中国報道官「空母加賀は大戦中に撃沈された」 護衛艦「かが」就役で“軍国主義復活”持ち出す | KHのアメーバブログ

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テキトーなタイミングで、テキトーにコメントします。

昨日 2017年3月23日(木)20時前に、産経ニュースに表題タイトルの記事が掲載されました。
http://www.sankei.com/world/news/170323/wor1703230034-n1.html

 

短い記事なので、全文をコピペさせていただきます。

 

 

(1)中国外務省の華春瑩報道官は23日の記者会見で、海上自衛隊最大の護衛艦「かが」が就役[1]したことに関して「(旧日本海軍の空母)加賀は第二次大戦中、米軍に撃沈された。日本は歴史の教訓をくみ取るべきだ。加賀の再現は、軍国主義の復活を意図しているのではないことを希望する」と歴史問題を持ち出し日本側を牽制した。

 

(2)「海洋強国」を掲げる中国は海空軍力の増強を加速させており、今年度の国防予算は初めて1兆元(約16兆1000億円)を突破し、日本の国防費の3倍超の規模になっている。

 

(3)華氏は「近年、日本は絶え間なく中国脅威論を誇張し、軍備拡張の口実にしている」と主張した。



いかがでしょうか?

 

 

まず(1)に関してですが、海上自衛隊の艦船名が旧日本海軍の艦船名を引き継いでいるのはなにも「かが」だけではありません。ほとんどの護衛艦は旧日本海軍の艦船名を引き継いでいます。


1952年(昭和27年)4月26日の海上警備隊の創設以降、その翌年に米国海軍から譲渡されたフリーゲート艦には旧日本海軍艦船の名前はつけられなかったものの[2]、海上警備隊創設の2年後より、米国海軍から譲渡された艦艇にも、その後、日本側が独自に建造した艦艇にも、旧日本海軍の艦船名の「ひらがな」名を付与するようになりました[3]。ちなみに、海上警備隊の創設は、日本が連合国側と調印したサンフランシスコ講和条約が発効する2日前です。

また、2006年7月、曹剛川国防部長(当時)と高村防衛大臣(当時)との会談において日中国交正常化35周年を記念し、艦艇相互訪問の実施について意見が一致し、2008年6月、戦後初の日本艦艇の訪中として、護衛艦「さざなみ」が中国・広東省湛江(たんこう)を訪問しています[4]. 

護衛艦「さざなみ」も旧日本海軍の駆逐艦「漣」の名前を引き継いでいますが[5]、広東省湛江訪問時に中国政府から「日本は歴史の教訓をくみ取るべきだ。漣の再現は、軍国主義の復活を意図しているのではないことを希望する」など一切言われていません。

同じく旧日本海軍艦艇の名前を引き継いでいるのに、2008年の護衛艦「さざなみ」については何も問題視されず、2017年の護衛艦「かが」については、軍国主義の復活うんぬん等、荒唐無稽な発言をするのはなぜなのでしょうか?笑

中国が日本に対して「軍国主義」というレッテルを貼るのは、歴史的に見て、相手にレッテルを貼って貶める(おとしめる)行為が共産主義・共産党の常套手段だからです(例えば、[6])。

ウィキペディア[7]によれば、軍国主義とは、

 

『ブリタニカ国際大百科事典によると、軍国主義とは「戦争を外交の主たる手段と考え、軍事力を最優先する考え方ないしイデオロギー」とのことである。軍事力を国家戦略として重視し、軍事力の増強のために、政治体制・財政・経済体制・社会構造などを集中的に投入する国家体制や思想を意味する。

 

(途中省略)

 

国際的次元では「平和を脅かした国家」という他国批判の材料となってきた言葉である[2]。第一次世界大戦中や戦後はドイツが軍国主義と批判されてヴェルサイユ体制下で国際社会から戦争の責任を追及され、同様に第二次世界大戦後にはドイツと日本が軍国主義と批判されて国際社会から戦争の責任を追及されてきた』

