昨今、歯科医院を見渡しますとディスポーザブル(使い捨て)製品が随分と増えたように感じます。
うがい用の紙コップや紙のエプロン、ボンディングなどを塗布するスポンジやアプリケーターもそうですし、グローブやマスク等の身に着けるものもディスポーザブル化が進んでいます。
また、セメントなどを練る練板も紙練板が増えていますし、オートミックスタイプの場合は樹脂製の先端チップがディスポーザブルとなっております。
しかし、ディスポーザブル製品は皆清潔で素晴らしいのでしょうか
例えばうがい用のコップですが、昔ながらのステンレスのコップを丁寧に洗浄しオートクレーブにかけた場合と、安価な通販歯科材料屋さんの中国製の紙コップでは一体どちらが本当に清潔なのでしょうか
私は、前者(よく管理されたステンレスコップ)の方が実際には清潔だと思います
なぜならば、安価な紙コップを製造している工場がどれほど清潔に配慮された環境であるのか、製造工程でどの程度清潔にこだわっているのか、全く分からないのが実際のところだからであります。
工場といっても、半導体を製造するクリーンルームのような清潔空間もあれば、古い下町の工場でネズミやゴキちゃんと共同生活の空間も存在いたします。
目の前に自院の紙コップを置いて眺めてみても、決してその製造工場の様子は分かりませんので、「まあ、うちが使用している製品は(なんとなく)大丈夫だろう。清潔なはずだ」と思考停止に陥って終わりではないでしょうか
ただ、一つだけ言えるのはステンレスのコップは患者さんに敬遠され、紙コップは歓迎されているという事実だけでありましょう。
・・・勘の良いあなたはもうお判りのことと思います。
患者さんは、実際に「清潔」か否かよりも、「清潔感」があるか否かで直観的に判断しているということです。
もちろん、医療人としてプライドを持って本当の「清潔」を追求することは大変重要であり絶対に外せないポイントではありますが、そこに「清潔感」が伴っていないと患者さんはいつの間にか居なくなってしまう可能性が大であるということであります。
このことは、今回注目したうがい用コップ以外でも全てに当てはまる考え方だと思っております。
あまり、このことに気を配っていなかった院長先生が居られましたら、これからは「清潔感」があるか否かという観点をもって様々なものを見てみることをお勧めいたします。
以上、『「清潔」は大切だが、「清潔感」はもっと大切かも知れない』のお話でした。
最後までお読みいただき、誠にありがとうございました。