能性も限りなく低そうですし、その点を踏まえてもかなり貴重なナンバーです。

 

3.「BEAST OF ROMANCE」(作詞:青 作曲:青)

 

シャッフルビートの妖しいナンバー。後の奇形メルヘン音楽隊時代をを連想させるサウンドが最大のポイントです。Aメロのこんにゃく畑のCMを連想させる癖のあるメロディから変拍子のサビまでキャッチーでは無いものの耳にこびりついて離れない中毒性があるのですよね…。

 

00年代以降、V系とシャッフルビートの関係は切っても切り離せないほど定番になりますが、この時代にここまでシャッフルビートを使って独自のワールドを展開していたcali≠gari、青様は未来を見据えていたのですかね…?

 

この曲も「再教育」にて「ちぎられたロマンス」として再録されはこととなります。

 

4.「LOVE FOR YOU」(作詞:青 作曲:青)

 

そして最後を飾るのは青様の黒歴史(笑)らしい、いかにも王道なV系ナンバーです。今作の青様の曲の中では他の中毒性があって耳に残る曲とは違い浸透力のあるメロディラインで勝負しているのがポイントでしょう。「らぁ〜ぶ・ふぉ〜・ゆ〜♪」良いですねぇ。

 

まさかこの黒歴史(笑)が25年後、「0」にて再録されるとは誰が思ったのでしょうか笑

 

「洗脳」

 

1.「IF」(作詞:青 作曲:青)

 

イントロの不穏なアルペジオから始まるオープニングナンバー。「第1実験室」からの路線を引き継いだ感覚がしますね。ギタリストは青様一人なのに2人がそれぞれを担当しそうなギターのパートを制作してる辺りホントV系の王道な感じがするし、真のヴォーカルもV系にピッタリハマっております。

 

歌詞は狂った愛情表現で恋人に快感を乞う主人公が映されており、普通にV系してますよね。青様にとっては黒歴史にしたそうな楽曲ですが、まさか「0」にてこの曲が再び再録される日が来るとは誰が想像したのでしょうか。

 

2.「人形の家」(作詞:青 作曲:青)

 

第2期特有のヴィジュアル系っぽさを残しつつも、今後の核にもなる奇形メルヘン音楽隊に繋がる独特な世界観が色濃く反映されたこの楽曲。ゴシックなワルツを刻むリズム隊に青様のギターの不協和音が混ざって生まれるこの「計算された気持ち悪さ」こそがこの曲の持ち味を最大限に引き出している感じがしますよね。まさにほとんどの年限の記憶からは忘れ去られ、近所では近づくことさえ禁じられてそうな廃墟の人形屋敷。真って地声が高いヴォーカリストだったのですね、裏声への切り替えを使わずのびのびと突き抜ける高音からおどろおどろしさが伝わります。

 

歌詞は「乳幼児突然死」によって生まれて来ることが叶わなかった胎児の視点のリリックでしょうか。ママから感情表現を始めとした人間の要素をもらって躰がどんどん造られていったのですが、容体が急変しては生まれることが叶わなかった。狂いながら亡くなってゆく部分が胎児視点だからこその生々しさがあります。青様が言っていたとおりFSSのセリフをまんまぶち込んだりと注目ポイントも多いリリックですが、ママへ対しての「僕を笑って消えた」の部分も、せめて笑顔で送り出してあげたかったからという考察も出来て実はかなり深いリリックなのではないかと考えております。

 

3.「夜明け前~いなくなってしまった人達へ~」(作詞:青 作曲:青)

 

これ以降、度々放たれる青様の泣ける名曲シリーズの原点ともなった楽曲。青様のギターと真のヴォーカルのみで進行するアコースティックな楽曲で、心を打つようなメロディラインとセンチメンタルにしっとりとした曲調で進行します。

 

歌詞は死んでしまった恋人と1人残されてしまい、夜明け前の海辺に佇む主人公、恋人のことを忘れられず、幻影まで見始めている部分まで存在していることからにかなり愛していたのでしょう。殺してはおそらく「心」を殺してですかね。再教育で再録された際にこの部分が「残して」に変更されています。

 

4.「HUMAN SYSTEM」(作詞:真 作曲:圭児)

 