と説明されています。

近現代において「戦争を外交の主たる手段と考え、軍事力を最優先する考え方」をしている国は皆無でしょう。北朝鮮ですら、ミサイル発射実験を繰り返しており「軍事力を最優先」していますが、「戦争を外交の主たる手段と考え」てのことではなく、米国を交渉のテーブルに引きずり出すのが目的です。

ですが、「軍事力を国家戦略として重視し、軍事力の増強のために、政治体制・財政・経済体制・社会構造などを集中的に投入する国家体制」ということなら、第二次世界大戦に参戦した国は、戦争勝利を目指して、濃度の差はあれ、多かれ少なかれ、すべてそういう国家体制を敷いていました。

だから、そういう国家体制だったことを軍国主義と呼ぶのであれば、戦争中は、日本も、中国も、米国も、英国も、仏国も、ドイツも、ソ連もみーんな軍国主義だったのではないでしょうか。

しかし、戦後70年以上たった現代の国際社会で「軍国主義」という言葉は、第二次世界大戦の敗戦国であるドイツと日本を批判する時にだけ限定的に用いられています。まさに、批判するためにだけ用いる「レッテル」です。

国際政治の現場は国と国の利害のぶつかり合う、まさに戦場(いくさば)です。「軍国主義」というレッテルがどのような意味を持っているのか、どのような環境条件の下で用いられるレッテルなのか、忘れてはならないでしょう。


(2)に関しては、「今年度の国防予算が初めて1兆元(約16兆1000億円)を突破し、日本の国防費の3倍超の規模になっている中国が、軍国主義の復活を意図しているのではないことを希望する」と言っておきます笑


(3)の「中国脅威論」については笑っちゃいます。

中国から日本に帰化した石平氏は「中華帝国は何千年も前から国力が弱い時は周辺諸国と宥和関係を演じ、時には王女すら敵対国に差し出すが、経済力・国力が強まった時には軍事力を増強し、必ず周辺諸国に進攻して、隣国に迷惑をかけてきた」と故郷の国の歴史を論じています[8]。

鄧小平の「韜光養晦(とうこうようかい)」政策を地道に守り、他国におもねり、経済力を蓄えた結果、21世紀に入り、南シナ海を自国の領海かのように占領し始めた現在の中国こそが地域国家に対しての脅威に他なりません、と石平氏なら思っていることでしょう。

 

現在、中国は南シナ海に自分勝手に設定した九段線の内側を自国が領有している海域であると主張し、南沙諸島や西砂諸島のサンゴ礁を埋め立て軍事基地化しようといます。

 

日本を含む先進国からの長年にわたる経済援助で力をつけ、経済力がついに世界第二位となり、国力が強まった、今だからこそ、(2)のように軍事力を増強し、まさに近隣諸国の領有する海域へ進攻しているのではないでしょうか?

 

それを日本などに批判されている今だからこそ、日本に「軍国主義の復活」の嫌疑をかけて貶めようとしているという、いつもの常套手段に過ぎないと思います。


先日のエントリー(http://ameblo.jp/brendy6m/entry-12258555422.html)でも書きましたが、もう一度言っちゃいます。

 
隣国にこんな国が存在するなんて、実に迷惑な話です。

 

 

(参考文献)
[1] 2017年3月22日(水)に横浜市磯子区のJMU造船所にて、海上自衛隊のヘリ空母型護衛艦「かが」が就役しました。朝日新聞デジタル、2017年3月22日、 http://digital.asahi.com/articles/ASK3P61MXK3PUTIL05M.html

[2] https://ja.wikipedia.org/wiki/海上自衛隊#.E6.AD.B4.E5.8F.B2

[3] https://ja.wikipedia.org/w/index.php?title=海上自衛隊艦艇一覧&action=edit&section=7

[4] http://www.clearing.mod.go.jp/hakusho_data/2008/2008/html/k3322300.html

[5] https://ja.wikipedia.org/wiki/さざなみ_(護衛艦)

[6] 江崎道朗、アメリカ側から見た東京裁判史観の虚妄、祥伝社新書、2016年。

[7] https://ja.wikipedia.org/wiki/軍国主義

[8] 石平、「なぜ中国は覇権の妄想をやめられないのか」PHP新書979, 2015年。