「Tierra/L'Arc〜en〜Ciel」レビュー | brilliant-memoriesのブログ

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日常で起きたことや、趣味、自作曲の発表、アルバムレビューとかできたらいいなと思います。

前回は「DUNE」のレビューをしていったので今回は2ndアルバムのTierraレビューをしていこうと思います。昨日の夜に改めて全曲通して聴いてきましたが、この頃から曲の幅が広かったんだなって思いながらあっという間に10曲、52分が経過していました。メジャーデビュー後初めて発売されたアルバム。前作の雰囲気を残しながらも要所要所に進化が見られます。果たしてどのような世界が広がっているのでしょうか。

 

アルバム「Tierra」のポイント

 

・メジャーデビュー後のアルバム。このアルバムからてっちゃんの”歌うベース”が目立ち始めました。前作の雰囲気はかなり残っていますが、メロディラインのキャッチーさ、音色といった聴きやすさにも重点を置いたアルバムだと思っております。また今作にはメンバー4人、それぞれが作曲した曲が収録されています。sakuraが作曲を手掛けた楽曲を聴けるのはこのアルバムのみです。

 

・タイトルの「Tierra」はスペイン語で「大地」という意味です。確かに今回の収録曲は「場景」を中心にリアルから空想までの様々なシチュエーションを描いた楽曲が多い印象です。おしゃれですね。

 

それでは行ってみましょう。

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青→シングル曲 緑→ビデオシングル曲 赤→カップリング曲 黒→アルバム曲)

 

1.「In the Air」(作詞:hyde 作曲:hyde)

 

イントロのベースのアルペジオはベーシストなら1度は弾いてみたいフレーズでお馴染み。タイトル通り空気の中を飛んでいるような浮遊感を感じられる曲です。やっぱりベースの主張がかなり強くなっているのが分かります。ゆっくりと力を溜め込み一気に開放的になるのも印象的。歌詞は出だしの「背に刺さったナイフを羽に似せ今、大地を蹴る」と言う表現の仕方が好きですね。(イメージするとかなり怖いですが)またこの曲はこれまで3作のベストアルバムに収録されており、その中のメンバーズベストにも最後の曲に選ばれています。このことから作曲したhyde自身もこの曲が好きなのではないかと思っていたりしますね。

 

2.「All Dead」(作詞:hyde 作曲:hyde)

 

直訳すると「全部、死んだ。」ヒエッ...。サウンド面も「怒」のイメージ通りゴリッゴリのロックしていますが、オクターブを重ねたピアノの音は聴いていて気持ちよかったりしますね。やはり幻想的な雰囲気が抜け切れていない分のギャップが生まれているのが面白いです。歌詞からは、女性目線の歌詞となっております。別れた元カレへの恨み辛みがこれでもかと綴られており、燃えるような殺意が伝わります。

 

3.「Blame」(作詞:hyde 作曲:tetsu)

 

たまに途切れる箇所があるものの、基本的には「F→G→Em→Am」というコードを繰り返す中で様々な展開が起きる楽曲。てっちゃんの歌うベースが主役といえるナンバーでひたすらバックで動き回っています。全体的に浮遊感が漂うナンバーですが、ピアノやグロッケンといった可愛らしい音色も加わりポップにほぐれています。歌詞は失恋した主人公が幸せだった日々がフラッシュバックする中を葛藤するシチュエーションが描かれています。

 

また後に発売されたメンバーズベストにも収録されていて、てっちゃんは「最初からいれるつもり」だったとのことで、インタビューではひたすらこの曲について解説していたのが印象的です。かなり思い入れの深い作品なのでしょう。

 

4.「Wind of Gold」(作詞:hyde 作曲:ken)

 

イントロから異国感の風景が漂う曲。グアムやジャマイカのビーチに映る夕焼けを連想することができる。曲はレゲエっぽさを感じられるが、ボブ・マーリーのような本場のレゲエと言うよりは、ラルクの曲にレゲエのエキスが入った感じがしますね。南風のように流れていくようなサビメロを中心にシンセストリングスや木琴といった音色も交わり陽気さを感じます。

 

1stシングル「Blurry Eyes」のカップリングにはこの曲のリアレンジバージョンが収録されており、パーカッションやブラスサウンドといった華やかな音色が彩りを添えています。こっちのバージョンを聴いてからこのバージョンに戻るとどこか物足りなさを感じてしまいます。

 

5.「Blurry Eyes」(作詞:hyde 作曲:tetsu)

 