ラストは真&圭児コンビによる、「セリフマシマシ」「ツタツタビート」「高低差がある禍々しいメロディライン」といった要素が大集合した完全V系ナンバー。グイグイ引っ張るベースに、荒々しくリフを弾き、要所要所でアピールをかますギター、それに負けじと追いかけるドラムの三つ巴に挟まれ羽ばたくボーカル、全ての楽器にソロが用意されていてライブ向けの楽曲だなと思いました。どことなくイントロのギターリフにABCの「SPELL MAGIC」っぽさがあります。

 

歌詞は、躰を重ねる2人を厨二病ワードをふんだんに使いつつ表現するという、V系の教科書のようなリリックです。

 


 〈第4期〉

 

Vo.秀児

Gt.青

Ba.光雄

Dr.克弥

 

和也をベースに招き活動していた〈第3期〉は音源リリースが無く、1995年には真と和也が脱退。活動休止期間を挟み1996年に〈第4期〉cali≠gariをスタート。ボーカルには遂に禿が加入、「奇形メルヘン音楽隊」と名乗り、以降の楽もアングラ・病み・電波系の楽曲を中心に路線変更を行いました。以降、V系界の中でも「密室系」というジャンルを創り上げ強烈な存在感を放つこととなります。また、ベースには圭児が「光雄」として再加入しました。

 

「第2実験室」

 

1.「ギロチン」(作詞:青 作曲:青)

 

実験室のドアを開けて、現れたのは処刑所。これまでのcali≠gariとはまた違い、今後の方向性を見出した「奇形メルヘン音楽隊」の世界が今ここに現れます。そしてこの曲こそが、今でもV系でよく使われるアングラ・電波ソングの原点でもあると思うのです。ギロチンが上から降ってくるのを待つだけの漢がキチガって命乞いをする暴れ曲です。まさにこのような展開パターンも斬新で、V系界にひとつの大きな楽曲展開を生み出したのでは無いかと思います。

 

それにしても特筆すべき点は禿の表現力の凄さですよね、全ての言い回しからして本当に狂気的、後半の叫びは完全なるアングラ劇場です。再録された際には軒並み削除されてしまっていますが、最後の軍歌みたいな部分が個人的にはお気に入りです。

 

2.「嘔吐(作詞:青 作曲:青)

 

1曲目で暴走して『奇形メルヘン音楽隊』の方向性を強烈にアピールしたところで、次に現れたのはウタモノ電波ソング。しかし完全にサウンドがイッちゃっており、ただ事では無いことに気づかされます。サウンド面もギターの不協和音が生み出す気持ち悪さと不気味なフレーズを刻むリズム隊、禿のゾクゾクと迫りくるヴォーカルにより発信される怪電波。この作られた『気持ち悪さ』に魅了されてしまったら、その瞬間貴方もガリストの仲間入りでっせ!

 

歌詞はカニバリズムがテーマとされており、メンヘラ故の大暴走が描かれていて震えます。頭お花畑な脳内を映した歌詞が本当に奇妙で不気味ですよね。主人公的には『2人で1つになりたい』なんて思考で彼女を喰らった流れだと思われますが、呑み込みきれずにそのまま嘔吐と...。

 

翌年には第5期メンバーで再録されてリカット。会場販売されたとのことです。

 

3.「腐った魚」(作詞:青 作曲:青)

 

続いてはノスタルジックな楽曲が登場。アコースティックなバンドサウンドに乗るのはドリームコアのいるかのようなオルガンの音色、間奏ではハーモニカも現れます。デモテープだからこその音質を上手く利用して、見事なまでに楽曲の世界観を打ち出しているように思います。

 

1曲目2曲目と狂った曲が続きましたがこの曲はまた違うので、禿のヴォーカリストとしての新たな一面を観ることができます。音程は不安定ながらも真っ直ぐに透き通る素直な歌声は若く何も知らなかったあの頃を思い出させますよね。

 

4.「通り魔の季節」(作詞:青 作曲:青)

 

奇形メルヘン音楽隊によるアングラ劇場はじまりはじまり。ワルツ調のサウンドギターの不協和音が溜まらないイントロが来たと思いきや急にサウンドが狂ったように暴れ始め、ワルツ調に戻ったと思いきや「櫻吹雪と血飛沫と薄い影と...」という想像したくない歌詞と不気味なカウベルの音、特に音質の悪さから不気味さに拍車がかかっています。終盤は大暴走。変形したヴィヴァルディの「春」をギターが重ねる中、銃声を始めとしたグロい音達。最高ですよね笑。

 

