自分も参加している「Mr.Whisper」が本日、11月21日に4枚目のアルバム「BIRDGE」をリリースしました。前作の3rdアルバム「Tsurumiy Land」から半年ぶりのリリースで、新メンバーの「らいす」くんを迎えて4人体制になってから初めての作品になっております。彼もまた面白いラインの楽曲を作るので、更にグループ全体の音楽性が更に広がった気がしますね。そんなわけで今回は”俺視点”で、そちらのアルバムに収録されている楽曲の解説をしていこうと思います。全12曲、バラエティに富んだ楽曲が並んでいるので、作業中、また散歩中、また暇なときにコーヒー片手に聴いてもらえたら幸いです!
(今作は7曲目~11曲目は5作合わせて1つのストーリーになっております。今回は前作以上に様々なチャレンジをしてみました。お楽しみにです。)
アルバム「BIRDGE」のポイント
・先ほどのチャレンジしたという内容のひとつに「作詞」を挙げようと思います。今回は12曲中6曲が女性視点の楽曲だったりします。女性視点の楽曲自体は前作やソロの方で書いているので初めてではないのですが、今回は視点を変えて新しい視点で書いてみました。また、それ以外の楽曲も作詞する際の方法を変えたのでこれまでの楽曲とは少し変わった世界感になっているかも知れません。(自分はあまり感じなかったけど、この前メンバーから意見が出たためちょっとビックリしましたね。変わってるんだって。)
・タイトルの「BIRDGE」は玲が意見を出して決定しました。タイトル決めの際に「時系列風に進んでいくから”橋”系統はいいのでは」という意見を参考にして、じゃあ「BIRDGE」にしよう!ってなりました。
・前作は自分の楽曲が半数を占めるという感じになってしまいましたが今回はそれぞれのメンバーの楽曲がいい感じに割れて収録されています。個人的に嬉しかったです。また、マスタリングする際もなかなか大変でしたね。メンバーそれぞれ「低音重視がいい!」「この音を目立たせて!」みたいなこだわりがあったのでイメージの具現化がなかなか大変でした。
そんなわけでいってみましょう。
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(タイトル青文字→シングル楽曲 タイトル黒文字→アルバム楽曲)
1.「Let's Sing Let's Dance」(作詞:俺 作曲:アーサー)
今作1曲目の楽曲は8月30日発表、アーサー特有の電子音が施されたディスコサウンド。同じ電子音でもこれまで彼の楽曲はサイバーチックな楽曲な多かった為、90年代サウンドっぽくアレンジされたサウンドを聴いたときは非常にビックリしましたね。自分もよくacccessやglobeなど90年代のサウンドめちゃくちゃ好きなのでドンピシャでした。
さて、こんな最高な楽曲に歌詞を書くとしたらどんなテーマがいいだろうと滅茶苦茶悩みました。その際、ネタを探しているときに、ラッパーをしている高校時代の友人が「轍」という新曲を出していて、尖った歌詞が連発し、最後のキメ、「時間間違えて出てきた」という歌詞が凄くかっこよかったのでそのアンサーソングとして、今作の方向性を「日本の最新の流行に対する風刺」に決定しました。
SNSが発達したことにより、目まぐるしく移り変わる流行ですが音楽もその一部。しかし、「イントロをぶっ飛ばしたり」、「ギターソロを飛ばしたり」といった人が出てきてしまったのも事実。更に若者の流行の最先端「TikTok」ではダンスばかりに注目される...「なら、もう歌詞の意味ないじゃん!」という音楽制作者側ならではの嘆き。そして、世の中には色々な人間がいるけど、十人十色。みんな違ってみんないい。だから1つのことなんて考えないで踊ろうよ♪というメッセージが込められています。もう、現代の最先端の流行の速度は「TikTok」と「Twitter」を常にチェックしてないと追いつけない時代になっていますよね。(長くなっちゃうので別記事で自分が思う今の流行に関しての意見をまとめてみようと思います。一応自分もZ世代らしいので。)
2.「SHIGEKIが1限にあるときのテーマ」(作詞:俺 作曲:らいす)
この曲の作詞をした際、隣にらいすもいたのですが、タイトルが浮かんだ瞬間二人で大爆笑しました。この楽曲は、自分の母校にいる厳しくて面白い数学教師の授業を歌っているのですが、高校時代を思い出せるのでちょっと懐かしい気持ちにもなれますね。今回は「1限にある」っていうのが重要。どういうことかというと、この歌詞全体が自分の実話なのです。前日の夜オールでゲーム(妖怪ウォッチ3のダンジョン潜ってた記憶)してたのも、1限に彼の講義があって絶望したって言うのも、寝かけたのを見つかって言葉責めされたのも全部、自分です。
