一番最初にレビューするのは自分が一番好きなアーティストであるL'Arc〜en〜Cielの1stアルバム「DUNE」にしようと思います。よろしくお願いします。
時は1992年。インディーズ界で他のバンドが生みだした世界観とはひと味違う世界観と高い演奏技術を武器に、かなりの人気を得ていたラルク。完成度に納得がいかず1度は没にしたアルバムが翌年1993年に蘇り、インディーズデビューを果たしました。今回は原点とも言えるこのアルバムをレビューしていこうと思います。
・アルバム「DUNE」のポイント
・まさにラルクの伝説の始まり、インディーズ時代にリリース。「耽美」「浮遊」「幻想」という3拍子を取り入れた独特な世界観は後に様々なバンドに影響を与えましたね。ラルクの原点ともいえる初期の要素を存分に堪能することができます。
・タイトル名の「DUNE」は英語で砂丘という意味。
・「I'm in Pain」は未収録。いつか収録されてほしいですね。またこのアルバムで作曲が「L'Arc〜en〜Ciel」のバンド名義の曲は元メンバーのhiroが作曲した楽曲をメンバーでアレンジしたということです。
それではいってみましょうー!
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(青→シングル曲 黒→アルバム曲)
1.「Shutting from the sky」(作詞:hyde 作曲:L'Arc〜en〜Ciel)
最初のディレイの掛かったギターのイントロこそが当時のラルクの特徴のひとつ。1分にも及ぶ浮遊的なイントロに身を委ねこのアルバムの世界に引き込まれる準備を万全にして本編へ。終始幻想的な世界観を展開するこの曲、エレキとアコギの魅力を最大限に引き出しているのがカギなのかなと思いました。終盤では別々のボーカルパートが重なり幻想にさらに拍車がかかります。
歌詞はまさに比喩に比喩を重ねたhyde様ワールドになっており、最初は「人が死ぬときのことを歌ってるの?」なんて思っていましたが、wikiを見てみると「閉所恐怖症」について書かれいるらしくそのワードを頭に入れて聞き直したところ、出だしの歌詞から全く違う意味で捉えることができて「あー、なるほど」と思いました。
2.「Voice」(作詞:hyde 作曲:ken)
1曲目の世界観をそのままに2曲目へ。1992年に発売されたオムニバスアルバムに提供した楽曲をリテイクして収録。全体的に突き抜けていく雰囲気が印象的ですが、右チャンネルのアコギの音色がまた耳に残りますね。終盤にはシンセストリングスも現れさらに幻想的な世界観になるのが素敵です。
「表れては通り過ぎる現実を今は恐れている」この歌詞と最後の「空よ~」の部分を照らし合わせてみると、”恐れつつも未来に歩いて行ってる(流されている?)、何もしないと消えてしまうから声を未来まで届けて”って事なのかしら。この曲は節目のライブで演奏されているイメージが強いですね。
3.「Taste of love」(作詞:hyde 作曲:ken)
これまでの2曲とは毛色の違ったダークな楽曲が登場。イントロのベースリフからして確定演出。曲調もかなり激しくhyde様も歌い方も荒々しい。サビの絶妙に明るくなったと思えば暗くなったりというカチッカチッと切り替わるメロディラインが不安定な情緒を表現していて面白いですよね。
歌詞が今でいう”ヤンデレ、メンヘラ”っぽくてハマる。まさに、愛するあなたの為ならなんでもやる。って捉えられる歌詞が特徴ですね。現在のラルクでこのようなシチュエーションの楽曲はないので、さらに貴重に思えてきてしまいます。楽曲の曲調も相まってより歌詞に込められたヘラった感情を強く堪能することができまっせ。ヤンデレやメンヘラに聴かせたらより好きになってくれるんじゃないかな。なんて思ってたりしますね。
4.「Entichers」(作詞:hyde 作曲:hyde)
今作唯一のhyde様が作曲を手掛けた楽曲。ウォーキングなラインを刻むベースとスウィングを取り入れたドラムというジャジーなリズム隊に、絡みつくアコギが絶妙でかなり幻想的。なによりもこの世界観にhyde様の耽美な歌声がこの曲が合わないはずがありませんね、出だしの「アッ...」から最高。個人的にはこの世界観を極めに極め最終進化させた曲こそが「XXX」なのではないかと密かに思っていたりします。
原曲の「イリーゼ」もなかなか激しさがあって「こっちのVer.が好き」って人もいたましたが、自分はこっち(アルバム)ですね。このアルバムの中ではこの曲が一番好きです。
5.「Floods of tears」(作詞:hyde 作曲:tetsu)
インディーズ時代に発売された両A面シングルの1曲目。てっちゃんの楽曲に映る陽な要素とhyde様の歌詞に映る陰の要素が見事に噛み合い、ミステリアス且つゴシックな曲に仕上がっています。曲調がすごい明るいので、心の状態が危ない感じがしますね。歌詞は”あなた”に裏切られてさらには別れられるという負の連鎖に崩れ落ちて深い絶望に陥っている主人公を歌っているのかなと思いました。そして最終的には、ラストののオルゴール音で精神崩壊してしまったのではないか、というのが自分の考察です。曲全体を通して物語を感じることができますね。
6.「Dune」(作詞:hyde 作曲:tetsu)
現在に至るまでラルクの楽曲の中でアルバムタイトルの曲はこの曲のみですね。出だしのシンセベルのイントロの後のガラスが割れる音が確定演出。そしてこのアルバムだからこそより一層キャッチーでポップな雰囲気を持っており、てっちゃん要素が凝縮された、ラルクの陽の側面の原点とも言える楽曲だと思います。この楽曲の世界観から私はゴッホの「夜のカフェテラス」を連想しました。
「砂丘にはもう誰も~~イナイ...」この「イナイ」の破壊力よ。ここではhyde様の「儚さ」の表現力を感じることが出来ますね。許されない禁断の恋をしてしまった2人が砂漠で心中する様子が描かれています。
去年の30周年を記念したライブ「L’APPY BIRTHDAY」では当時の最新曲であった「ミライ」の次にこの曲をやり、まさにタイムスリップした感覚を味わうことができました。尚、私はラルクをの為に貯めていたお金を泣く泣く大学の学費に...