ここまで狂った楽曲なのにヴォーカルとギターはかなり暴れていますが、逆にリズム隊は完璧なる守りに徹してしまっているのが勿体無い。特にベースは基本的に全音符で音を伸ばし世界観を構築するバック側に徹していますが、これ研次郞がやったらマジで大変なことになるんじゃないですかね....。

 

この曲のみ禿は声を作り異様な歌い方をしていますが、これがジャンポケのおたけにしか聞こえない(笑)

 

5.「オヤスミナサイ(作詞:青 作曲:青)

 

名曲がやって参りました。青様節全開のメロ、アコースティックなバンドサウンドに哀愁を連想させるシンセの音色で味付け、そして禿の大熱唱。アップテンポなのにも関わらず感じるとてつもない切なさがポイントです。もう2度と戻れないあの頃の風景が浮かぶではありませんか。1番2番を超えて満を辞して現れるサビが本当に素敵なのですよね。

 

歌詞は一見するとラブソングなのですが、見方によっては自分自身へのラブソングとも取れるし同性愛とも取れるのがポイントです。周りは無視して自分たちだけの恋愛観を大切にしようというメッセージ性を感じることができます。

 

これまではあんなに狂ってたのに唐突にこんな素敵な曲がぶっ込まれたら誰もが聴き入ります、このキャップが最高なのですよ。翌年には第5期メンバーで再録されてリカット。会場販売されたとのことです。

 

6.「人間ポンプ」(作詞:秀児 作曲:秀児)

 

1st pressのみに収録された秀児の楽曲。作曲数は少ないながらも、インパクトのある楽曲ばかりを提供してきた秀児の楽曲ですが、この曲が最初の1曲です。

 

ルート弾きでコードを刻むベースを中心に展開されるこの曲、サビ前まではすこし気だるそうに進行してメロもそれに呼応するかのように絡みつくのですが、サビの「ぽっぽー」からは奇妙なディスコサウンドに様変わり。この唐突な切り替え方がまた奇妙で絶妙なんですよね。

 

もの凄くインパクトがあるタイトルですが、『人間を改造して空気ポンプ状態にする』という危険なリリックでは無く、ストレス発散を空気ポンプの習性にあてはめて心の中にたまった真っ黒な感情を思いっきり吐き出したいという感情を映したリリックとなっております。見るからに危険なタイトルに対してメッセージ性のある歌詞に安心感を覚えますが、この歌詞が後の「夜行列車」や「弱虫毛虫」に繋がるとなる考えると、かなり重要な楽曲だったのかもしれません。

 

 


 〈第5期〉

 

Vo.秀児

Gt.青

Ba.研次郎

Dr.克弥

 

光雄が再び脱退。そして今でも現メンバーとしてベースを担当している研次郞が加入。メタル畑出身ということもあってスラップやチョッパー奏法を活かした国内屈指のテクニックは青様の奇想天外がギターの音色と共にcali≠gariの要をになっております。その才能はさっそく「リンチ」から現れており、楽曲でもベースの存在が前に出ることが多くなったように思います。

 

「第3実験室」

 

cali≠gariが初めてCDで出したアルバム。「リンチ」「誘蛾灯」「冷たい雨」とcali≠gariを語る上では欠かすことが出来ない名曲3曲が収録されたアルバムとなっております。同じ1998年に「第3実験室ー改訂版ー」が発売されますが、実はそこで削除されてしまった「第3実験室」限定の楽曲があるのです。まぁ、削除されてしまった理由はおおよそお察しできますよね笑。

 

また、リマスタリングですが、クリーンな音色が目立つ「冷たい雨」は確実にリマスターによって楽曲の良さが出ていますが、リアル感が強い「リンチ」と「誘蛾灯」は楽曲の生々しさがリマスターによって上手く包み込まれ、鳴りを潜めてしまったとも感じました。これは個人差あると思うので聞き比べ推奨ですね。

 

1000枚限定で発売された「第3実験室」。しかも、発売年からかなりの時が経ったこともあり、紛失・処分されてしまったのも存在すると考えると、「第3実験室」は、滅多に出回る事の無い激レアなアルバムといってもいいでしょう。

 

5.「スカトロ」(作詞:秀児 作曲:秀児)

 

名曲しか入ってないアルバムに唯一紛れ込んでしまった迷曲(褒め言葉)。いやぁ、最後の最後に見事なまでに振り切ってくれました。もうこれは、タイトルからして優勝ですね。

 

「お前は豚だ!お前は便器!餌が欲しいか!爆弾投下!×2、ご主人様(もっと~!)お許しを!」

 