そしてサウンドはバンドサウンドに特化したサウンドになっております。疾走感溢れる曲調にベースソロ、ギターソロ、パワフルなドラミングも入っており、4ピースサウンド(+サンプリングになっております。)。Mr.whisperのこれまでの楽曲をみてもここまでシンプルな構成の曲はないので新境地の楽曲になりました。
3.「FRIENDS」(作詞:俺 作曲:玲)
ゆったりとした非常に温かい楽曲ですね。Aメロの少し不安定なコード進行や、前に出ずに彩りに徹しているギター、そして背景のオーケストラ、ラスサビ転調といった様々な要素が見事に絡み合いまるで人間の心境を表しているかのようなサウンドになっています。
歌詞は玲から「人間臭い歌詞を書いて欲しい」とリクエストがあったので、「FRIENDS」。久々に真面目にテーマ決めて書いたので見事に「人間の心境」を表現できているのではないでしょうか。そうですね、まぁ、自分は何事もあっさりと信じるタイプの人間なんで「We are friends !!」って感じなのですが、この歌詞を改めてみると実のところの友情って何だろうって自分自身も考えてしまったりします。果たして、友情は「結ばれた強い絆」なのか「すぐにポイできちゃう脆い糸」なのか。考えれば考えるほど疑心暗鬼になって分からなくなるので考えないようにしてますね。「We are friends !!」
4.「ナインスな男(笑)」(作詞:俺 作曲:俺)
こちらは「レゲエ」と「ヒップホップ」を融合したサウンドを意識しました。ブラス隊とオルガンの音が分厚すぎて世紀末みたいな世界感を醸し出してしまっていますが、そんなこと無いです。また、「ヒップホップ」感を出すためにベースとドラムは一定のリズムを刻んでいるのですが、どこかで聴いたことはあるのでは無いでしょうか?、特に男性の方々。(ヒントは黒背景にオレンジのロゴのアレの起動音です。)
歌詞は自分自身のことを歌っています。この前の「ダイエット」の記事にも触れていましたが、まぁ、散々悪口を言われていたわけですよ。でも、ある日を境に「それって、美味しい事なんじゃ無いか。」と思い、肯定的に食いついてみたんですよ。そしたら、意外に反応がよくて。今じゃ、自分にとっては「キモい」も最高の褒め言葉です。自身がいじられキャラになること始まる友情ストーリーも悪くは無いんだなって。本当に「感謝を忘れず」です。なので個人的に本当に怖いと思う瞬間は「孤独」だったりします。ちなみにこの歌詞、少し自信が無くて実際友達に添削をしてもらったのですが、評価は「宗教的な怖さを感じる」でした。ゑ?
5.「Death Iz Fantasy」(作詞:俺 作曲:玲)
「母校の文化祭のイメージソングを作ろう!」ということで制作された楽曲です。全体的にオーケストラとエレクトロダンスミュージックが混ざったサウンドなっていて、宇宙にあるテーマパークの映像をイメージできる世界感になっていると思います。マーチングビートを刻むA、Bメロと4分打ちサウンドになるサビで構成されているのですが、自分はこの楽曲内で管、弦編曲を担当してみて、世界感の土台はしっかりと固定されていたので全体を支えつつも存在感が出せるメロディを意識した記憶があります。食ってしまったら大変なのでね。
歌詞のテーマは「文化祭の本当の主人公は誰なんだろう?」です。教師?、校長?いやいやいやいや、絶対「生徒自身」でしょ。なのに規制があーだこーだって感じでなんですよね...無駄に強く取り締まる規制のせいで、主人公であるはずの人々の楽しみが奪われてしまう嘆き。しかし、そこで文化祭そのものを否定するのは絶対にアウトだと思います。せっかくの聞き手自身のテンションも下がってしまうし、台無しにしてしまいます。なので「押しても駄目なら引いてみろ」理論で書いてみました。「こんな楽しい文化祭この世に無い」「永遠の世界」「一生分の幸せが...」と全てを大袈裟に書いて現実とのギャップを味わってもらうのがこの楽曲の真の目的だったりするのです。
6.「Answer to...」(作詞:俺 作曲:玲)
10月15日に発表した楽曲。今作のハロウィン枠ですね。作曲は玲なのですが、実はこの曲、前作のアルバムの曲出しの際にデモが渡されていて、「妖しい感じがハロウィンっぽいし、めちゃくちゃイイから次に回そう」って温存されていた楽曲でもあります。そして今回、シングルにもなっちゃった訳です。曲は玲の楽曲の中では珍しい電波ソングで、音遊びも所々で使われていたりします。また、歌詞は見方によって二つの顔を持つ楽曲です。それぞれ軽く解説していきます。
(P1):偏見報道などに対する風刺ソング。核心を報道しないで有耶無耶にするテレビ界について歌う。