1stシングル。まさに「冒険の始まり」を連想させる楽曲。てっちゃんの明るいイメージが全体を包んでいて、非常にポップ感じが良いですね。ファンタジな間奏のシンセ、3拍子になるポリリズム、ラスサビ前のドラムのフレーズなど沢山の聴き所があるのも特徴です。またライブではhydeがホイッスルを投げるのも定番となっております。ライブでの定番曲となっており、ファンからの人気も高い楽曲となっております。

 

また「D・N・A」というアニメのOPテーマに起用されて、それに伴い勝手にリリースがに決まったらしいので、てっちゃんはあまりよく思ってなかったらしいという噂をたまに聞きます。(そういえばこの頃は”アニソン”っていう言葉あったのかな?)

 

6.「Inner Core」(作詞:hyde 作曲:sakura)

 

sakuraが作曲者としてクレジットされた唯一の楽曲は、叫んでたり高笑いしたりと大暴走。狂いを表現した崩れ落ちるサウンド面からは「DEAD END」「黒夢」を連想させる攻撃的且つ破壊的な世界観が映ります。また、前作の「Be destined」に引き続き厨二っぽいセリフが存在しているのですが、サウンドが流れている中唐突に右チャンネルをぶった切るように入ってくるのが斬新です。よく「hydeの曲はめっちゃ転調する」って言われていますが、実はこの曲も結構転調を繰り返してたりするのですよね。

 

7.「眠りによせて」(作詞:hyde 作曲:ken)

 

ビデオシングルで発売されたメジャーデビュー曲。ボサノバサウンドで始まるというかなり異色の楽曲。オルガンの音色とパーカスの彩り方ががかなり心地よいです。自分的にはこの曲を聴きながら昼寝すると良い白昼夢が見れそうですね。サビでディストーションギターが主張を強め、曲調が若干激しくなります。この「静→動」のメリハリの付け方を巧みに使った展開も面白いですよね。歌詞は生まれてくる前の赤ちゃんの目線だと考えているが「壊れてしまった私は」って部分がやたら気になります。もしかしたら...このアルバムの中ではこの曲が一番好きです。

 

8.「風の行方」(作詞:hyde 作曲:ken)

 

イントロのナチュラルトーンのギターの音色をはじめとした様々なギターの音色が彩りを添える楽曲で、「切なさ」を表現するミディアムロックナンバー。ギターの大群意外にも、てっちゃんの歌うベースや要所要所に技を入れるsakuraの力強いドラムが合わさり、ガツンとした楽器のせめぎ合いが聴けます。歌詞は失恋した主人公が過去の記憶を思い出してもがくシチュエーションが映っております。

 

9.「瞳に映るもの」(作詞:hyde 作曲:ken)

 

前作の「失われた眺め」と同じ世界であり、この曲がその曲の前の情景がこの曲とされています。前作のレビューのところに廃墟をイメージさせると書いたが、この曲はその廃墟がまだ有名だった頃、沢山の人たちで賑わっている風景を”思い出している”感じがしました。最後のピアノが崩れるのもこうして廃墟になった現実に近くなってきたからだと思います。詳しくは前回の「失われた眺め」のレビューも参照にしてください。

 

10.「White Feathers」(作詞:hyde 作曲:ken)

 

今作のラストを飾るのは7分58秒もある楽曲であり、だからといって、”長い”って感じさせないのが凄いですね。「幻想的・浮遊的・耽美的」だったラルクの集大成ということでファンからも人気が高い曲です。テンポが丁度いいため散歩しているときに風に当たりながら聴きたいですね。オルガンやシンセパッドがいい味を出しているが「羽は広がらない」んですよね。あと少しで飛べそうなのに...っていうのがなんか好き。サビなんて一気に開放的になり、浮遊感が感じれられて飛んでいる感じがするのに、やはり「羽は広がらない」のです。

 

 

という感じでレビューを書いていきましたが、いかがでしたでしょうか。要所要所に現在でも見られるラルクの特徴が現れ始めたのが印象的でした。個人的に初期のラルクを聴くなら間違いなくこのアルバムから聴く事をおすすめします。kenちゃんの曲が半数を占めているのですが後の「花葬」のようなダークな曲とは毛色の違う曲が多かったのも驚きです。そして、歌詞はやはり全体を通して暗かったり寂しかったりするのが多いのもこの頃のラルクを象徴していたりします。次回以降音楽性がガラリと変わるので「幻想的・浮遊的・耽美的」だったラルクを聴きたい方は是非聴いてみて欲しいです。

 

それでは失礼致します♪