この凶悪なリリックを繰り替えし、思いっ切り暴れ散らかす禿のパンクナンバーです。本作から加入し、収録曲でその圧倒的な腕前を見せつけた研次郞のベースも派手に暴れますが、地味に凄いなと思ったのはツインペダルで16分を刻んでいる克弥のドラムです。下記でレビューする、幻となってしまった「ブルーフィルム」の楽曲の存在も踏まえると、前作に提供した「人間ポンプ」とは裏腹に、禿の嗜好と変態性を思いっ切り押し出したナンバーだなと思いました。また、歌詞カードのこの曲に対する仕組みも最高です。

 

「第4実験室」

 

1.「カリ≠ガリのコマーシャル『第3実験室』改訂版」

 

前作『第3実験室改訂版』の商品紹介。「リンチ」をバックに黙々と流れるナレーション。でもこれが地味に『リンチ』歌詞を解読するヒントにもなっているので注目です。

 

4.「カリ≠ガリのコマーシャル『走馬灯』」

 

青様演じる主婦が『走馬灯』を買っちゃダメよと宣伝するダチョウ倶楽部方式の商品紹介。VHS『走馬灯』は第1期から第5期までのカリガリの歴史を振り返る映像作品ですが、初々しいメンバーの姿を拝めたり、第3期では当時では音源として未発表となっていた『SOCIAL FANATIC』や同じく『0』収録まで永遠の未発表曲となっていた『悪夢』が収録されているので貴重です。

 

 

「第4実験室~補足版~」

 

1998年新宿ROFTのワンマンにて、配布された音源。収録曲は「禁色~SGバージョン」の1曲です。言い換えれば、禿バージョンの「禁色」を初音源化したのが、この配布音源だったのですね。実は「禁色」が正式に全国流通した「第4実験室ー改訂版ー」が発売されたのは2000年であり「第5実験室」よりも遅かったのです。

 

1.「禁色~SGバージョン」(作詞:青 作曲:青)

 

楽曲は「第4実験室ー改訂版ー」の音源と変わりないので、そちらのレビューにて。ですが、今作はSGバージョン、普通に行くハズがなく危ない仕掛けが仕込まれています。なんと音源のバックには無数の喘ぎ声が入っているんデス!!、しかも、無数のAVからサンプリングしたって(笑)。cali≠gariの変態性と狂いっぷりを全身で堪能することができる音源です。

 

「第5実験室 予告編」

 

1999年にリリースされたシングル。克弥にとってはラストシングルとなります。工作キッド風になっていて、段ボールと輪ゴムで収納されているという通常のCDの形態を知ってる人ほど驚く形態。中身が飛び出したり、バラバラになったりする可能性が高いので、特に取り扱いには注意しましょう。

 

名盤「第5実験室」の予告編であり、収録されたシングルは「せんちめんたる」「月夜の遊歩道」そして「カリ≠ガリのコマーシャル『第5実験室』」の3種類なのですが、1曲目の前に”ギャップ”を使ったボーナストラックが存在しております。ただし、ただの状態では、パソコンが読み込んでくれないので、アプリ「Exact Audio Copy」を用いたCDを巻き戻す方法を使うというちょっとした工夫が必要です。

 

なお、ロックバンド「BUMP OF CHICKEN」も同じ方法で隠しトラックを隠していることが多く、アプリ「Exact Audio Copy」の扱い方について、質問・回答しているファンを多く見かけますので、アプリの扱い方はそちらで確認するのもありでしょう。

 

0.「OOOOOO」(作詞:斎藤律子 作曲:中川博之)

 

さて、「Exact Audio Copy」とにらめっこして、手間を掛けてやっと発見できたボーナストラック。およそ「10分」にも及びます。

 

大きく分けて2部制となっており、前半はコメントのような感じになっておりメンバーがトークを繰り広げます。当時話題になっていた『ノストラダムスの大予言』やライブで行きたい場所、そしてちょっと危ない北のトークまで楽しく繰り広げます。

 

そして後半はcali≠gariによる美川憲一の『さそり座の女』のカヴァー音源を収録。禿の楽曲にありそうなパンク調のアレンジとなっており、(音質は良くないものの)すごい斬新なカバーだなと思います。禿の歌声も曲に絶妙にマッチしているのですよね。声質に美川憲一に通じる何かがあるのかもしれません。

 

3.「カリ≠ガリのコマーシャル『第5実験室』

 