(P2):ヤンデレ彼女が浮気未遂をした彼を責め立てる曲。タイトルの「Answer to」は”ASATO”にもなる。
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・ここからは5曲連続で1つのストーリーが展開されていきます。
・「地羅衣 盛未」という女の子に訪れる波瀾万丈な恋達...という内容になっております。
7.「SHADOW-2022-」(作詞:俺 作曲:アーサー)
今年も作っちゃいました。しかし、今回はちゃんと歌詞が入ることによって前回の完全理解不能な世界感は少しほぐれたと思います。2022年に流行ったものを曲にぶち込むという音MAD要素が香る感じになっており、「ひろゆきのおしゃべりメーカー」を使用してひろゆきにナレーションをしてもらったり、シャウト(というかここまで来ると悲鳴)の掛け声が入っていたりと非常に油が濃い作品になっておりますね。
歌詞の方はこのストーリーのエピローグと言うことで、盛未と付き合っている「星の王子さま(笑)」の暖かい恋愛模様が描かれているのですが、曲が続くにつれて雲行きがどんどん怪しくなっていきます。今年ネット界で起きたとある騒動がこの曲の歌詞全体の元ネタになっていて、盛未のお付き合いしている相手もモデルになった人物がいます。これに関しては歌詞の中にヒントが散らかりまくっているので今年のネット界での炎上事件をある程度知っている方ならすぐに正解にたどり着くと思いますよ。
8.「AWAKE」(作詞:俺 作曲:俺)
9月23日に発表、アルバム内では前曲から間髪入れずに開始されるこの楽曲。ハマっている漫画(今年ドラマ化もされた)「明日カノ」に影響を受けて制作に至りました。(ソロ楽曲含めると「明日カノ」から影響を受けた楽曲多いかも)夜の街を連想させるジャズサウンドが特徴です。自分の母校の「吹奏楽部」と「軽音部」がコラボしたらこうなるかも知れないと想像しながらアレンジ記憶があります。更に「ギターソロも楽しんでもらおう」とのことでギターソロの部分にネットで話題になっている「キヨのブレーキ音」を重ねてエフェクターみたいな新しい音作り要素にもチャレンジしてみました。
歌詞は前曲で愛する王子様に捨てられてしまった盛未があの”ゆあてゃ”こと「ゆあ」に出会い、歌舞伎町へ足を踏み入れるという内容になっています。最初は失恋の傷口を癒やしてもらう為に半信半疑だった彼女ですが、推しに出会ってしまったことにより、彼の元へ通うようになります。時間が流れるに連れて「君→推し→カレ」と愛情が深くなり、ホス狂に目醒めてしまった盛未。仕掛けられた沼へどんどん墜ちていく様子を歌詞に反映させてみました。
ちなみに2番終了後の間奏で不規則に鳴っているグラスの音は実はモールス信号になっていて、解読すると、「テ・ツ・ク・ン・ア・イ・シ・テ・ル」。
9.「盛未ちゃんの屋敷~ラビリンス~」(作詞:俺 作曲:らいす)
捨てられて、さらに墜ちてしまった彼女はついに壊れてしまいました。でも(一部自業自得だけど)彼女自身は何も悪いことはしてないんですよね。ただ恋をしただけなんです。。屋敷の中で佇んでいる彼女ですが、心の中はまるでラビリンス。最初は出口を探すために迷路の中を駆け回るも、いつしか出口探しを放棄するようになってしまいました。絶望の果てに墜ちた彼女のやるせない葛藤や砕け果てた世界、心境をこの曲では映し出しています。
楽曲面はらいすの原曲を核にゴシックロック風に味付けしたアレンジに。アレンジ作業には自分も参加しました。更に、ここにアーサーのデザインしたノイズを入れたり、Dメロの玲が作曲したメロディ(実は次に曲の伏線にもなっている)をくっつけたりといった各メンバー意見が大きく反映された楽曲になっています。
10.「あなただけは」(作詞:玲 作曲:玲)
そんな彼女にも実は想いを寄せている人物がいました。それこそがこの楽曲の主人公。彼女はどんどん先へ行ってしまってもはや手が届かない存在になってしまったが、微かな希望は残っている...という歌詞(by玲)だそうです。このふたりは幼なじみなんでしょうね。果たして彼は絶望から注ぐ一筋の光に彼はなることは出来るのでしょうか。。。当初は自分が作詞を担当する予定だったのですが、グループでメンバー全員で活動しているので、多方面から光を当ててこのストーリーを展開していきたいという思いが自分の中にはありました。なので、今回はMr.whisperの中で数多くのラブソングを手掛けてきた、玲に作詞も頼んでみました。彼女に対しての真の想いを表現しつつ、更にこのアルバムのタイトルもちゃっかり回収しちゃう辺り、本当に凄いなと思いました。ありがとうございます!