7.「Be bestined」(作詞:hyde 作曲:ken)
幻想的な世界観から荒々しい世界観に再び戻ってきて参りました。4つのパートのせめぎ合うサウンド。メンバーの高い演奏力を堪能することができる楽曲であり、要所要所に台詞が入っているという厨二っぽさも混血した斬新な楽曲でもあります。初期のラルクの象徴とも呼べるこの曲こそ、今のライブでやって欲しいですね。台詞部分をヒトカラに行ったときに格好つけて歌った結果、見事にやけどを負いました。hyde様だけが歌うことを許された楽曲ですね。
旧約聖書の、”エデンの国”や”禁断の果実”をイメージさせる歌詞が印象的で、これに関してhyde様自身も”面白い詞を書きたかった”らしく、”真面目にこんなこと考えてると思われたら困る”と書いてあった。(wikiより)
8.「追憶の情景」(作詞:hyde 作曲:L'Arc〜en〜Ciel)
6分18秒の中にこれでもかと言うほどの要素が凝縮された楽曲。アコギのミステリアスなカラーを全面に引き出し、ストリングスのpizz音やシンセパッドも彩りを添え、更にはギターソロでは3拍子になると言ったクラシカルな要素とゴシックな要素が見事に絡み合い、天空の楽園にいるような気分になれます。かなり落ち着くことが出来ます。しかしながら、歌詞は後悔がテーマっぽいのでちょっぴり暗いです。
9.「As if in a dream」(作詞:hyde 作曲:ken)
やって参りました。ファンからの人気高く、ディレイを掛けたギターが要所要所に現れ、風を切るスピード感を感じられる楽曲。それもそのはず、この曲を作曲したkenちゃんは「夜の高速をイメージした」からです。”首都高かな?”でもより風を感じられるのは”湾岸線?”とか関係ないところを考えてしまったりする。昼のドライブなら間違いなく「ドラハイ」だが夜のドライブをするならこの曲を掛けてみたいですね。また、GLAYのTAKUROはラルクの好きな曲としてこの曲と「予感」を挙げていました。
10.「失われた眺め」(作詞:hyde 作曲:ken)
このアルバムのフィナーレを飾るピアノを中心としてストリングスが包み込む幻想的なバラードだが、全盛期を過ぎ去った廃墟の映像が頭をよぎります。どこか悲しい曲。また、次のアルバムの「瞳に映るもの」と世界観が繋がっていて、その曲よりも後の世界がこの曲とのことです。
2003年の「shibuya7days」の最終公演ではこの曲のピアノバージョンが映像に使われたらしく解散説を逆手にとった演出が行われました。今でこそ、ひとつの歴史としてあげられることが多いですが、「どんどん時代が舞い戻っていき、様々なラルクが流れる映像この曲が流れる」という演出、固唾を飲みながら覚悟を決めていた人もいたと思います。そしたらなんと、DVD発売、アルバム「SMILE」の告知、ツアーといった発表がされたとのこと。当時自分、まだ生まれてないですが、その会場のファンたちがどんな気持ちでその演出を観ていたか、気になってしまいます。
という感じでレビューしていきましたが、初期ならではのラルクの世界観が凝縮されたアルバムは今のラルクの面影を感じる要素があれば、今のラルクから消えてしまった要素もあったと言う印象です。ラルク初心者にはかなり濃い内容となっていますので、「DUNE」を聴きたくなったらそのまえに次のアルバムの「True」→「heavenly」→「Tierra」と時代を巻き戻して聴いてからこのアルバムを聴くのを自分はおすすめします。
というわけでお疲れ様でした。ここまで読んでくださりありがとうございます!
それでは♪