超スローで再生される「月夜の遊歩道」をバックに、流れるナレーション。『世紀末最大の問題作』言われてみれば間違ってないです...笑。

 


<第6期>

 

Vo.秀児

Gt.青

Ba.研次郎

Dr.誠

 

そして1999年秋に克弥が脱退、そして当時はエアコンをくっつけていた(笑)cali≠gariのマスコットといえばのまっこが加入します。1999年末に名盤『第5実験室』、2000年頭には『第4実験室-改訂版-』をリリースし、「奇形メルヘン音楽隊」としてV系界の一部でカルト的な人気を誇っておりました。この時期から禿がロリータを着たりと世界観をどんどん究めて行っている感がありますよね。そして5月にはシングル「君が咲く山」をリリース、7月にはエロをコンセプトとしたアルバム「ブルーフィルム」を発表と盛り上がりを極めていったのですが.....。

 

シングル「君が咲く山」

 

2000年5月に発売された、青春暗黒ソングと釘打たれたシングル。結果的に、この曲が第6期最後の音源となってしまいます。再録してシングルカットしたデモテープ「嘔吐」「オヤスミナサイ」は限定販売だったため、一般流通のCDシングルとして「新曲」のリリースはこの曲が初。しかも、オリジナルアルバムには収録されていないという特殊な立ち位置の楽曲となっています。

 

CDもジャケットも滅茶苦茶凝っていて、CDには「ネクロフィリア(屍姦)」ついて、興味があるか否かのアンケート結果が書かれています、これで興味があるを答えた29%は犯罪予備軍ですね。さらに特典として70ページにも及ぶ写真集付き。「歪んだ鏡」の禿を見て、「怖い」が第一印象になってしまっていた妹はこの写真集を見て見事、禿の印象を変えることに成功しました。

 

この曲はこの後も再録されますが、禿バージョンが収録されているのは此処だけ。高値で売られることが多い第6期以前の作品の中でも、ブックオフやメルカリで2000円代前後と安値で売られていることが多いシングルなので、cali≠gariの魅力に沼ってしまった方は是非とも手に入れて欲しいところです。

 

1.「ドラマ『君が咲く山』

 

ドラマ音声。お馴染み、オナンスペルマーメイドと久米康による「午後の密室」を収録。「オナンの初の日通信、毒舌ファッションチェック特別短期集中企画街角ショートパンツボーイズ編短髪限定(←短髪だってwww)」の第3回という、かなり気になるコーナーををお休みして、先日から世間を騒がせている中野区で起きた高校生連続死体遺棄事件を特集。今度はちゃんと中継がつながり、東海林青江さんがレポーターとして中野区の現場に行っているのですが、坂の上にあるとのことで登っていくと見せかけて埋められた死体をウッホするという(文字にするとヤバいなコレ。)とんでもない行動にでます。息が上がる状態と喘ぎ声を掛けるくだらなさに、笑いまくってお腹痛いです。オナンによる「本番中に本番」という名言(?)も生まれました。

 

2.「君が咲く山」(作詞:青 作曲:青)

 

青春暗黒ソングと釘打たれたシングル曲。楽曲と歌詞2つの歪みが上手い具合に絡み合い、世に解き放たれてしまった危険度MAXの問題作。その危険度は、一時期あの「検索してはいけない言葉wiki」に入っていたという事実も物語ります。

 

どこかピクニックに行きたくなるポップなキッズソング。サビも頭から一気に引き込んでくれるほどにキャッチーで、楽しい気分にさせてくれます。しかし、高い音楽性を活かしたバンドサウンドの大暴走(特に研次郎)や、禿のヴォーカルに映る隠しきれぬ狂気さと変態性が楽曲の世界観と強烈な歪みを発生させ、不穏さを引き立てます。

 

肝心な歌詞は「ネクロフィリア(屍姦)」について歌われており、好きだった人を山に埋めて腐敗していく様を隠喩を使って置き換え、「おかあさんといっしょ」のようなキッズソングに変貌させてしまった…という危険極まりない世界観。ギターソロの後にツタツタビートに変貌する研次郎のタッピングソロがあるのですが、まさに死姦中の様を描いたような感じがしますし、「野良犬くんと小鳥さんも仲良しこよし『何かイイナァ...。』」(この『何かイイナァ...。』の禿のニチャついたような呟い方が秀逸!)なんて、腐敗した匂いに釣られてやってきた動物たちと、浮かぶ画が強烈に生々しいし、そこから曲調もどんどん陽気に盛り上がっていくから本当に怖い。なのに、リピート再生したくなる程にゾクゾクさせられるのが、たまらないんですよ。