楽曲面はオーケストラに徹したワルツ調のアレンジになっております。前曲から打って変わって煌びやかな幸福感、そしてどこかの城の中に居るような華やかさが彩る楽曲になっていて、救いの手を差し伸べる王子様をイメージ出来るのではないでしょうか?
11「♡だぁ~りん♡」(作詞:俺 作曲:らいす)
このストーリーのラストを飾るのは11月14日に発表されたシングル。らいすがこのグループに参加してから初めて制作した楽曲になっております。歌詞は前作で2人の想いが通じ合いハッピーエンドを迎え、その後の彼の世界での出来事となっております。出来事と言っても、第二の事件が起こる的な物では無く、日常的にもありえそうなデート風景であり、完全に闇から解放された盛未が彼と楽しく暮らすキラキラ&ラブリーな感じを全力で表現しました。これまでに沢山の経験を味わったからこそ、最後の「今幸せなの」という歌詞の意味が深くなるのではないでしょうか。(なお現実は彼女いn...)
また、余談ですが、これまで女性目線の曲はいくつか書いてきましたが、ここまで甘々な女の子に振り切ったのは初めてなのですごく自分自身もこれまでの作詞経験の中で貴重な経験になりました。
これにて、「地羅衣 盛未」ストーリー終了です。いかがだったでしょうか。
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12.「虚無と銀世界」(作詞:俺 作曲:俺)
そしてこのアルバム全体のラストを飾るのは、タイトル通り、銀世界を連想させるようなウィンターバラード。全体的に寒さに凍えてしまいそうな、でもどこか温かさを感じられるサウンドを意識しました。感覚的には冬休みに田舎に帰って、年末を迎えるって感じですね。シンセパッドによる浮遊感と雪のように宙を舞うストリングス、アコギのカッティングも今回はジャカジャカ音を極力出さないようにいじったりといったアレンジ面もこだわりました。
歌詞は「夢に諦めてしまった自分の後悔」というテーマです。尖ってた頃の高校時代。大きな将来の夢に向けて歩き出した自分。しかしながら、現実の厳しさに直撃して夢を諦め、年を重ね丸くなってしまった自分が年末にひとりで田舎に帰って酒を飲みながらあの頃の夢見がちだった自分を回想するという内容になっています。高校時代を思い出すと言うことで、同じクラスで1曲目の解説にも出てきたラッパーの「くすだまん」が歌詞に登場しています。今回は少し、しんみりとした曲でフィナーレとなります。
以上、12曲いかがだったでしょうか。様々な実験やチャレンジを今作にした結果すごく面白いアルバムになっていると思います!。また、メンバーも自分自身も作詞、作曲、編曲においてさまざまな事を学んだ気がします。また、頭に書いたとおり、凄く個人的な話になってしまいますが、前作は11曲中半分の曲が自分の楽曲になってしまい、グループなのにソロアルバムみたいになってしまって少し違うかなということを少し頭の方に書いたのですが今回はメンバー4人が均等に作れてすごく嬉しかったです。
さて、最後にプレイリストを貼って、終了します。ありがとうございました。次回作もお楽しみにです!