 

ホント、この曲もの凄~く好きなんですよねぇ。まさに「奇形メルヘン音楽隊」としてのcali≠gariの最終形態といってもいいでしょう。

 

「未発表曲」

 

ここで緊急事態発生!!なんとアルバム「ブルーフィルム」レコーディング直前に禿が失踪、そのまま脱退してしまいます。『奇形メルヘン音楽隊』の終わりは突然に訪れました。しかし、発売を予告してしまったアルバム「ブルーフィルム」は完成まで時間がありません。そこで6月にまっこ経由で遂に石井秀仁が降臨(加入)。1ヶ月という突貫工事でアルバムを完成させ発売しました。その後の第7期cali≠gariの活躍は周知の通り。そのままcali≠gariは全盛期へ突入していくのでした。

 

今からレビューするのは、本来ならブルーフィルムに収録される予定だった禿の楽曲です。当初の『ブルーフィルム』はお下劣さ全開の大変態という真逆のコンセプトだったということも分かります。音源としてリリースされることはありませんでしたが、大半はブルーフィルム収録曲に楽曲の一部分が使い回されました。

 

・「ソープランド」(作詞:秀児 作曲:秀児)


当時、ライブの定番曲だったとのこと。リズム隊が奏でる激しいサウンドに乗せて秀児がひたすら語りかけるようなパートが続き、そこから歌メロに入り「ソープランドに行こう~♪」という強烈に耳に残るサビが来るという構成となっており、禿の嗜好でもある「パンク」にミクスチャー要素を取り入れた楽曲となっております。

 

歌詞は禿の心の中の鬱憤と主に語り掛けるパートに凝縮されており、タイトルの「ソープランド」もそのストレスの発散先として利用しているという感じですね。先述した強烈なサビがどうしても第一印象として強く残りますが、「頭の悪い奴に理解されなくて結構」「短い物差しで人のことを測るなよ」「自分の器の小ささに気付いたらどうだい?」といった私たちが一度は思ったであろう感情を代弁しているリリックも注目ポイントだと思います。

 

・「ピアッシング・ニードル」(作詞:秀児 作曲:秀児)

 

所謂「スカトロ」系列の楽曲で、「奥までブチ込めろ」と派手に暴れ散らかすパンクナンバー。ピアッシングニードルを男性器に例えて、性行為をしている瞬間を表現。激しくぶち込みすぎて性器外傷を起こして出血、血液がシーツに染み込むという部分とかリアリティありすぎて激ヤバな表現をストレートに歌詞にぶち込んでしまうという、禿に秘められた強烈な変態性を再認識することができる楽曲となっております。

 

間奏では、青様によるこの生々しい状況をナレーションするというシーンがあります。音源としてリリースされることはありませんでしたが、ナレーションするシーンは次のアルバム「ブルーフィルム」収録曲の「ミルクセヰキ」にそのまま転用されました。

 

・「幼児体型仔猫」(作詞:秀児 作曲:秀児)

 

この曲だけ未視聴。いつか聴いてみたいです。滅茶苦茶気になっております。「ポラロイド遊戯」にメロが転用されたとのことですが、これがもしも「ヨッチョレ・ヨッチョレ・ヨッチョレ・ブギー」の部分ならば、禿も間違いなく作曲家として優秀だったんだなと思います。

 

 

さて、いかがだったでしょうか。結成~第6期cali≠gariの歴史を振り返っていきました。V系時代・奇形メルヘン音楽隊時代を越えて全盛期へ突入するわけですが、後のV系によく使われる展開や表現の教祖様といってもいい『密室系』というひとつのジャンルを確立していたのです。特に『電波系』や『病み表現』が強い楽曲は今のV系にも繋がっており歴史の長さもかんじてしまうものですね。

 

石井秀仁が加入して今後サウンドも秀仁の嗜好を活かした楽曲が中心核となり、青様は確立されたさらなる世界観を追求、研次郞も昭和ロックを中心に様々な楽曲を、まっこも飛び道具のような楽曲を制作し、『禿を表だたせる第6期』から『4者4様の強烈な個性をぶつけ合う第7期』へと向かい始めます。

 

年が明けてからは早速第7期最初のアルバムとなる『ブルーフィルム』をレビューいたします。皆様今年もありがとうございました。来年もよろしくお願いします!!